612
導入事例

 様に導入

  • 効率化
  • 最適化
  • コスト

国家公務員共済組合連合会 呉共済病院

 様に導入

写真: 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院

国家公務員共済組合連合会
呉共済病院

Hyper-V + System Center で構築した仮想化基盤に、生理検査、内視鏡、病理診断、人工透析など14 のシステムを移行し、サーバーの集約と運用の効率化を実現

広島県内で第 3 位の人口規模を有する呉市で、地域医療の中核を担う国家公務員共済組合連合会 呉共済病院は、積極的に先進医療技術を取り入れて医療体制を充実させるとともに、早くからオーダリングや電子カルテなどのシステムの導入に取り組んできました。そして、さらなる効率化のために、新たなテクノロジーの導入に踏み切ります。それが、Hyper-V を活用した、部門システムの仮想化と集約化です。

<導入の背景とねらい>
院内に増え続けたサーバーを整理、集約することで、
管理の効率化を実現

写真: 正木 成 氏

呉共済病院
事務部長
正木 成 氏

写真: 藤井 友広 氏

呉共済病院
情報管理課 課長
藤井 友広 氏

1904 年に呉海軍工廠職工共済会病院として開設されて以来、110 年の歴史を誇る国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 (以下、呉共済病院) は、2011 年 10 月に「がんペプチドワクチン」の研究治療センターを設立するなど、先進医療研究にも積極的に参加。また2013 年度には病院機能評価機構 Ver.6.0 の認定を受けており、今も継続的に地域医療連携や急性期医療の充実に取り組んでいます。

国家公務員共済組合連合会系列 35 病院の 1 つとして、医療体制の充実に取り組む同院は、2005 年にいち早く電子カルテを導入するなど、システム化に積極的な医療機関としても知られています。呉共済病院 事務部長 正木 成 氏は、電子カルテ導入の理由について、次のように説明します。「一番の課題となっていたのが、紙カルテの保管場所です。当時の 1 日平均の外来患者数は 1433 名、一般病床数は 394 あります。これだけの規模の診療記録を継続管理していくためには、カルテを電子化するしかありませんでした。」

災害で失われた一部を除き、1977 年からの紙カルテをすべて保管している呉共済病院では、その保管スペース確保のためにプレハブを建てるなどの手間とコストを割いてきました。この管理を効率化するために電子化に踏み切った同院では、電子カルテの利用と並行して、「生理検査」や「内視鏡」、「病理診断」、「人工透析」などの部門システムを順次導入してきました。

しかし運用を続ける中で、新たな課題が浮上します。それが、「サーバー設置場所の確保」でした。情報管理課 課長 藤井 友広 氏は、その背景を次のように振り返ります。
「2012 年の時点で、院内には約 70 台のサーバーが存在していました。以前は、部門ごとに分散設置していたのですが、管理面に問題がありました。そこで集中管理に切り替えたのですが、結局はスペースの確保に悩むことになったのです。」

そして 2012 年に入り、呉共済病院は再び、先進的な取り組みに着手しました。それが、「仮想サーバー上に、部門システムをすべて集約する」という計画でした。

藤井 氏は言います。
「本当は、2011 年に電子カルテを、NEC MegaOakHR に刷新した際に、サーバーの仮想化も考えました。ただ、この時は大規模な仮想化の事例がなく、時期尚早と判断しました。しかし、サーバーの増加に伴う管理負担の増大、コストの肥大化、設置場所の不足などの問題を解消するためには、仮想化が必須だと考えていましたので、2012 年 7 月頃から改めて本格的な検討に入りました。そして 2012 年 9 月に、あるテクノロジーと出会ったことで、方針が決定したのです。」

そのテクノロジーが、2012 年 9 月に発売されたばかりの Windows Server 2012 に標準搭載された仮想化テクノロジー Hyper-V でした。

「当初は VMware を採用候補としていた」と藤井 氏は言います。しかし、最終的に Hyper-V を選択した理由について次のように説明します。
「両者を詳細に比較して、機能面、性能面で、新しい Hyper-V は VMware にまったく遜色ないことを確認しました。その上で、ライセンス コストの比較では Hyper-V が断然有利です。さらに『プロジェクトを少しでもスムーズに進行させられるのではないか』という期待から、選択するに至りました。」

