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柏市

 様に導入

「柏の葉スマートシティ」のポテンシャル向上へ。Windows Embedded + Azure を活用した、先進的デジタル サイネージ活用で、コミュニティへの市民参加を促進

柏市では「公・民・学」の 3 者連携によって、国内屈指のまちづくり プロジェクト「柏の葉国際キャンパスタウン構想」を推進。地域活性化総合特区の指定を受け、「オープンイノベーションによるクリエイティビティの発現」と、「地域力によるサスティナブルな社会システムの構築」を目指しています。このプロジェクトには、市民の積極的な参加が重要であることから、効果的かつ効率的な情報発信手段を求めていた同市では、"ほかにはない" デジタル サイネージ活用を構想。複数のソリューションを検討した結果、選ばれたのは、組み込み OS の Windows Embedded 8 Standard と、パブリック クラウド サービスである Microsoft Azure を組み合わせた、ストリートメディア株式会社のソリューションでした。

<導入の背景とねらい>
未来を育むオープンなまちづくりへの市民参加を促すために、
より効果的な広報手段の獲得へ

写真: 奥山 勤也 氏

柏市 企画部
参事(柏の葉担当)
奥山 勤也 氏

写真: 石名坂 賢一 氏

柏市役所
経済産業部
商工振興課
副主幹
石名坂 賢一 氏

写真: 三牧 浩也 氏

柏の葉アーバンデザインセンター
[UDCK]
副センター長
三牧 浩也 氏

つくばエクスプレス「柏の葉キャンパス駅」を中心とした、約 273ha におよぶ広大な土地で進められている国内屈指のまちづくり プロジェクト「柏の葉国際キャンパスタウン」。「公・民・学」(公共、民間、大学) の連携によって、"国際学術研究都市・次世代環境都市" の創出を目指すこのプロジェクトは、多面的に進められています。

柏市 企画部 参事(柏の葉担当)奥山 勤也 氏は、このプロジェクトの概要について、次のように説明します。
「元々は、つくばエクスプレスの計画に合わせて、沿線全体で人口約 30 万人のまちづくりを目指したことからスタートしました。そして、2008 年 3 月に、東京大学や千葉大学の『学』、三井不動産グループをはじめとする企業や市民の『民』、そして NPO や私たち行政による『公』が連携しながらまちづくりを進めていくマスタープランとして、『柏の葉国際キャンパスタウン構想』が策定されました。このまちづくりでは、単なる郊外住宅地域を開発するのではなく、"環境共生都市"、"健康長寿都市" 、"新産業創造都市" という、3 つのテーマを掲げた課題解決モデルとしての都市づくりを前提としています。」

この構想を実現していくうえで、「オープンイノベーションによるクリエイティビティの発現」と、「地域力によるサスティナブルな社会システムの構築」を推進するため、「まちのクラブ活動」イベントや、世代を超えたつながりで支え合う地域コミュニティの育成など、さまざまな取り組みに、市民の主体的な参加を促しています。そうした地域交流の象徴となる拠点が、駅前に建てられた「柏の葉アーバンデザインセンター (以下、UDCK)」です。

UDCK 副センター長 三牧 浩也 氏は、次のように説明します。
「柏の葉のまちづくりの基本方針は、2008 年当時から一貫しています。そして、大学や企業、NPO など、非常に多くの関係者の知恵と力を結集すると共に、市民の方々の積極的な参加を得て、オープンに進めていることが大切なポイントです。行政が主導しているわけではありません。大学、企業、行政、そして市民が一緒になって前進しているのです。そしてこの UDCK は柏の葉のまちづくりを推進するための連携拠点となっています。」

UDCK は、東京大学や千葉大学が授業にも利用するほか、市民向けスクールやフォーラムなど、多彩な取り組みに活用されています。しかも、開館時間中は誰でも自由に出入りできるようになっているため、東大や千葉大の授業や、NPO が主催するワークショップなど活動は常にオープンになっているのです。

「さまざまな世代と立場の人が自由に交流し、新しい未来を育んでいく場所として育てていくためにはまず、UDCK の存在や、その取り組み内容について、地域の方々に広く知っていただく必要があります。そのために私たちも、地域に向けた積極的な情報提供に取り組んできました。」(三牧 氏)

柏の葉スマートシティでは、さまざまな取り組みに関する情報を、積極的に発信してきました。しかし、公・民・学の連携に応じ、庁内の各部署が協調するこの巨大なプロジェクトにおいて、すべての情報を即時的にチラシやパンフレットなどの配布物にまとめることは難しく、また、作成された配布物も、市民の手に触れる機会が限定されるという課題があります。

