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社団医療法人財団董仙会 恵寿総合病院

 様に導入

600 台の Windows 8 ベース仮想クライアントで電子カルテとインターネットの共存を可能にし革新的な医療環境「ユニバーサル外来」を実現

写真: 恵寿総合病院

恵寿総合病院

社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院は、先端医療から介護、福祉、保健までを担う "けいじゅヘルスケアシステム" を形成し、能登半島の地域医療を支えています。同院では 80 周年を機に、高度化および多様化が進む医療需要を満たすため病院本館を新築。これに伴い従来の病院情報システムの課題を解決し、医療サービスの質を向上させるために Windows Server 2012 Hyper-V 3.0 および Microsoft VDI を導入して仮想環境を構築。診療系と情報系システムのシームレスな利用やセキュアなインターネット接続が可能になり、世界に類のない先進的医療環境『ユニバーサル外来』を実現しました。

<導入の背景とねらい>
必要に応じて診療科を変える画期的なコンセプト
『ユニバーサル外来』

写真: 神野 正博 氏

社会医療法人
財団董仙会
恵寿総合病院
理事長
神野 正博 氏

写真: 小澤 竹夫 氏

社会医療法人
財団董仙会
恵寿総合病院
本部事務局 総務部
情報管理課 課長
小澤 竹夫 氏

社会医療法人財団董仙会 恵寿総合病院(以下、恵寿総合病院)は、同院を中核として診療所、老人保健施設、身体障害者施設などからなる "けいじゅヘルスケアシステム" を形成し、地域医療を支えています。高齢化が進む能登半島の医療圏をカバーすべく、業界に先駆けて積極的に IT 化を進め、グループ全体の情報ネットワークを整えるだけではなく、地域の医療機関に電子カルテ閲覧や画像転送のしくみを提供するなど、医療の質を高める活動を続けてきました。さらに 2013 年には本館を建て直し、最先端の急性期医療を提供できる環境を整えました。

恵寿総合病院 理事長 神野 正博 氏は「当院の新棟には、内科や外科といった固定看板はひとつもありません。20 数室ある診療室は『ユニバーサル外来』というパソコンと診療用ベッドだけの施設になっています。この診療室は「今日は外科」「明日は整形外科」というように必要に応じて診療科を変えることができる、今までにない画期的な設備です。この新しいしくみを採用したことにより、受付業務の集約が進み、患者さんの動線が短くなり、病室や廊下が広くなり、先進の医療設備を導入できる広い手術室を実現できました。この『ユニバーサル外来』を実現する上で、最も重要な役割を果たしたのが仮想化技術でした」と新棟のコンセプトと仮想化技術の必要性を説明してくれました。

一般の病院は、診療科ごとに診療室が独立しており、端末も担当医師専用のパソコンが用意されています。しかし、『ユニバーサル外来』では、日によって診療科も、パソコンを使う医師も異なるため専用端末は置くことができません。『ユニバーサル外来』のコンセプトは、誰がどの端末からログインしても、常に自分専用の画面を呼び出せる仮想化技術なくしては実現できませんでした。

<導入の経緯>
600 台の Windows 8 仮想クライアントを同時接続して
電子カルテを稼働

写真: 堀本 明男 氏

株式会社
ソフトウェア・
サービス
技術開発部
次長
堀本 明男 氏

写真: 谷 守行 氏

デル株式会社
ソリューション・
サービス・
デリバリー統括本部
プロジェクト・
マネジメント部
プロジェクト・
マネージャ
谷 守行 氏

新棟建設を機に、電子カルテや PACS などの診療系システムや情報系システムもすべて刷新されることになりました。「当院は、1994 年の診療材料の IC タグ管理システムにはじまり、1997 年のオーダリング システム、2002 年の電子カルテ導入など積極的に IT 化を進めてきました。その過程でさまざまなサブシステムを追加開発してきた結果、システムが複雑化してしまい、運用上の課題を抱えていました。そこで、新棟建設を機にシンプルで障害に強いシステムへ刷新することを目指しました。また、旧システムでは、セキュリティ上の問題から診療系システムと情報系システムは物理的に分離されており、各診療科では電子カルテ用とインターネット用の端末を 2 台並べている状態でした。これについても、コスト削減と利便性向上に向けて一体化したいと考えていました」と恵寿総合病院 本部事務局 総務部 情報管理課 課長の小澤 竹夫 氏はシステム刷新前の課題を話します。

