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導入事例

 様に導入

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  • 機械学習

京セラ丸善システムインテグレーション株式会社

 様に導入

九州大学のアクティブ ラーニングをサポートするため
デジタル教材の学修行動データ活用に Azure の HDInsight を採用

文教、医療ソリューションを提供する京セラ丸善システムインテグレーション株式会社。同社は昨今高まるアクティブ ラーニングのニーズに応え、九州大学においてクラウド型電子書籍プラットフォーム「BookLooper」 (ブックルーパー) を利用した、デジタル教材の配信サービスを開始。同サービスを通じて収集した学修行動データの統合/分析を本格化させるため、システム基盤には大規模データの解析を行う Hadoop を Microsoft Azure 上で利用できる HDInsight が採用されました。

BookLooper では電子書籍を配信できるだけでなく、マーカーやメモを残すことが可能。(左図) また、BookLooper の学修行動データを分析、可視化する BookLooper kizuki で効果的な教育改善や学修支援の施策を立てることができます。(右図)

<導入背景とねらい>
自ら問いを立て主体的な学びができるアクティブ ラーニングを実現したい

写真:京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 文教ソリューション本部 電子書籍企画室 室長 津田 康弘 氏

京セラ丸善システムインテグレーション株式会社
電子書籍企画室 室長
津田 康弘 氏

写真:京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 文教ソリューション本部 本社文教ソリューション部 教育サービスグループ 弘田 修平 氏

京セラ丸善システムインテグレーション株式会社
教育サービスグループ
弘田 修平 氏

九州大学では、2015 年 4 月 13 日より、1 年生約 2,700 名を対象に、京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 (以下、京セラ丸善システムインテグレーション) のクラウド型電子書籍プラットフォーム「BookLooper」 (ブックルーパー) の学修行動データを活用し、教育ビッグ データの利活用に関する研究を開始しました。BookLooper は、大学や専門学校向けの教科書/教材などを電子書籍として提供するソリューションです。その概要について、電子書籍企画室 室長の津田 康弘 氏は次のように語ります。

「当社は、高等教育機関向けに、かねてより図書館の蔵書を管理、検索するパッケージ システムや、大学教務事務システムを提供してきました。2010 年ごろより、複数の大学と電子図書館の取り組みについて実証実験を重ねてきました。この実験を通じて、電子教科書や電子図書館など商用化されたサービスが、電子書籍ソリューション BookLooper です」 (津田氏)

BookLooper は、ライセンス単位で利用できるクラウド サービスとして提供され、コンテンツ検索、閲覧、マーカー、メモなどの学修支援機能を備えているだけでなく、行動データの収集/分析機能を有しています。

「昨今、主体的な学修を促す『アクティブ ラーニング』に取り組む大学が増えています。その中で、学修効率化や学修意欲向上など、教育効果を可視化したいというニーズが高まってきました。そこで、BookLooper のデータ収集/分析機能をさらに強化し、標準分析レポートとして提供していくことを決断しました。データの収集/分析をする際は、大学側から学生に対し個人情報についての同意を得ていただいたうえで行っています」 (津田氏)

こうした背景には、出版社が教科書の電子化を積極的に推進していることや、アクティブ ラーニングに代表される教育の質的転換、そして、モバイル端末の普及といった学修環境の変化などがあります。しかし、BookLooper の分析基盤の強化は決して簡単な道のりではなく、課題も山積みだったと本社文教ソリューション部 教育サービスグループの弘田 修平 氏は振り返ります。

「BookLooper の標準利用分析レポート機能の開発当初は、プライベートのクラウド サービスを利用していました。しかし、このサービスは利用データが爆発的に増加した際のスケーラビリティに課題がありました。また、分析には大量のデータを処理できる Hadoop を採用しようと考えていましたが、分析基盤として環境を構築するための学習コストが高く、短期間での分析基盤の強化は困難だと感じていました」 (弘田氏)

<導入の経緯>
データ増に対応できるスケーラビリティや、Hadoop のセットアップの容易さなどが決め手に

こうした課題を解決するべく、同社は改めて BookLooper の分析基盤となるクラウド サービスを検討。Microsoft Azure の HDInsight に出会ったのは、2014 年末ごろだと弘田氏は語ります。

「検証としてプレビュー版を利用した際に、Web 画面上から容易にセットアップが行えて、手軽に分析処理が実行可能な環境を入手できることに驚きました。ローカル マシンで検証できる HDInsight Emulator もあり、これまでのように煩雑な Hadoop の構築作業や、最適な設定値を動作検証しながら導き出す必要がなくなりました。Storage 上に利用データを置き、HDInsight を構築してジョブを投入するとすぐに分析ができるという手軽さに加え、検証と運用のコストが抑えられるという点でも魅力を感じました」 (弘田氏)

写真:京セラ丸善システムインテグレーション株式会社 システムソリューション部 商品開発事業部 サービス開発部 部長 名和 輝明 氏

京セラ丸善システムインテグレーション株式会社
サービス開発部 部長
名和 輝明 氏

いくつか比較検討する中で、Azure に決定した要因について、サービス開発部 部長の名和 輝明 氏は次のように補足します。

「BookLooper の分析機能は今後、機械学習によってさらに強化できると考えています。Azure が昨年、機械学習のプラットフォーム Machine Learning を正式発表したタイミングで BookLooper の分析基盤として有力な候補の 1 つだと考えていました。サービス面や、今後の拡張性を見据えた Machine Learning などの機能面、そして、コスト面を検討し、総合的に優れていた HDInsight を採用することにしました」 (名和氏)