こうした状況を改善するために、柏市ではデジタル サイネージの街頭設置を実施。駅前や UDCK 内など、常に住民の目に触れる場所に、映像やテキスト情報を常に大画面で配信する筐体を設置し、インタラクティブなコンテンツなどを用意することで、多くの人の関心を引きつける、効率的な広報活動を可能にしています。

風雨や、激しい寒暖の差にさらされる厳しい屋外環境での安定稼働が課せられた、このデジタル サイネージ活用プランに最適なソリューションとして選択されたのは、組み込み OS の Windows Embedded 8 Standard と、パブリック クラウド サービスである Microsoft Azure を組み合わせて活用した、ストリートメディア株式会社 (以下、ストリートメディア) のソリューションでした。

柏の葉国際キャンパスタウン構想 8 つの目標

  1. 環境と共生する田園都市づくり
  2. 創造的な産業空間の醸成
  3. 国際的な学術・と教育・文化の形成
  4. サスティナブルな移動交通システム
  5. 健康を育む柏の葉スタイルの創出
  6. 公・民・学連携によるエリア マネジメントの実施
  7. 質の高い都市空間のデザイン
  8. イノベーション・フィールド都市

<システム概要と導入の経緯>
災害時の拠り所となる情報発信拠点とするべく
組み込み OS を活用した、信頼性の高い筐体を採用

柏の葉スマートシティのデジタル サイネージは、単なる「電子掲示板」ではありません。

「このサイネージは、このまちの日常的な情報発信を担うと共に、災害時の情報拠点としても機能するように設計されています。」と、奥山 氏は言います。

「平常時は、案内マップ、電車やバスの時刻表や、まちのイベント告知、そして柏市や UDCK の公式 Twitter 情報などを表示していますが、災害時には NHK の緊急放送に自動的に切り替わるようになっています。電源も十分に確保できるように、筐体の地下に充電池を備えています。」

柏市では、このソリューションにたどり着くまでに、展示会に足を運ぶなど、数多くの製品・コンテンツ サービスを比較検討してきたと言います。
「多くのソリューションが屋内設置を前提としており、過酷な屋外環境を対象としていませんでした。さらに、柏の葉で運用を続けるためには、台数の増加なども、少ない費用負担で実現できなければなりません。メンテナンスや提供コンテンツ プログラムを含めて、最良の選択肢を求めて各社の提案を検討した結果、ストリートメディアの提案が最適と判断しました。」(奥山 氏)

映像やグラフィックを多用する情報発信端末を制御するために、普通の PC を内蔵したデジタル サイネージも多く提供されているのに対し、ストリートメディアでは、長期の品質保証が求められる産業機器などに利用される組み込み OS、Windows Embedded 8 Standard を採用。通常の Windows とは異なり、対象となる機器および機能に合わせて、必要なモジュールを選択して組み込むことができる Embedded の利点を活かして、故障リスクが少ない、信頼性の高い端末を実現しています。
また、「起動時に Windows ロゴを表示させない」といったカスタマイズも可能な OS であるため、NHK の緊急放送への自動切り替えも、スムーズに行えるのです。

もう 1 点、ストリートメディアが Windows Embedded を採用している理由として、長期の製品供給 (15 年間)が得られることが挙げられます。
柏市がデジタル サイネージを導入、運用している予算には、環境や超高齢化社会に対応したモデル都市「環境未来都市」の 2012 年度選定によって得た、国の支援が充てられています。Windows Embedded であれば 5 年に及ぶ支援期間中に、確実な維持が図れる上、期間後に施策が継続する際にも、筐体が陳腐化する危険を防ぐことができるのです。

クラウド活用による運用負荷の軽減と
Windows プラットフォームの高汎用性

また、ストリートメディアのソリューションでは DVD などのメディアを使用することなく、Azure に置かれた CMS (Content Management System) を経由してオンラインで情報が配信されています。そのため、イベント情報などのアップデートも Azure 側で一括管理できます。サイネージの設置台数が増えたり、遠く離れた場所に設置した場合でも、運用・保守の手間はほぼ変わらずに済むのです。

「クラウドを活用することで、運用・保守に私たちの負担も少なく、フットワークが軽くなることは確かです。」と話す、柏市 経済産業部 商工振興課 副主幹 石名坂 賢一 氏は、さらにもう 1 つ、重要なポイントがあると続けます。

