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株式会社カネカ

 様に導入

シームレス オフィスの実現を目指し Microsoft Lync と Microsoft Office 365 を導入
通信コスト削減とスピード向上を実現し、全社の一体感強化で “One KANEKA” を目指す

写真:株式会社カネカ

株式会社カネカ

「カガクでネガイをカナエル会社」というキャッチ コピーで知られ、化学技術を活用した幅広い製品を提供し続けている株式会社カネカ。ここでは 2009 年に新たな長期経営ビジョン「KANEKA UNITED 宣言」への取り組みが始まっており、その一環としてコミュニケーション基盤が刷新されています。ここで採用されているのが、オンプレミス版の Lync 2010 と Office 365 の組み合わせです。電話機能を PBX から Lync へと移行することで通信コストが大幅に削減され、利用者の利便性も向上。それまでにあったコミュニケーションの壁が解消され、情報伝達、共有のスピード感も飛躍的に向上しています。コミュニケーションに対する社員の意識改革やワーク スタイル変革にも貢献。全社の一体感を高める基盤として、重要な役割を果たしています。

<導入の背景とねらい>
創立 60 周年を機に「KANEKA UNITED 宣言」を発表
その一環としてコミュニケーション基盤の刷新へ

株式会社カネカ
情報システム部長
笹部 泰史 氏

株式会社カネカ
情報システム部
上席幹部
矢吹 哲朗 氏

企業としての長期ビジョンを、全社一丸となって達成するにはどうすればいいのか。これは多くの経営者にとって、最も重要な経営課題だといえるでしょう。特に昨今のようにビジネスのグローバル化が進んでいる状況では、全社の一体感を創り出すことが難しくなっていきます。社員の活動拠点が多くなり、それらの物理的な距離も広がっているからです。相手がどこにいようとも、常にきめ細かいコミュニケーションが行える環境を確立しなければ、社内に情報共有、伝達の壁ができ、一体感が損なわれてしまう危険性が高くなります。

このような課題を解決するため、オンプレミス版の Lync 2010 と、クラウド サービスである Office 365 を連携させて活用しているのが、株式会社カネカ (以下、カネカ) です。同社は 1949 年に創立し、化学技術を活用した幅広い製品を提供し続けている企業。「カガクでネガイをカナエル会社」というキャッチ コピーの CM で、多くの人々に知られています。国内に数多くのグループ会社を持つ一方、グローバル化も積極的に推進しています。

2009 年には創立 60 周年を機に、新たな長期経営ビジョン「KANEKA UNITED 宣言」への取り組みをスタート。さらなる飛躍のため、価値のある製品、技術、サービスを継続的に生み出す「先見的価値共創グループ」の実現を目指すことになりました。そして 2010 年 4 月には、この目的を達成するため、業務革新プロジェクトが活動を開始します。

「"KANEKA UNITED 宣言" のキーとなる "変革" と "成長" を実現するため、研究開発の促進やグローバル市場での展開等の成長戦略など 5 つの経営施策を打ち出しましたが、その実現を後押しする 1 つの方策がコミュニケーションの活性化でした」と説明するのは、この当時の業務革新プロジェクト メンバーの 1 人、株式会社カネカ 情報システム部長の笹部 泰史 氏です。そしてそれまでのコミュニケーション基盤は、いくつかの問題を抱えていたと振り返ります。

まず第 1 の問題は、メール環境の老朽化です。カネカでは 1990 年代に Lotus Notes を導入していますが、この当時ですでに導入後 15年が経過しており、スペックや機能が時代遅れになっていたのです。また利用者ニーズに対応するため、インフラ負荷や運用負荷も増大していました。

第 2 は電話環境の問題です。当時のカネカは PBX ベースの内線電話と PHS、携帯電話が併用されていましたが、携帯電話の多用による通信コストの増大、人事異動時のレイアウト変更に伴う PBX の工事費発生の常態化、会議中に発生する PHS への割り込み通話、PHS を持ち歩かないメンバーに対する取り次ぎ業務の負担増など、数多くの課題を抱えていました。

そして第 3 が TV 会議システムの限界です。当時すでに TV 会議システムが導入されていましたが、使える場所が少なく、専用線がつながっていないと利用できないなど、日常的なコミュニケーション ツールとして活用することが難しい状況だったのです。

「これらの課題は以前から意識していましたが、社内にはほかにも重要な課題があるため、どうしても先送りされやすいという状況でした」と語るのは、株式会社カネカ 情報システム部 上席幹部の矢吹 哲朗 氏。「KANEKA UNITED 宣言」のスタートは、この状況を打破するきっかけになったと言います。そこでまず最初に行われたのが、老朽化した Notes への対応です。情報システム部を対象に 2009 年末に SharePoint Server を導入、2010 年には部門内での試用を開始しました。

このような取り組みをさらに大きく後押しすることになったのが、2010 年に方針が打ち出された大阪本社の移転でした。それまで入居していたビルが老朽化に伴い建て替えられることになったため、2012 年までに別のビルへと移転する必要に迫られたのです。このときカネカの経営陣は、「オフィス移転の機会を活かす施策を考えてほしい」と後に移転プロジェクトのコア メンバーとなる総務部、人事部、情報システム部に指示。矢吹 氏は、「これは千載一遇のチャンス、これまで変えることが難しかったコミュニケーション基盤を、根本から変革するトリガーになるはずだと考えました」と語ります。