<システム概要と導入の経緯>
Hyper-V + System Center 活用で
ライセンスとサポートの窓口を一本化

写真: 小橋 貴宏 氏

呉共済病院
情報管理課
小橋 貴宏 氏

写真: 早稲田 摩利子 氏

呉共済病院
情報管理課
早稲田 摩利子 氏

写真: 武田 誠司 氏

NECソリューションイノベータ株式会社
パブリック第二事業本部
医療システム事業部第一システムグループ
プロジェクトマネージャー
武田 誠司 氏

呉共済病院が Hyper-V 活用によって目指したことは、主に下記の 3 点です。

  1. サーバー ハードウェア台数の削減
  2. システムの運用、保守の効率化
  3. システム ライフ サイクルの最適化

藤井 氏は次のように話します。
「まず、サーバー ハードウェアを減らすことで、コストを削減すると共に、故障のリスクも大幅に軽減されます。さらに、マイクロソフトの Hyper-V であれば、親和性の高い管理ソリューションである Microsoft System Center 2012 ファミリーを活用し、物理サーバーと仮想サーバー環境を一元管理できます。マイクロソフトのライセンスとサポートで一本化できることも、大きな魅力でした。窓口がむやみに広がってしまうと、運用・保守の効率が下がってしまいますからね。」

そして、システム ライフ サイクルの最適化について、次のように続けます。
「当院が最初に電子カルテを更新したのは、導入から 7年目の年でした。もっと早く更新したかったという思いもありましたが、コストを考慮すれば、長期利用も当然の話です。そこでポイントとなるのが、ハードウェアとソフトウェアでは更新の必要となる時期が、必ずしも一致しないという事実です。ハードウェアとソフトウェアをそれぞれ最適なタイミングで更新できるようにするためには、部門システムを仮想サーバー上に移行させ、両者の依存関係を断ち切ることが必要だと考えたのです。」

こうして呉共済病院では 2012 年 12 月に、Hyper-V の活用を前提とした入札を実施。数ある提案の中から選ばれたのが日本電気株式会社 (以下、NEC) と、NECソリューションイノベータ株式会社 (以下、NECソリューションイノベータ)による提案でした。

Windows Server 2012 Hyper-V を活用したシステム基盤構築は、NECソリューションイノベータの手によって順調に進行。2013 年 3 月には部門システムの移行受け入れ態勢が整いました。

仮想化対象システム一覧 [拡大図]新しいウィンドウ

そして、部門システムの移行実施に際して、「苦労はあったが、特にトラブルはありませんでした。」と話すのは、移行を担当した、呉共済病院 情報管理課の小橋 貴宏 氏です。
「Hyper-V に対する部門システムのベンダーの反応はまちまちでした。加えて、システムのカスタマイズは行わないことを基本条件としていましたので、仮想化の実績がないことを理由に難色を示すベンダーもいました。また、短期のプロジェクトでしたので、各ベンダーの検証確認、移行作業に関する日程調整には、困難も伴いました。しかし実際に移行してみると、大きな問題もなく、スムーズにプロジェクトが完了しました。」

こうして 2014 年 6 月には、5 台の物理サーバー上に構築した仮想基盤に、9 つの部門システムと、5 つの業務用システムを稼働させることに成功しました (表 参照)。

さらに、Microsoft System Center が、Virtual Machine Manager などの機能を使って、仮想および物理サーバーの稼働監視から、院内に約 970 台ある PC のインベントリー収集まで、一元的に管理しています。

フェイス トゥ フェイスのサポートで
先例のないシステム構築もスムーズに完了

構築を担当した NECソリューションイノベータ パブリック第二事業本部 医療システム事業部第一システムグループ プロジェクトマネージャー 武田 誠司 氏は、プロジェクトが円滑に進行した理由の 1 つに、「Microsoft Premier support for Partners の利用にメリットがあった。」と話します。

「当社の医療関連のお客様としても、Windows Server 2012 Hyper-V と System Center 2012 を活用した構築は初めての体験でしたが、仮想基盤の構築までは順調に進みました。しかし、各部門システムの仮想基盤への移行を終えた後に、1 つの課題に遭遇しました。それが、『ドメイン参加していない部門システムを、System Center で統合管理する方法』でした。」