九州大学では、学生/教職員が BookLooper を利用し、学生は、学内外から PC、タブレット、スマートフォンなどのマルチデバイスで教科書やレジュメなどを閲覧、書き込みをすることが可能です。また、教職員は BookLooper の分析レポートから得られたデータやシラバスなどの学務情報から、より効果的な学修支援が可能になります。

「BookLooper を利用するためのアプリは Windows ストア アプリのほか、iOS、Android 版があり、端末を選ばずにマルチプラットフォームで利用できます。アプリを起動すると、実物の本棚をイメージした書棚に、教科書やレジュメ、図書館で借りた書籍が配置されます。今回の研究では、教育の分野や講義のスタイルなどによって多少の違いはあるものの、学生が利用した端末種別、利用教材名、閲覧や検索行動を確認することができます。また、利用データと学修行動の関連性を見ることで、ある程度の精度を持った分析モデルが確立されてきています」 (名和氏)

また、HDInsight 導入時のマイクロソフトのサポートについて、弘田氏は次のように振り返ります。

「HDInsight 導入を通じて、マイクロソフトのサポートには満足しています。印象深かったのは、何か課題があった際にオフィシャルなドキュメントを参照すれば、ほとんどの内容が既に記載されていたことです。技術的な質問に対しても即座に回答いただけること、サンプル コードやドキュメントが充実していることなど、Azure をオールインワンのサービスとして提供しようという姿勢が伝わってきました」 (弘田氏)

<導入の成果>
本来取り組むべきサービスの質的向上に注力できるように

短期間で利用開始できるクラウド サービスの利点が遺憾なく発揮され、また、HDInsight の機能優位性や拡張性により、BookLooper のデータ分析基盤は、2015 年 5 月、サービスインの運びとなりました。

HDInsight の導入によって得られた効果について、弘田氏はまず技術面のメリットを挙げます。

「技術的な面としては、どれだけ増加するか予想ができない利用データに対し、設計時にスケーラビリティを考慮する必要がない点がメリットだと考えます。また、データ分析基盤のサービス提供という面では、大量データの分析を遅延なく処理が完了できることで、分析レポートの作成を定型業務に組み込める点がメリットだと感じています。運用コストが低減できた結果、我々の業務効率化と、サービスの品質向上が見込めるという点も見逃せません」 (弘田氏)

現在 BookLooper の分析基盤を利用して「教育ビッグ データの利活用」に関する研究を行っている九州大学の基幹教育院 自然科学理論系部門/大学院システム情報科学府 教授 博士 (工学) 緒方 広明 氏も、その効果について次のように期待を語ります。

写真:九州大学 基幹教育院 自然科学理論系部門/大学院システム情報科学府 教授 博士 (工学) 緒方 広明 氏

九州大学 基幹教育院 自然科学理論系部門/大学院システム情報科学府 教授 博士 (工学)
緒方 広明 氏

「平成 26 年 4 月より、九州大学では『自ら問いを立て主体的な学びが出来る』アクティブ ラーナーの育成を目的として、全学 1 年生を対象に『基幹教育』を開始しました。ここに BookLooper を導入してログを分析することにより、教員は、学生が講義内/外でどのようにアクティブに学修しているかを把握できます。また、学生が理解しにくい点を提示することにより、教材の改善にもつながります。今後は、データに基づく教育改善、および学生の学修効果の向上を期待しています」 (緒方氏)

そのほか、各大学からも大きな反響をいただいていると名和氏は言います。

「先生からは、今まで経験や勘に頼っていた部分が可視化されたという意見をいただいています。たとえば、予習の段階で教科書をどの程度読んでいるか、学生の予習状況を先生向けのレポート画面で閲覧することができます。また、予習段階で教科書に引いたマーカーの箇所や教科書の検索キーワードから、理解度や関心を把握して講義内容を調整するといった活用も可能です」 (名和氏)

<今後の展開>
Machine Learning の活用によるパーソナライズなど、さらなる利便性を追求

京セラ丸善システムインテグレーションでは、BookLooper の学修行動データの収集/分析機能を強化し、大学のアクティブ ラーニングを支援する学修分析サービス「BookLooper kizuki」(ブックルーパー キヅキ) をリリースしました。このサービスにより、大学は定量的なデータをさらに活用した教育改善や学修支援の施策を立てることができます。

新サービスの BookLooper kizuki を含め、今後の機能拡張や展開については、機械学習というキーワードを挙げ、Azure の Machine Learning に期待を寄せていると名和氏は語ります。

「電子教科書を利用する学生へ活用のメリットを還元できるように、効率的な学修方法をナビゲーションするようなレコメンド エンジンを確立したいと考えています。たとえば、教科書やレジュメなどのコンテンツを関連づけし、学生が履修していない講義で、類似のレジュメを使っていた場合、そのコンテンツをお勧めするといった活用方法です。その他さまざまな活用方法が考えられますが、あまりシステム側から押しつけすぎることがないように、学生の自発的な学修を促すような "さじかげん" が大事だと考えています。BookLooper や学修分析サービス BookLooper kizuki により、学生の興味範囲が広がることで、結果的に自ら進んで学修し、知識が深まっていくというサイクルが確立するよう支援していきたいです」 (名和氏)

今後も、文教分野におけるソリューションの付加価値向上に取り組んでいきたいと語る京セラ丸善システムインテグレーション。HDInsight をはじめとする、マイクロソフトが提供するクラウド サービスが、同社のビジネスをさらに加速させていくことでしょう。

写真:集合写真

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