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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • 効率化
  • 最適化
  • オンデマンド
  • コスト

キリンビジネスシステム株式会社

 様に導入

稼働中の仮想サーバー上のシステムを移行する「V2V」で、
VMware を Windows Server 2008 R2 Hyper-V に変換
より使いやすいユーザー環境と Microsoft System Center による集中管理、
そしてサーバー統合率アップでコストダウンに成功

キリンビジネスシステム株式会社

キリンビジネスシステム株式会社

キリンビジネスシステム株式会社は、キリンビールやキリンビバレッジ、メルシャンなどを擁するキリングループの IT 関連業務を一手に担う情報システム企業です。同社では 2000 年以降、新旧システムの混在するサーバー環境を仮想化し統合することで、プラットフォームに依存しないシステム基盤を確立。さらに 2010 年には Windows Server 2008 R2 Hyper-V による既存の VMware からの V2V (Virtual to Virtual) 移行を開始し、2011 年内に全体の約半数、Windows Server の約 7 割におよぶサーバー仮想化を完了しました。この結果、サーバー統合率は約 1.5 倍に向上し、台数無制限のライセンス体系と合わせて、大幅なサーバー利用効率のアップとコスト削減に成功しています。

<導入の背景とねらい>
プラットフォーム フリーで機動性に富んだ
新たなサーバー環境に向け仮想化を決意

キリンビジネスシステム株式会社
情報技術統轄部
インフラ技術管理グループ
担当部長
吉田 幸博 氏

情報システムのアプリケーションやサービス拡大と共に、企業の抱えるサーバー台数は増え続け、それに伴うサーバー運用の負荷軽減が大きな課題になっています。また異種プラットフォームや新旧バージョンの混在は、ビジネス オンデマンドなシステム展開を実現するうえで大きな障害になっています。そしてこれらを解決するには、サーバーをソフトウェア化してより少ない物理サーバー上に集約する方法、すなわちサーバーの仮想化、統合が有効なのは改めて言うまでもありません。

キリンビジネスシステム株式会社 (以下、キリンビジネスシステム) も、このサーバー仮想化に早くから注目し、移行を積極的に進めてきた企業です。同社は長年にわたってキリン グループのシステム運用業務を手掛け、2007 年のキリンホールディングス株式会社発足以降は、グループで唯一の IT 関連業務を担う機能会社として存在を示しています。同社がサーバー仮想化に初めて着目したのは 2003 年のことだったと、キリンビジネスシステム株式会社 情報技術統轄部 インフラ技術管理グループ 担当部長 吉田 幸博 氏は振り返ります。

「当時、社内には Windows NT で動いている数百台のサーバーがあり、この古くなったサーバーをどう維持していくかが重要な課題になっていました。ハードウェアを更新しようにも、既に Windows NT に対応しない製品も出てきており、早急にプラットフォームに依存しない環境を新しく構築する必要性を痛感していました。また従来の物理サーバーでは、業務の現場が新しいサーバーを大至急欲しいと言ってきても、ハードウェアの評価に早くて 2 か月はかかります。かといって既存の古いサーバーを使おうにも、新しい機能に対応しない。もうこれまでのサーバー構築、運用のモデルでは、日々加速し続けるビジネスのスピードに追いつけなくなっていたのです」。

その悩みは、コスト対策の面でも同様でした。従来は、新しいソフトウェアを検討する場合、評価環境を構築するために、そのつど物理サーバーを購入せざるを得ませんでした。しかし、本当に使うかどうかわからないソフトウェアのためにサーバーを買ってしまうのは、投資として有効かどうかの議論が起こっていたと吉田 氏は言います。

「そうしたさまざまな問題を検討していった結果、解決策としてサーバーの仮想化が最もフィットするという結論に達しました。また仮想化には、アプリケーションを移行のためにユーザーの業務要件を変えない、つまりユーザーに負担をかけることがなく、運用側の作業だけで統合を実現できる。移行に伴うコストを節約できるといったメリットもあります。そこで当時、仮想化ツールとしては唯一の選択肢だった VMware による取り組みを、2004 年から進めることにしたのです」。