『ユニバーサル外来』の実現と既存システムが抱えていた課題をまとめて解決するために、デル株式会社が提案したのが、Windows Server 2012 Hyper–V 3.0 と Microsoft VDI を活用した院内システムの完全仮想化でした。「医療業界では、VMware や Citrix による仮想化は知られていますが、Hyper-V はあまり実績がないというのが当初の印象でした。しかし、提案を受けてさまざまな検証やコスト比較を行った結果、Hyper-V と Microsoft VDI による仮想化には十分なメリットがあることがわかりました。ハードウェアについては、故障が少なくパフォーマンスが安定している点を評価して Dell PowerEdge Server を選択しました」と小澤 氏は導入の経緯を話します。

恵寿総合病院の新システムには、39 台の Dell PowerEdge R820 が導入され、Hyper-V の仮想サーバー 56 台、VDI による仮想クライアント 600 台稼働を同時接続可能な構成が採用されました。なお、クライアントには Dell Latitude 5530 を採用し、 OS は、Windows XP から Windows 8 にアップグレード(一部デスクトップ機は Windows 7)。仮想クライアント 600 台を VDI で同時接続し、Windows 8 で電子カルテや PACS が稼働する環境は、世界でも例がない極めて先進的なシステム構成です。各サーバーとクライアントには、その性能を最大限に引き出すインテル Xeon プロセッサー・ファミリーと Core プロセッサー・ファミリーを搭載しています。例えば、Dell Latitude 5530 に搭載されている Core i3 プロセッサーは、長時間のバッテリー駆動を可能にし、内蔵されたセキュリティ機能により、深いレベルの保護に対応。また、インテル ハイパースレッディング・テクノロジーが実現するスマートなマルチ タスク処理により、複数のアプリケーションを同時に使用しても快適に操作できる環境が整いました。さらに、Hyper-V によるサーバー仮想化と、VDI によるクライアント仮想化により、どの診察室の端末からログインしても常に自分専用の環境を利用できる『ユニバーサル外来』を実現することができました。

仮想化によるもうひとつのメリットは 1 台の端末から、電子カルテもインターネットもシームレスに利用できるハイブリッド環境の実現です。システム構築を担当したデル株式会社 ソリューション・サービス・デリバリー統括本部 プロジェクト・マネジメント部の谷 守行 氏は「仮想 OS 上では、電子カルテも Internet Explorer もあたかも同じマシン上にあるように見えますが、それぞれ論理的に分離されたネットワークを経由して電子カルテにアクセスしたり、インターネットへ出ていく設定になっているため、セキュリティ上の問題が起きる心配はありません。また、情報関係のサービスをマイクロソフト製品に統一したことにより、各システム間の情報の連携が容易になり、それぞれのサービスの機能がフル活用できるため、ユーザーの利便性が向上しました」とそのしくみを説明します。電子カルテ側のシステムを担当した株式会社ソフトウェア・サービス 技術開発部 次長の堀本 明男 氏は「当社の電子カルテ『Newton2』のユーザー マスターと Active Directory を連携させ、電子カルテ、PACS、オーダリング、SharePoint Server、 Exchange Server、 Lync Server まですべてのシステムをシングル サインオンで利用できる環境を実現しています。弊社では数々の医療機関のシステム化を手掛けてきましたが、仮想化を全面的に採用しながら、シングル サインオンで診療系も情報系もシームレスに利用できる病院は他にはほとんどありません」とシステムの先進性を話します。

