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導入事例

 様に導入

  • 最適化
  • コスト

公立大学法人 北九州市立大学

 様に導入

250 台の学生用 PC を Windows Server 2012 R2 Hyper-V (MS-VDI) で仮想化
自習室のダウンタイム極小化に加え、PC 環境の統一と大幅な運用コスト抑制を実現

写真:公立大学法人 北九州市立大学

公立大学法人 北九州市立大学

高等教育機関にとって今後のグローバル化に応える人材育成は急務であり、ICT による学習環境整備はその実現に欠かせない課題の 1 つです。大学における PC の利用環境はまさにその基盤として、学生にとって不可欠な学習研究のインフラといえます。公立大学法人 北九州市立大学では、自習室や図書館に備えられた約 250 台の学生向け PC を Windows Server 2012 R2 Hyper-V (MS-VDI) によって仮想化。常に最新でセキュアな PC 環境を学生に提供するとともに、運用の負荷とコストを大幅に低減。将来のモバイル端末対応やさらなるサービス拡充に向けた PC の展開、運用基盤を確立しています。

<導入の背景とねらい>
ICT による学習支援促進に向けて
学生向け PC のデスクトップ仮想化に着手

公立大学法人
北九州市立大学
情報総合センター
センター長
隈本 覚 氏

経済や産業のグローバル化に伴って、国際水準の知識や技術を身につけた学生を育成することは、わが国の高等教育機関にとって現在最も重要なテーマの 1 つです。とりわけ ICT に関する基礎的な知識やスキルは、理工学系のみならず文系の学生にとっても「常識」として求められるようになっています。また今日の大学生にとって既に PC は日常的な学習、研究のツールであり、最新かつ快適でセキュアな PC の利用環境を提供することは、教育インフラの充実という面からも喫緊の課題です。公立大学としてそうした PC 環境の整備に前向きに取り組み、Windows Server 2012 R2 Hyper-V (MS-VDI) によって学生向け PC の仮想化を実現。学生にとって利用しやすく、管理者にとっては省コストで運用効率に優れた環境を構築しているのが、公立大学法人 北九州市立大学 (以下、北九州市立大学) です。

北九州市立大学は、大学、大学院合わせて約 6,500 名の学生を擁し、わが国の公立大学の中でも有数の規模を誇ります。また 2012 年度からは、文部科学省支援事業として、「グローバル人材育成推進事業」および「まちなかESDセンターを核とした実践的人材育成」が採択され、「地域に根ざし、時代をリードする人材の育成と知の創造」の教育目標の下で、次代を担う学生、研究者の育成が進められていると、公立大学法人 北九州市立大学 情報総合センター センター長 隈本 覚 氏は語ります。

「大学運営の主要な基盤システムである人事、給与、教務業務においては、既に ICT の利活用の基本的なしくみは構築済みです。これからは ICT を学生の学習支援にどう拡大、活用していくかが大きな課題となっていきます。今回の MS-VDI 導入は、そうした学生の学習インフラの整備、充実を進めていく取り組みの先鞭をつけるものといってよいでしょう」。

<導入の経緯>
デスクトップ仮想化 3 製品を比較して
投資対効果に優れた Hyper-V を選択

公立大学法人
北九州市立大学
北方キャンパス
学術情報課
学術情報係長
櫻木 正典 氏

株式会社 ソルネット
第2 SI&S事業部
公共/公益ソリューション部
文教ソリューショングループ
原 功治 氏

MS-VDI の導入プロジェクトが始まったのは 2012 年 12 月だったと、公立大学法人 北九州市立大学 北方キャンパス 学術情報課 学術情報係長 櫻木 正典 氏は振り返ります。

「直接の契機となったのは、Windows XP のサポート終了です。2014 年 4 月までに、学生が利用する自習室のクライアント OS をアップデートする必要がありました。そこでこれを PC 環境刷新の好機と前向きにとらえ、これまでの検討課題や問題点の解決を一気に図ろうと考えたのです」。

そこで同大学では、課題解決と運用改善に向けて大きく 8 項目のテーマを掲げました。ここにはそもそもの課題であるクライアント OS の更新はもちろん、「学生のユーザビリティーの向上とセキュリティ対策の迅速化」、「導入済み PC など既存資産の再利用と有効活用促進」、そして「システム運用における負荷とコストの大幅な削減」といった項目が盛り込まれました。