<導入の経緯>
使いやすさと統合率アップの期待で
Hyper-V への V2V 移行を実施

最初のサーバー仮想化から 6 年を経た 2010 年、キリンビジネスシステムは、新たなサーバー仮想化ツールの導入に乗り出します。これは Windows Server 2008 R2 に搭載された Hyper- V 2.0 (以下、Hyper-V) を使って、VMware 上で運用されている既存の仮想サーバーを Hyper-V 上へ移行、再集約しようという試みでした。吉田 氏は、Hyper-V の導入の決め手として、使いやすさとコストダウンへの期待があったと明かします。

「現在市場にある主要な仮想化製品は、機能自体はどれもほぼ同じです。しかし新しいツールには、今まで使ってきた製品では不可能だった、何か新しくできることがあるのではないか。それならば新しいものを使ってみたいという期待があったのです。今までも一部で旧バージョンの Hyper-V 1.0 は利用していたのですが、改めて最新の Hyper-V を試してみたところ、かなり使い勝手が良いことが感じられました。加えて、サーバー統合率の向上によって 1 台あたりの物理サーバー上に載せられるバーチャル マシンの台数が増えることもわかりました。これを使わない手はないと考えたのです」。

最新の Hyper-V では、それぞれの仮想サーバーに割り当てたメモリ量を、横断的かつ動的に調整するHyper-V 2.0 Dynamic Memory 機能 (以下、Dynamic Memory) が新たに提供されています。この機能によって、自動的に割り当て量を調整しながらサーバーのメモリをあますところなく利用できるため、結果的に 1 台の物理サーバーに搭載できる仮想サーバーの台数を増やせるのです。この機能が、運用コストの削減につながると評価されました。

また今回の事例で特に注目したいポイントとして、V2V による移行が挙げられます。たとえ仮想サーバーであれ、通常は問題なく稼働しているサーバーをあえて積極的に移行することは、システム運用の常識としては避けたいところです。

「現在、社内では物理、仮想とも合わせて約 1,500 台のサーバーが稼働しており、その 7 割が Windows プラットフォームです。主にメールやポータル、メッセンジャー、そしてファイル共有といったエンド ユーザー寄りの情報系システムですが、このボリューム ゾーンを仮想化するメリットは大きい。というのも 1 台のサーバーに、より多くのアプリケーションを搭載できるため、統合率をアップできるからです。なおかつ、それらのアプリケーションを迅速に導入して簡単に利用できるといった使い勝手の面でも、 Hyper-V に一日の長があると考えたのです」。

日常の運用という視点から見ても、仮想サーバーに載っているシステムの大半が Windows である以上、Windows のスキルセットを持つスタッフが多く、こうした技術者がまとまって管理しやすい体制を作れば、おのずと管理品質も向上するのは確実です。また人も製品も 1 つのカテゴリに限定することで、管理の効率化と統合率の向上が実現し、運用全体の効率が必然的にアップします。

「つまり運用的の眼から見ても使い慣れている分、統合化やスピードアップといった課題を実現するには、Hyper-V の方が VMware に比べてよりマッチするのです。それがあえて V2V 移行に踏み切った理由です」。

<導入効果>
サーバー統合率は約 1.5 倍にアップ
台数無制限のライセンスで追加も自由に

今回の Hyper-V への移行でもたらされた最大のメリットの 1 つは、サーバーの統合率と利用効率が大きく向上したことだったと吉田 氏は指摘します。

「以前のシステムでは、物理サーバー 1 台あたりの搭載ゲスト OS 数は 10 ~ 20 台でした。これが Hyper-V に移行してからは 15 ~ 25 台に増えているので、およそ 1.5 倍に統合率がアップしたことになります。また Dynamic Memory が、1 つの仮想プールの中でメモリの空きを見つけてはどんどん自動的に使い回していくので、常にメモリを効率よくフル稼働状態にできるため、物理サーバーの能力に無駄がなくなりました。さらにサーバーの能力のピークもあらかじめわかるので、1 台のサーバーの性能をあまさず使い切るのに Hyper-V は有効なツールだと言えます」。