<導入の経緯>
Lync Online の構想を評価し BPOS の採用を決定
Office 製品との親和性も大きな評価ポイントに

大阪本社移転の方針を受け、2010 年 10 月には、次世代のコミュニケーション基盤に関する調査を本格的に開始。「ターゲットは 2012 年、2年後に花開く技術を採用することが最大のテーマになりました」 (矢吹 氏)。メール、グループウェア、TV 会議、電話 (VoIP) をすべて統合できるソリューションを求め、複数ベンダーの製品やサービスの比較検討が進められました。

「Unified Communication を打ち出した製品は複数存在しましたが、実際には各機能がバラバラに提供されているケースが一般的でした」と矢吹 氏。Notes のバージョンアップも検討されましたが、インスタント メッセージ (IM) や Web 会議、電話との連携を提供する製品が Notes 本体と分離していたため、採用は難しかったと振り返ります。また「どこからでも利用できる」という利点に着目し、クラウド サービスも複数検討の俎上に乗せられました。その中には Google Apps も含まれていましたが、「当時は Google と中国政府がもめている状況にあり、中国ビジネスがグローバル化の鍵だと考えているカネカにとって、リスクになりうると判断しました」と語ります。

検討が進むにつれ、存在感が大きくなっていったのが、マイクロソフトのソリューションでした。特に BPOS (Business Productivity Online Suite、後の Office 365) は、当時からすでに Lync Online の構想があったため、大きな魅力があったと矢吹 氏は説明します。また使い慣れた Microsoft Office との親和性も、重要な評価ポイントとなりました。さらに 2011 年 3 月、本社を移転したばかりの日本マイクロソフト品川本社を見学したことも、マイクロソフト採用に傾くきっかけになったと言います。「最も感銘を受けたのは、ブース型の小さな会議室が数多く用意され、どこででも Lync でコミュニケートできるしくみです。またフロア間を吹き抜けでつなぐ構造も印象的でした。当時は新オフィスのイメージ作りをしていたころでしたが、この見学によって具体的な形が見えてきました」。

この見学の直後には、マイクロソフトの採用を前提にした検討へとシフト。新本社のオフィス空間設計にも、マイクロソフト品川本社見学によって具体化されたイメージが盛り込まれていきました。2011 年 8 月にはカネカ経営陣が参加するマイクロソフト品川本社見学ツアーも実施。2011 年 9 月に情報システム部門を対象に、BPOS の導入が行われます。そして 2011 年 12 月に、マイクロソフトの正式採用が決定するのです。

その後、2012 年 1 月には BPOS から Office 365 への移行を実施。2012 年 4 月に他部門への展開を開始し、2012 年 12 月に大阪本社、東京本社、国内各工場への導入を完了します。大阪本社ではこれと並行して、内線電話機能を提供するオンプレミス版の Lync Server も導入。これは 2012 年 11 月に完了。そして 2012 年 12 月に実施された大阪本社の移転に際して PBX を廃止しています。その翌月には東京本社へのオンプレミス版 Lync Server の横展開も行われています。

これにより実現されたコミュニケーション基盤の概略は図に示すとおりです。まず国内の全社員は社内外から Office 365 にアクセスでき、Exchange Online や Lync Online の機能を利用できます。また大阪本社と東京本社ではオンプレミス版の Lync Server によって、PC による内線電話の受発信が可能です。オンプレミス版の Lync Server と Office 365 の Lync Online は連携して動作するようになっており、Lync Online の機能は海外拠点や関連会社からも利用可能です。これに加えカネカでは、キャリアが提供する FMC (固定、携帯融合) サービスや IP 電話サービスも利用されており、これらとの通話も Lync 経由で行えるようになっています。

コミュニケーション基盤のシステム概要図[拡大図]新しいウィンドウ

<導入効果>
通話手段の最適化で通信費を大幅に削減
コミュニケーションのスピード感も加速

株式会社カネカ
情報システム部
運用管理チーム 主任
藤本 慶治 氏

「通話手段としては、Lync、FMC、キャリアの IP 電話という 3 種類を用意していますが、利用者はこれらの違いを意識する必要はありません」と矢吹 氏。通話相手や自分の通信環境に合わせて、最適な通話手段が自動的に選択され、シームレスに使えるようになっているからだと説明します。「利用者は Lync のプレゼンス機能で表示される相手の名前か、着信履歴をクリックするだけで発呼できます。できる限り Lync での通話が優先され、それが不可能な場合にキャリアの IP 電話や携帯電話での発呼が行われるようになっています」。

これによって通信費用は設計時の目論見通りに削減されてきています。「これまで最も大きなコスト要因になっていた、海外からの携帯電話による通話も海外拠点に Lync Online を横展開することにより、徐々に削減されてきています」と矢吹 氏。国内通話による通信費や PBX メンテナンス費用も削減されています。