「MS-VDI によるデスクトップ仮想化導入以前は、個々の物理 PC の個体差や設定の違いから、学生から無用の問い合わせやトラブルが頻発していました。また、従来は起動のたびにその前の設定をすべてクリアしてしまう構成を採用していたために起動に要する時間が長く、最長で 10 分弱も要していたのです」 (櫻木 氏) 。

さらに、セキュリティの問題もありました。Windows Update や脆弱対策等のパッチは即日適用が望ましいとわかっていても、約 250 台もの PC に適用するのは容易ではありません。こうした運用管理のスピードを飛躍的にアップさせるうえでも、デスクトップ仮想化は有効な選択肢だったのです。

実際の製品選定にあたっては、Windows Server 2012 R2 Hyper-V や VMware などデスクトップ仮想化に実績のある 3 社の製品を選択して、評価版や少数評価ライセンスを購入。大学の技術メンバーを中心に、評価用のシステムを構築して検討を進めていきました。

「機能、性能、コスト、運用利便性、既存環境との親和性や移行の容易さなど、多岐にわたって比較、評価を実施しました。中でも既存環境との親和性は重要でした。運用が変わると、その分コストも新たに増えてしまうからです。こうした検証の結果、Hyper-V がユーザー満足度もコスト パフォーマンスも最も優れているという結論に達したのです」 (櫻木 氏) 。

中でも櫻木 氏が注目したのが、Windows Server 2012 から標準搭載になったリモート デスクトップ プロトコル RDP 8.0 です。「RDP 8.0 になって、他社製品のネットワークのトラフィック性能を大きく凌駕するようになりました。ICA や PCoIP と比較してまったく遜色ないばかりか、私たちの検証結果からはこれらを上回るパフォーマンスが確認されています。今回は、学内の LAN 回線の細いところでも実用に耐える構成を目指していたため、これは大きなポイントでした」。

もう 1 つ採用の決め手となったのが、大幅な省コスト効果です。櫻木 氏は、「何よりも、OS の標準機能だけで VDI 環境が構築できてしまうため、高いプロダクトを購入する必要性を感じなかった」と明かします。北九州市立大学のシステムを全面的にサポートしてきた株式会社ソルネット 第2 SI&S事業部 公共/公共ソリューション部 文教ソリューショングループ 原 功治 氏も、「北九州市立大学様では、既存の資産を有効活用するということを、IT 施策の重要な項目に掲げておられます。他社製品の場合、仮想化を実現するには専用のプロダクトやライセンスを購入する必要がありますが、Windows Server 2012 R2 標準搭載のハイパーバイザーである Hyper-V は、まったく追加コストが必要ありません」と、語ります。

この他にも、無償提供のクライアント アプリである Microsoft Remote Desktop Client を利用して、スマートフォンやタブレットなどを含む Windows 以外のデバイスからも利用できる点や、懸案だったクライアント PC の起動時間が現状の 3 倍以上にスピードアップできる点などが評価され、正式に採用が決定。2013 年 12 月からはサーバー環境の構築が始まり、2014 年 2 月には自習室や図書館に配置された約 250 台の PC が、仮想化デスクトップ環境に移行、利用を開始しました。

MS-VDI により、旧型 PC を最新の OS 環境で活用できる自習室


MS-VDI 環境下で、デスクトップ仮想化を活用した自習室利用風景

<導入効果>
実質的な「自習室のダウンタイム ゼロ」が実現
コストを最適化しながら学生の利便性を向上

公立大学法人
北九州市立大学
北方キャンパス
学術情報課
学術情報課長
江上 照明 氏

利用開始からまだ 3 か月ですが、膨大なアクセスが集中する 4 月の履修登録時も難なく乗り越え、新しい仮想デスクトップ環境は順調に稼働しています。この安定稼動の背景には、入念な事前検証などの技術評価があったと櫻木 氏は語ります。その好例が、製品選定時に行われた導入前検証テストでした。他社製品を提案していたあるベンダーが検証テストを大学の環境上で行うため 30 クライアントから接続して仮想マシンを同時に起動したところ、1 〜 2 台ほどセッションを張れないマシンが出てしまう結果になりました。

「そこで Hyper-V を使って同様の検証を実施した結果、クライアントが 60 台になってもセッションが張れないというケースは皆無でした。これなら履修登録時のアクセスのピーク運用にも十分耐えられると確信しました」 (原 氏) 。

この実装にあたっては Hyper-V の標準機能である動的メモリを使って、柔軟で効率の良いメモリ利用を実現しています。起動時にはメモリ割り当てを最大 2 GB に拡大して高速に起動し、その後ユーザーが使っていない待機時には 1 GB まで落ちるように設計した結果、利用の実態に合わせたメモリ リソースの最適化が可能になりました。また同時ログイン数は、論理上は仮想マシン 240 台以上可能に設計してあり、2014 年 4 月の履修登録時には、最高 180 台の同時ログインがありましたが、パフォーマンスの劣化などは一切なかったと言います。