こうした効率化に加えて、Hyper-V の実績やユーザビリティ、使いやすさも大きなメリットだと吉田 氏は指摘します。

「Hyper-V は、Windows アプリケーションの 1 つとして共通の見慣れたインターフェイスを持ち、使いやすい点に非常に好感を持っています。この使いやすさは、導入前の評価を行った際にも貢献しました。当社には VMware を通じて蓄積した仮想化のノウハウは既にあったので、あとは検証作業自体をいかに効率よく進めるかが重要でした。その点、Hyper-V は操作で迷ったりすることもなく、迅速かつ適確に評価作業を行っていくことができました。この評価を自社ですべてまかなえた経験が、その後の自社業務に最適化された機能実装につながったと自負しています」。

運用面で見た場合、Hyper-V の使いやすさを支えているのが Microsoft System Center です。Microsoft System Center は、同社のプライベート クラウド上にある仮想サーバー群やクライアント PC の情報を自動的に収集して運用監視を行い、管理者がシステムの状況をひとめで把握できる環境を提供しています。このためトラブル時の発見から対応、収拾までのリード タイムの短縮化などのメリットが実現しています。

一方、コストダウンに大きな効果をもたらしているのが、Hyper-V のライセンス体系です。同社では導入に際して、サーバー台数が無制限で利用可能な Windows Server 2008 R2 Datacenter Edition を選択しました。

「本気で統合率を上げて仮想サーバーを展開していくのなら、ライセンスのあり方を真剣に考えるべきだと、導入の当初から考えていました。仮想マシンの台数ごとに課金されるような制度だと、どうしてもサーバーの展開に制約が出てきますが、Windows Server 2008 R2 Datacenter Edition ではそういったことを考慮せずに、あくまでビジネス要件を優先にしたオンデマンドなサーバー追加、配置が行えるのです」。

システム構成図

システム構成図 [拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
より快適で生産性に優れた
ユーザーのための新しい IT 環境創造を

吉田 氏は今後のシステム展開について、Hyper-V 上で Microsoft SQL Server を中心にしたさまざまなサービスを提供していきたいと抱負を語ります。

「もちろん全部を機械的に移行するのではなく、Hyper-V の機能を十分に発揮できるものか、Hyper-V にフィットするサービスかどうかを吟味したうえで、ふさわしいものについては積極的に適用範囲を拡げていきたいと考えています。今後の具体的なシステムやサービスの企画を練る際には、常にそうしたアプローチが可能かどうかを念頭に置いて取り組んでいきます」。

最後に吉田 氏は、キリン グループの情報システムを支える自社の立場から、今後 IT に関していかに快適で生産性の高い環境をユーザーに提供していけるかが、大きな課題になっていくと明かします。

「これまでエンド ユーザーは、製品や職場環境、ツールといったさまざまな個別要件による、IT 利用の制限を感じてきたと思います。特に最近の急速なプライベート IT の発展を体験している人ほど、職場での利用環境とのギャップを覚える機会も多いのではないでしょうか。私たち IT システムの担当者としては、そうした会社の運用ポリシーやセキュリティを生かしたうえで、いかに個々のユーザーがストレスなく快適に IT を利用でき、ひいてはそれがビジネス全体の生産性向上につながるのかを、真剣に考えていかなくてはなりません。詳細な企画はまだこれからですが、近い将来、そういったサービス展開も実施したいと考えて、現在取り組みを始めているところです」。

キリン グループの成長を支える、より快適でハイパフォーマンスな IT 環境の創造に向けて、キリンビジネスシステムはこれからも力強く進んでいきます。

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