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関電システムソリューションズ株式会社

 様に導入

Azure によるハイブリッド クラウド サービスを提供
システム受注から構築までの大幅なスピード化と省コスト化で、外販に向けた提案力 & 営業力の強化を実現

写真:関電システムソリューションズ株式会社

関電システムソリューションズ株式会社

関西電力グループの一員として、データセンター事業を基盤に IT システムの企画、開発、運用までをトータルに提供する関電システムソリューションズ株式会社。同社では 2015 年 7 月から、Microsoft Azure をプラットフォームとしたハイブリッド クラウド サービスの提供を開始しました。いち早く関西電力の企業ホームページ「電力需給のお知らせ」に導入されたのを皮切りに、ハイブリッド クラウドに関心を持つグループ外の一般企業からも現在問い合わせが急増中です。同社ではこうした需要の高まりを受け、コンサルティングの専門部署を立ち上げるなど、システムのライフ サイクル全般にわたってフルにサポートできる強みを生かした、クラウド ソリューションの提案力強化を着々と進めています。

<導入の背景とねらい>
クラウド時代のさらなる成長に向けて
ハイブリッド クラウドを選択

写真:福嶋 利泰 氏

関電システムソリューションズ株式会社
IT サービス事業本部
IT サービス統括部
IT サービス営業グループ
福嶋 利泰 氏

クラウド コンピューティングが爆発的に広がる中で、今ハイブリッド クラウドに大きな注目が集まっています。さまざまな利便性を持つパブリック クラウドと既存のオンプレミス資産の双方を活かしながら、より自由なシステム構成を省コストで実現できるとあって、新たに導入を検討する企業が急増中です。そうした市場からの要請にいち早く対応し、Azure をプラットフォームとしたハイブリッド クラウド サービスを 2015 年 7 月にリリース。より高品質でコスト パフォーマンスに優れたソリューション提案を可能にしているのが、関電システムソリューションズ株式会社 (以下、関電システムソリューションズ) です。

「当社がパブリック クラウドに取り組むきっかけとなったのは、2014 年ころから既存のデータセンターのお客様からパブリック クラウドのご要望がしきりに聞かれるようになったことです」と、関電システムソリューションズ ITサービス事業本部 ITサービス統括部 ITサービス営業グループ 福嶋 利泰 氏は振り返ります。

「システム管理の負荷軽減や運用コストの削減といった効果に加え、システム導入期間の短縮やサイジングの自由度、また災害復旧対策としての導入など、クラウドにはさまざまな魅力があります。しかし一方で、パブリック クラウドにはセキュリティや信頼性といった問題があり、利用をためらうお客様が多かったことも事実です。当社ではその最適解として、データセンターとパブリック クラウドのベスト ミックスである、ハイブリッド クラウドを推進しようと考えたのです」。

一方では既存のコロケーションの顧客がパブリック クラウドに移行するケースも見られるようになり、こうしたユーザー層の離反を食いとめるための新たな方策も求められていました。かねてから同社では、パブリック クラウドは将来の必須要件になると予測しつつ、既存のデータセンター資産を引き続き有効活用する方法を探っており、ハイブリッド クラウドに注目するのは自然な流れでした。

また、2012 年ころからはコンサルティングに力を入れ始めており、その実行組織としてコンサルティング事業部も立ち上がっていました。システム開発の上流から、開発、実装、運用保守までをすべてワン ストップで手掛ける体制作りを進める中で、今回のハイブリッド クラウドへの取り組みは新たなビジネス分野の創出につながる契機としても期待されたのです。

同社は関西電力グループの一員であると同時に、今後は更にシステム インテグレーターとしての提案、開発、営業力を強化し、独立企業としての存在感を高めるというミッションも掲げています。

「現在、年間売り上げ約 300 億円のうち、IT インフラおよび IT サービス分野では、約 30% が外販によるものですが、これを近い将来 50% を超えるまでに強化していくという目標が経営陣から示されています。そうした意味でも今回のハイブリッド クラウドへのチャレンジは、今後のビジネスの成長にかかわる重要な課題だと言ってもよいでしょう」と福嶋 氏は語ります。