システム自体のパフォーマンス向上にもまして、今回のデスクトップ仮想化がもたらした最大の成果は、やはりユーザーである学生の利便性がアップし、同時に運用担当者の作業負荷やコストが大幅に削減できたという、いわば一挙両得のメリットが実現された点です。

これまでは学生が自習室を利用しようと思っても、Windows Update の作業中で PC が利用できないといったことがしばしばありました。それが仮想化された結果、昼間の内に仮想ハードディスクに Windows Update をかけて待機させておき、学生の利用が終わった深夜にデプロイメントを済ませれば、翌朝また学生が利用する時には OS は最新になっています。

「従来は担当者が走り回ってパッチ適用を行っていたのが、夜中のうちに適用して、翌日学生が登校した時には既に安全な環境で PC を利用してもらうことができました」。

MS-VDI によって、実質的に「自習室のダウンタイム ゼロ」が実現できたと櫻木 氏は評価します。

また、これまでは約 250 台の PC の Windows Update 適用時に 2 人がかりで 5 日間かかっていたのが、MS-VDI 導入後は、1 人で 1 日に短縮されたと言います (図参照) 。こうした一連の成果について、公立大学法人 北九州市立大学 北方キャンパス 学術情報課 学術情報課長 江上 照明 氏はマネジメントの視点から、「つまり、10 分の 1 のコストでこれまで以上の高品質な運用管理が行えるようになったのです。これは非常に大きな運用コストの削減ですが、単なる節約ではなく、あくまで学生の利便性を担保したうえでの運用の最適化であり、エンド ユーザーである学生が安心して PC を活用できる環境が実現できたということが最大のメリットです」と評価しています。

加えて江上 氏は、既存資産の活用を実現できた点にも触れます。

「デスクトップの仮想化によって、既に 5 年くらい利用してきた PC の再利用が可能になりました。現在も Windows XP で使ってきた約 200 台を、MS-VDI を使って自習室に再配置しています。このしくみを今後継続的に活用していくことで、既存の PC の再利用でコストを抑えながら、常に最新の OS 環境を利用できるようになると期待しています」。

システム概要図[拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
シャドウイング機能によるヘルプデスクや
モバイルなどのマルチ デバイス対応を推進

櫻木 氏は今回の MS-VDI 導入を機に、これまでなかなか実現に踏み切れなかった新しい施策にチャレンジしていきたいと抱負を語ります。

「デスクトップ仮想化で運用効率が向上し、そこで生まれた労力やコストの余裕を、スマートフォンなどのデバイス対応といった、MS-VDI 活用の次のステップに振り向けていきたいと考えています。これまでは日々の運用管理に追われて、なかなかそこまで目を配れなかったのが、BYOD なども視野に入れた新しいステップに近づくためのパスが開かれつつあると感じています」。

そうした中で、櫻木 氏や原 氏を始め運用現場に携わるスタッフが注目しているのが、Windows Server 2012 R2 のセッション シャドウイング機能を利用したヘルプデスクの運用です。この機能を使うと、リモート デスクトップ上で複数のユーザーが同一画面にアクセス、操作できるため、ユーザーのデスクトップにヘルプデスクの担当者が直接アクセスしながら、説明、対応できるようになります。

「大学というのは、さまざまな年齢の方が在籍されています。文系だと PC に不慣れな学生さんも多く、電話でのヘルプには限界があります。そういう方々に対してセッション シャドウイング機能を使えば、PC に対する悩みがかなり解決できるのではないかと思っています」と、原 氏。

今回の学生の自習室を中心とした仮想化導入の成果をふまえ、隈本 氏は今後の取り組みとして、教職員の管理、運営用の PC の仮想化を通じたセキュリティ強化を挙げます。データを仮想デスクトップ環境に集約して、どこからでもアクセスできるようになれば、USB メモリの紛失といったリスクを物理的に回避できます。「そうした前向きな試みを通じて、本学全体の ICT 環境におけるセキュリティを大きく向上させていきたいというのが次の目標です」と語る隈本 氏。

グローバル化時代の人材教育推進を目指す北九州市立大学の取り組みを、マイクロソフトの最新デスクトップ仮想化技術が力強く支えていきます。

学内 PC のさまざまなサポートに対応しているヘルプデスクの皆さん

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