NEC がマイクロソフトと契約した Microsoft Premier support for Partners で解決策の問い合わせを行った結果、証明書用のサーバーを構築することで、無事に問題が解消したと武田 氏は続けます。
「Premier サポートからは、的確かつ質の高いサポートを受けることができました。特に、現地に足を運んでもらい、パートナーである私たちに、フェイス トゥ フェイスのサポートを得たことで、非常にスムーズにプロジェクトが完了しました。」

<導入効果>
サーバー ハードウェア 26 台を削減。
余力あるリソースを活かしPACS などのシステムも追加移行へ

呉共済病院では、Hyper-V + System Center の仮想基盤により、全体の約 4 割にあたる物理サーバー 26 台を削減。14 のシステムを稼働させている今でも、そのリソースには余裕があると、藤井 氏は言います。
「当初心配していたのは、画像データの量が多い生理検査システムと内視鏡業務支援システムでしたが、移行してみると何の問題もありませんでした。今回、5 台のホスト サーバー上に 26 の仮想サーバーを立てているのですが、サーバー リソースには十分過ぎる余力があります。これから PACS (Picture Archiving and Communication System) も、移行させる予定です。」

しかも、各部門システムはこのプロジェクトによって冗長化を実現。従来とは比較にならない可用性と安定性を手に入れたと藤井 氏は続けます。
「物理サーバーは高価なため、部門システムまでは冗長化できていなかったのですが、今回の仮想化によって、すべてのシステムでクラスター構成を実現しています。Windows Server のフェールオーバー クラスター マネージャーを活用しているのですが、いざという時の切り替えが驚くほどスムーズです。実は、移行後に 1 度だけ、物理サーバー 1台に障害が発生したのですが、仮想サーバーがあっという間に他の物理サーバー上に移動し、再起動していたために、誰もトラブルのあったことに気がつかなかったほどです。」

さらに、「ライブ マイグレーション機能のおかげで、業務を止めることなく、サーバーのメンテナンスが行えるようになったことも大きなメリット」であると、藤井 氏は続けます。
「私たち情報管理課のメンバーは、3 人しかいません。そのため、いかに効率的にシステムを運用、管理できるしくみを作るかが、大きなテーマとなっています。その点において、この Hyper-V 導入は期待以上の成果を生んでいると思います。」

同課 早稲田 摩利子 氏も、「サーバーのことがまったく気にならなくなるほど、安心できる」と評価しています。
「非常に安定稼働しているため、サーバーの監視に充てていた時間を、ほかの作業に回せます。また、サーバーが仮想化されたことで、テスト用の環境をすぐに入手できるようになったことも、大きなメリットだと思います。」

藤井氏が続けます。
「今までは、新しいソフトウェアなどを試そうと思っても、検証用のサーバーが確保できずに先送りになってしまうことがよくありました。しかし、今は違います。Windows Server の管理画面から、仮想サーバーを 1 つ立ち上げて、テストし、駄目だったらすぐに消去してしまえばいいのですから。新しい試みをスピーディーに検証できます。」

<今後の展望>
拡張性にも優れたシステム環境の利点を活かし
10 年先まで見据えたシステム活用を促進

今回のプロジェクトを振り返って NECソリューションイノベータ 武田 氏は「Hyper-V + System Center を活用した仮想化のメリットを、呉共済病院様のプロジェクトで実感できました。当社としても、今回得たノウハウを活かしていきます。」と語ります。

"仮想サーバー上への部門システムの集約" という、呉共済病院が実現したシステムの形は、「現時点で考えられる最善の手段だと信じている」と正木 氏は言います。
「高度な医療と、行き届いたサービスを提供するためには、システムの力が欠かせません。予算などに制約がある中で今後 5 年から 10 年先まで見据えた結果、たどり着いたのが今回の仮想化プロジェクトです。イニシャルのコストを下げることを最優先する考え方もあるでしょう。しかし、今回構築した基盤によって、たとえばサーバー リソースの追加も低コストかつ迅速に行えるようになりました。そうした、拡張性を含め、今考える限り、最善の手段を選択できたと思います。」

コメント