ハイブリッド クラウド サービス[拡大図]新しいウィンドウ

<導入の経緯>
コストに加え、地理的冗長化や国内法準拠など
日本のインフラ企業にふさわしい特長を評価

2014 年度の幕開けと共に、具体的なクラウド ベンダーの検討が始まりました。Azure を含む国内外のクラウド ベンダー 3 社のプラットフォームを比較検討した結果、Azure の採用を決定した理由として、福嶋 氏は大きく 4 つのポイントを挙げます。

1 つ目は、コストです。3 社の料金を比較検討した結果、金額的にもまたコスト パフォーマンスという観点からも Azure がもっとも安価で利用できることがわかりました。

2 つ目は、国内で東西の 2 つのエリアにデータセンターを持っていることでした。東日本大震災での教訓も含め、地理的に離れた複数の地域にデータセンターが置かれていることは、BCP やディザスタ リカバリの面からたいへん重要な評価ポイントとなりました。

3 つ目は、日本国内の法令に準拠した運用である点です。今回のハイブリッド クラウド導入にあたっては、親会社である関西電力のホームページ内にある「電力需給のお知らせ」を、導入先行事例として構築することがあらかじめ決まっていました。このためクラウド ベンダーを検討する際にも、関西電力の評価、判断が常に重視されていたのです。とりわけ電気という重要なインフラを担う公共系事業にとって、日本国内の法令に準拠していることは必須の条件でした。

「公共系事業では、何かあったときにも絶対にシステムを停めないことが強く要求されます。このため万が一のインシデントの際には、パブリック クラウド上のシステムやデータをすべて社内のオンプレミス側に戻せるしくみが大前提だったのです。そのためにも、国内法に準拠していることが絶対の条件でした」 (福嶋 氏) 。

採用決定理由の 4 つ目は、Azure と関電システムソリューションズの戦略が合致していた点でした。同社にはこれまで構築してきた 3 つのデータセンター資産があります。これらを引き続き活用しながらクラウドへの展開を進めるうえで、ハイブリッド クラウドは最適の戦略です。「その点、マイクロソフトはオンプレミスはなくならないと宣言しており、当社の未来戦略と一致していたのです」と福嶋 氏は明かします。

マイクロソフトは Azure の展開にあたって、これまで築いてきた製品およびベンダーを含むエコ システムの継承と、常に最新の機能を追加していくことなどを明らかにしており、将来にわたる投資保護の観点からも、今後のクラウド戦略を進めるプラットフォームとしてふさわしいと同社では判断しました。

2014 年11 月には Azure の採用を決定。これを受けてただちに先行導入事例となる関西電力ホームページ「電力需給のお知らせ」の構築に着手し、2015 年 5 月には初のハイブリッド クラウドによる Web サイトの公開となりました。

<導入効果>
受注から構築までが大きくスピードアップ
現場からはシステム提案の幅が広がったと評価も

Azure を自社のサービス プラットフォームとして展開していくメリットとして、福嶋 氏はまずシステム提案から構築までの大幅なスピードアップを挙げます。これまで同社が顧客からオンプレミスでのシステム開発を受注した場合、自社でサーバー選定から検証といった作業を行わなくてはなりませんでした。もちろんシステムのサイジングやハードウェア、ソフトウェア ベンダーとの調整といった作業も含めると、最低でも 3 か月から半年のリード タイムを要していたと言います。

「それが Azure になってからはサイジングが柔軟に行えることがわかっているので、まずはアプリケーションを決めてスモール スタートで始めましょうという提案ができるようになりました。またアプリケーション開発の担当者にとっては、非常に提案の幅が拡がり、スピード感をもって仕事にあたれるようになりました。これによって、ビジネスを進めやすい環境が整ってきたと実感しています」。