その一方で「コミュニケーションに対する社員の考え方も大きく変わり、以前に比べてスマートになりました」というのは、株式会社カネカ 情報システム部 運用管理チーム 主任の藤本 慶治 氏です。藤本 氏はまず、電話のマナーがよくなったと指摘。以前は相手の状況を考慮することなく電話していたため、会議中に PHS が鳴ることも少なくありませんでしたが、現在では Lync のプレゼンス機能で相手の状況を確認したうえで電話をかける方が明らかに増加してきていると説明します。また相手に自分の状況を的確に伝えるため、Lync のプレゼンス機能と連動する Exchange Online のスケジュール機能に、自分の予定を入力する習慣も定着しました。以前の Notes 環境では部門ごとにスケジュール DB が分断されていましたが、Exchange Online では全社でスケジュール情報を共有できるため、部門間の壁も解消されてきていると言います。「最近では自席に戻ってプレゼンスを "オンライン" にした瞬間に電話がかかってくることが多くなりました。相手の状況に合わせて電話をすべきという意識の浸透は、このようなことからも感じ取れます」。

IM や Web 会議の活用も広がっています。IM は手軽なコミュニケーション手段として定着しつつあり、Web 会議は拠点間できめ細かい対話を行うために利用されています。「Lync の Web 会議は資料を共有しながら会議を行えますが、この機能へのニーズは極めて高く、すぐに活用が広がっていきました」と矢吹 氏。コミュニケーション基盤刷新を進めていた 2012 年の段階でもすでに、エンジニアリング部門や開発部門から「早く Lync を使いたい」という声が、数多く寄せられていたと振り返ります。情報システム部門でも頻繁に利用しており、8 拠点が参加する会議も開催されています。「最近は新しい販売管理システムの構築を進めていますが、そのための会議にも各地区の支店が Web 会議で参加しています。Lync がなければこのようなことは 100%不可能です」。

「気軽に使えることは、利用者の利便性向上に直結しています」と指摘するのは笹部 氏です。Lync と Office 365 の組み合わせによってコミュニケーションがフレキシブルになり、スピード感が向上したと言います。新本社では小規模な会議ブースが数多く用意されており、気軽に会議を行えるようになっていますが、会議室が埋まっていても Web 会議なら開催できます。そのため会議室の空きを待つことなく、鮮度の高い情報を共有しやすくなっていると語ります。

もちろん Notes から Exchange Online へのメール移行も、利用者の利便性を高めています。以前はメール ボックスが 100 MB しかなく、各利用者が頻繁にメール データをダウンロードし、メールボックスの空き容量を作る必要がありました。利用者によっては、この作業を毎月行っても追いつかないケースもあったと言います。しかし現在では 1 人あたり 25GB の容量を使うことができ、最新バージョンにアップグレードすれば 50GB まで拡張可能です。メール データをダウンロードして空き容量を確保する必要はありません。

Notes で構築、運用されていた各種データベースは約 2,000 種類ありましたが、これらの見直しも行われています。このうち半分はすでに利用されておらず、過去のアーカイブとして保存されています。また残りの半分も、業務分析から見直しを行ったり、共通テンプレートに適合させることで、Notes からの移行を進めています。移行先としては、SharePoint Online を選択するケースもありますが、新たなアプリケーションを構築して移行するケースもあると言います。このような移行作業は、2014 年度までに完了させる計画です。

<今後の展望>
Lync + Office 365 をグローバル基盤にし
全社のさらなる一体感向上を目指す

「新しいコミュニケーション基盤によって、カネカ全体が自然体で 1 つになりつつあると感じています」と矢吹 氏。利用者はすでに、部門間の壁や海外との壁を乗り越えており、コミュニケーションの質も大きく変化していると語ります。また藤本 氏は、「社外の人とのコミュニケーションも活発化しています」と指摘。

これに併せて「社内の情報管理規程も改訂しました」と言うのは笹部 氏です。たとえば、以前は自宅からのアクセスは禁止されていましたが、現在では宣誓書の提出を行うことで許可されるようになっています。「これも大きな変化です。リスクを念頭に置きながらも、これまで存在していた壁を低くしていこうという意識が強くなっています」。

現在 Lync による社内電話を利用できるのは大阪本社、東京本社の 2 拠点ですが、今後はこれをほかの国内拠点にも広げていく計画です。すでに 2013 年 4 月には、エンジニアリング部門と研究開発部門への展開を完了しており、この後も順次展開を進めていく予定です。

その一方で海外での利用も拡大していく予定です。現在は中国やアジア地域を中心に展開していますが、将来は欧州と米国にも日本国内と同様のしくみを導入し、これをグローバル基盤にする方向で検討が進められています。

「このコミュニケーション基盤で全社の一体感をさらに高め、"ワン・カネカ" を実現したいと考えています」と笹部 氏。その目標に向けて、カネカはさらなるステップを上りつつあるのです。

カネカの大阪新オフィスの様子。ミーティングに適したスペースが数多く用意され、
コミュニケーションが活性化するように配慮されている。
遠隔地間のコミュニケーションでは Lync も積極的に活用されている。

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