それが、汎用性の高さです。

「私たちが特に評価しているのは、このソリューションが、柏市のニーズに合わせてカスタマイズされたものではなく、Windows Embedded と Azure という親和性の高いテクノロジーをほぼそのまま組み合わせて活用した、非常に汎用性が高い環境だということです。カスタマイズされたシステムだと、運用開始後の機能変更や追加要望が発生した際にいろいろな不整合が生じる危険性がありますが、このソリューションならば、機能拡張が容易です。今後、さまざまな応用を考えている私たちにとって、一番重要なポイントだと言えるかも知れません。」

<導入効果>
なじみ深い Windows 8 のインターフェイスで
利用者が戸惑いなく操作

柏の葉スマートシティに設置されたデジタル サイネージは、Windows 8 のインターフェイスを真似ることで、インタラクティブな操作が行えることを、ごく自然にアピールしています。

その効果は大きく、「期待以上の反応も得られました。」と、石名坂 氏は言います。

「ある日、おばあさんの手を引いたお孫さんが、サイネージの画面を操作しながら、『これは、大きなスマートフォンだよ』と説明している場面に遭遇したことがあります。確かに、同じようなタッチ操作で、さまざまな情報を引き出すことができます。このように受け止めていただけると、周知もスムーズに進むだろうと安心したのを覚えています。また、ユーザーとして大学生以上の大人ばかり想定していたものですから、小さなお子さんでも、抵抗なく操作してくれたことはうれしかったですね。」

また、石名坂 氏は、「大きなスマートフォンという説明が、さらに相応しくなるように、アプリケーションやコンテンツを充実させていくことが、新たな課題でもあります。」と続けます。

「柏の葉スマートシティは、決して ""テクノロジーありき" で構想されているものではありません。しかし、美しい緑と自然環境を残しつつ、生活する上での利便性を高めた環境共生都市の実現には、エリア全域でのスマート グリッドを可能にするような高度なテクノロジーとネットワークの活用が欠かせません。そして、Windows Embedded と Azure を活用したこのサイネージには、柏の葉全体を支えるテクノロジーと、人々をつなぐ接点の 1 つとして、もっと広く、深く応用できる可能性があります。それだけのポテンシャルを持ったソリューションを導入できたことは、とても良かったと思います。」

活用案の 1 つとして、特に注目されているのが、多様なモバイル デバイスとの情報連携です。
「NFC (近距離無線通信 : Near Field Communication) 機能も搭載していますので、対応するスマートフォンやタブレット、さらには IC カードと連携できます。たとえば災害対策の一環として考えれば、予め登録しておいた端末を『サイネージにかざすだけ』で、身内の方々に、ご自身の無事を知らせることができるといったしくみも構築できるでしょう。」(石名坂 氏)

<今後の展望>
多様な取り組みをつなぐ社会インフラとして
汎用性の高さに期待

先進のテクノロジーとネットワークを積極的に活用し、「世界の未来像」に向けて歩み続ける "柏の葉"。

三牧 氏は、この町の最大の強みとして「地域のつながりによって、学びの機会が豊富に用意されていることが挙げられる。」と話します。
「学びといっても、大学のワークショップなどの難しい話ばかりではありません。この UDCK では、私たちの業務風景も覗いていただけますし、町の電力消費量や CO2 削減状況なども見える化が進んでいます。これも、何かの気付きを得ていただくことにつながると思います。そのほか、NPO の方々による『まちのクラブ活動』など、さまざまなコミュニティが、 1,000 人以上参加するメーリング リストなどのネットワークを作って活動しています。こうして、大学を中心とした新たな学問領域の構築と地域のつながりが、良いスパイラルを生んでいけることが、柏の葉の素晴らしいところだと思います。今後、サイネージ活用を深めていくことでこのスパイラルに参加してくれる人を、さらに増やしていけるといいですね。」

最後に奥山 氏は、フラットな社会基盤を実現する手段としてマイクロソフトのテクノロジーにも期待していると言います。
「柏の葉のプロジェクトには、さまざまな知恵と技術が活かされて、大人向けのプログラムから子供向けのプログラムまで、多種多様な交流が行われています。こうした、さまざまな取り組みを、もっと効率よく結びつけられる社会インフラとして ICT の活用を深めていきたいと考えています。その意味では、マイクロソフトが持っているテクノロジーが、このまちと人を、さらに強く結びつけるインフラとして活用できるのではないかと、大いに期待しています。」

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