東西のデータセンターによる地理的冗長化も、営業提案活動に多彩な選択肢を与えています。従来は関西地域で新規に獲得した顧客が自社のサーバーからデータセンターにシステム移行する際、バックアップを依頼されることがしばしばありました。そのつど同社では東京のベンダーに依頼していましたが、バックアップ用のサーバーに回線費用が加わって非常にコストがかさむのが悩みでした。それが Azure に移行してからは、標準のオンライン バックアップ サービスである Azure Backup を用いて遠隔地バックアップが容易に行えるようになりました。

「また万が一の障害発生時には、これも標準の障害復旧サービスである Site Recovery を使って、すぐにシステムを切り替えることができます。Azure に移行してからは、こうしたお客様の可用性向上やデータ保護についても自信をもって提案できるようになり、強力なツールをもらったと感じています」。

2015 年 7 月からの本格的な Azure の外販スタートを開始し、一段と "攻め" の営業姿勢を強化しつつあります。そこで関西の企業約 2,000 社にダイレクト メールを送ったところ、6% のリターンが得られ、関西圏でもクラウドへの関心が十分に高まっていることがわかりました。一方、パブリック クラウドのセキュリティを懸念する声も多く、同社では Azure プラットフォームの安全性を積極的にアピールして、さらなる需要の拡大につなげていくことが課題だと考えています。

もう 1 つの課題は、自社のクラウドに関するいっそうのスキルアップだと福嶋 氏は強調します。

「単にデータセンターと Azure を用意して "どうぞお使いください" ではなく、システム移行に関する細かなノウハウを提供できるように私たち自身の知識を高めることが、お客様にコストと運用の両面でベストの提案をするうえで欠かせません。アセスメントやコンサルティングの段階から運用まで一気通貫の高品質なサービスを提供することで、ハイブリッド クラウドの真の価値をお客様に感じていただきたいと願っています」。

Microsoft Azure での新システム構成 (2015/5~)[拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
ハイブリッド型データセンターの構築に加え
開発用サーバーを Azure に全面移行

関電システムソリューションズでは 2015 年度中を目標に、自社データセンターと Azure サイトを、クラウド統合ソリューションである Azure ExpressRoute による専用線で接続し、完全に一体化したハイブリッド型データセンターとしての運用開始を目指しています。福嶋 氏は、「この新しいインフラを使って、急速に需要を拡大している IoT や、将来予測などクラウドならではのワーク ロードにも耐えうる一体化した基盤サービスを提供するのが目的です」とねらいを語ります。

一方、社内では、物理/仮想合わせて約 120 台ある外販向け開発部門のサーバーを Azure へ全面移行するプロジェクトが進行中です。作業時にしか使われず稼働率が低い開発用サーバーをクラウドへ移行することで、コスト抑制が実現できるうえ、逆に必要な時には必要なだけの台数を迅速に用意できます。この結果、開発におけるサーバー利用のフレキシビリティとアジリティの大幅な向上が期待されています。

Azure の利用範囲はさらに広がり、現在パッケージで提供されている電力顧客情報管理システム「NISHIKI」を Azure でも提供していく準備が進んでいます。これは 2016 年 4 月の電力自由化を見据えて、同社が蓄積してきた電力料金計算のノウハウをパッケージ化したもので、IT 予算が限られた新興電力事業者に、低コストで高品質なソリューションをクラウドで提供します。そしてクラウド サービスである Azure は、お客様の需要に応じたインフラのスケーラビリティやアジャイル開発ができるという点で、このビジネスを即応性を持って支えてくれるものと期待されています。

「今後は Azure とオンプレミスやプライベート クラウドを、顧客の要件に応じて組み合わせたハイブリッド型システムとしてフル サポートで提供すると共に、データの増加や複雑化、効果的な災害対策など、幅広いデータセンター活用ニーズにお応えしていきたいと願っています」と抱負を語る福嶋 氏。

本格的なクラウド時代に向けた関電システムソリューションズの挑戦を、Azure による新たなビジネス基盤が力強く支えていきます。

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