図: 仮想クライアントを利用できる『ユニバーサル外来』の診療室

仮想クライアントを利用できる
『ユニバーサル外来』の診療室

図: 恵寿総合病院のシステム概要図

恵寿総合病院のシステム概要図[拡大図]新しいウィンドウ

<導入効果>
デスクトップ環境を持ち歩け、
いつでもインターネットが使える利便性

『ユニバーサル外来』で診察を行う医師は、その日、割り当てられた診察室のデスクトップ端末に ID とパスワードを入力し、自分専用の画面を立ち上げます。すると、いつもの使い慣れた環境が立ち上がり、担当患者のカルテや自分のスケジュール、メールなどを表示できます。このとき、パソコンの使いやすさを左右するのは、ユーザー辞書やショートカット、ブックマークなど個人的にカスタマイズした細かな設定が引き継がれているかどうかです。たとえば、検索サイトで『けい・・』と入力したとき、理事長であれば「恵寿総合病院」と表示されたかもしれませんが、整形外科の医師であれば「頸椎・・・」、脳外科の医師であれば「頸動脈エコー・・」といったような普段使っているキーワードが表示されるかどうかが、使いやすさの重要なポイントになります。恵寿総合病院の仮想環境では、こうした細かな個人設定がすべて引き継がれるため、どの端末でログインしても違和感なく業務を行うことができます。また、書きかけのメールや書類があったとき、別の端末からログインしても作業内容が引き継がれるので、まるでデスクトップ環境を持ち歩いているようだと医師やスタッフから高い評価を得ています。

「医師が文献を検索したり、薬剤師が新しい薬の副作用を調べたり、事務スタッフが申請書などをダウンロードする際も、今はすべてインターネットが必要です。新しいシステムでは、電子カルテとインターネットを同じ端末で使えるようになり、便利になったという声が非常に多いですね」と小澤 氏は導入効果を話します。

また、神野 氏は経営視点での新システム導入メリットを以下のように話しています。「仮想化技術は恵寿総合病院だけではなく、グループ内すべての施設で利用できるため、グループ間の情報共有が促進され、異動による人材交流も進めやすくなったと考えています。また、仮想クライアント化により端末の CPU やメモリ、ハードディスクに依存せずシステムを利用できるので、これからはハードウェア更新に関わるコストを削減でき、使い続けるほど経営にプラス効果をもたらすと期待しています。」

システムの保守運用面では、これまで 1 台 1 台行っていたバージョン アップやアンチウイルス ソフトのパターンファイル更新などを、管理者側から一括で仮想クライアントに配布、更新できるというメリットが生まれました。さらに、システム全体がマイクロソフト製品で構成されていることにより、 OS や DB のバックアップなどを連携して実行できるので作業負荷を軽減できました。「これまではハードウェアが故障すると、辞書やマイ ドキュメントのファイルをすべて手作業で移行しなければなりませんでした。しかし、これからは代替機に置き換えるだけで良いので、管理は非常に楽になります」と小澤 氏は保守運用面のメリットを話します。

<今後の展望>
急性期から福祉までライフ サイクルすべてに安心をもたらす総合医療サービスを目指して

「今回のシステム構築では、仮想化だけではなく Exchange Server、SharePoint Server、Lync Server といったコミュニケーション基盤も最新版に刷新しました。これにより、Lync Server と Outlook を連携させてプレゼンスを確認したり、インスタント メッセージでコミュニケーションがとれるようになりました。今後、Lync Server をさらに活用して、音声と院内システムのデータ連携に取り組んでいきます。できれば年内に、PHS やナースコールなど音声系をすべて統合し、外部とビデオ会議をしながら電子カルテを参照できる環境も実現する予定です。これについては技術的な問題はすでにクリアできています。後はどのような方法で運用するかというグループのルールを決めるだけですので、なるべく早期に実現したいと考えています」と小澤 氏。

「当グループは『面倒見の良い医療』というスローガンを掲げています。これは、急性期医療から入退院後のケア、リハビリ、介護までライフ サイクルすべてに最適な医療サービスを提供することを目指すものです。それを実現するには、恵寿総合病院だけではなく老人保健施設も身体障害者施設もデイケア サービスも、グループすべてが密に連携していかなくてはなりません。しかも、今年7月には金沢市内に恵寿金沢病院が開院し、2015 年にはローレルハイツ恵寿という高齢者住宅もオープンすることが決定しています。ますます広域化が進む中でグループ間の連携を強化するには、Lync Server によるビデオ会議などのしくみが不可欠だと考えています。高齢化や過疎化が進む中、新病院の建設や IT 投資を拡大して良いのかという声もありますが、私はこの戦略が正しいと信じています。我々は、地域の方々に『面倒見の良い医療』を提供し、いつまでも安心して暮らしていただきたいのです。この安心して暮らせるという価値を、もっと広くアピールできれば、能登地区以外の地域から安心を求めて移住してくる人も増えると思うのです。そのような環境を実現するため、今後は行政とも連携し、仕事や生き甲斐づくりなどにも取り組んでいきたいと考えています」と神野 氏は、グループの事業にとどまらず能登地区の未来についての展望も語ってくれました。

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