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医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンター

 様に導入

医療の質と患者満足度、そして医療安全のすべてを向上させる「患者参加型チーム医療」に貢献するベッドサイド情報端末に、Windows Embedded Standard 2009 を採用

医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンター

医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンター

医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンターでは、2005 年に全室個室の入院病棟「Kタワー」のオープンを機に導入したベッドサイド情報端末を窓口として、入院患者ともリアルタイムで情報を共有する真のチーム医療推進に取り組んでいます。そして、2012 年。従来のベッドサイド情報端末を運用する中で見えてきた機能の不足や運用上の課題を解消するために、端末のリニューアルを実施。新端末の開発を請け負った株式会社コンテックは、亀田メディカルセンターの要望を満たすために、Windows Embedded Standard 2009 を採用。デザイン、機能、信頼性、操作性のすべてに優れた端末を実現しています。

<導入の背景とねらい>
入院患者自身への電子カルテ情報の開示など、真のチーム医療確立に向けた情報の窓口を確保

千葉県鴨川市に位置する医療法人鉄蕉会 亀田メディカルセンター (以下、亀田メディカルセンター) は、亀田総合病院を中心とした、亀田クリニック、亀田リハビリテーション病院などの医療サービス施設から構成されています。最新の医療設備と手厚い医療サービスで知られ、日本各地はもとより、海外からの来院も多く、1 日平均で 3,000 名もの外来患者が訪れています。さらに、「断らない救急」を志向し、県内のみならず、東京都の離島関係並びに米軍基地関係など、広く緊急重篤患者の受け入れを行うなど、常に人々から高い信頼を集めてきました。

医療法人鉄蕉会
亀田総合病院
院長
亀田 信介 氏

医療の質的向上を追求し続けてきた亀田メディカルセンターでは、その一環として、医療の標準化などを目指し、早くから電子化に取り組んできました。1979 年に医事請求業務の電子化を行ったのをはじめとして、十数年の研究開発の末、独自の総合電子カルテシステムを構築。1995 年に亀田クリニックを設立すると同時に運用を開始。1999 年春よりナビゲーション・ケアマップ、電子カルテ、オーダリング システムを基幹としてすべての情報が統合的に電子化された、新しい統合型病院情報システムを病棟も含め全面稼働させています。
このような同院の先進的な電子化の取り組みは、今日に至るまで着実に医療の質の向上に貢献。2000 年 3 月には世界でも初めて 500 床以上の病院で医療の内容までに踏み込んで ISO9001 の認証を取得。また、2009 年 8 月には JCI (Joint Commission International) 認証を取得しています。

院内の電子化は、スムーズな情報共有につながっており、近年推進されている医療環境モデル「チーム医療」にも役立っていると、亀田総合病院 院長 亀田 信介 氏は話します。
「私たちは、さまざまな経緯があり、1995 年に医療情報をすべて電子化していくことを始めました。そして今、チーム医療ということが盛んに言われていますが、本当の意味でチーム医療を推進していくためには、リアルタイムでの情報共有が欠かせないと思います。よく『チーム医療』をオーケストラにたとえて話をするのですが、素晴らしい演奏をするためには、自分の奏でている音、そして、周りが奏でている音を、その場でしっかりと聞き取ることが必要です。耳栓をされた状態で、いい演奏をすることはできません。つまり、『院内で何が起きているか』、『チームが今何をしているか』、その中で『自分が何をしているか』を把握していくことが必要なのです。このためには、ICT による情報共有のしくみが欠かせません。」

さらに亀田 氏は、「チーム医療」には、患者の参加が欠かせないと続けます。
「チーム医療における『チーム』とは何か、と考えていくと、やはり患者さまとそのご家族も含まれてくると考えます。そもそも医療サービスというものは、患者さまがいなくては成り立ちません。患者さまも、医療スタッフと共に、『チーム医療』というオーケストラの舞台に立っているのです。しかし、今までは何の楽器も渡されていませんでした。そして、患者さまの耳に届く情報も『不十分』でした。そうした関係を改善し、医療チームと患者さまの間に、チームとしての、より深い信頼関係を築くために『患者参加型医療』を提唱し、推進しています。」

亀田メディカルセンターでは、インターネット環境が整い、セキュリティ技術が高められたことを受けて、Web 経由で電子カルテを確認できる南房総地域医療ネットワーク「PLANET」を 2002 年に構築。2005 年にオープンした全室個室の「Kタワー」では、全病室に備え付けたベッドサイド情報端末から、患者個人のカルテを自由に閲覧できるようにしています。

このベッドサイド情報端末は、テレビと PC の両方の機能を備えており、PLANET 閲覧のほか、地上波/BS/CS (3 波) のデジタル放送の視聴やインターネットへの接続、入院中の食事内容の選択、病院内の医療スタッフのプロフィール紹介から各種設備紹介など、入院患者に対し、さまざまな情報やサービスを提供しています。
しかし、7 年前に導入したベッドサイド情報端末には、改良すべき点も多かったと、亀田 氏は言います。
「いつも『Do & Think』と言っているのですが、机上で検討を重ね続けていても、実際に行動してみれば、それまで気付かなかったものが見えてくるものです。ベッドサイド情報端末についても同様で、機能の不足や、運用上の不都合など、導入してみると検討時には気が付かなかった課題がいくつも出てきました。そうした課題点を、最新の技術を使って解消できないかということで依頼を行いました。」

ベッドサイド情報端末のリニューアルを担当した株式会社コンテック (以下、コンテック) では、入院患者の生活に、そしてチーム医療の実践に欠かせないものとして、故障することが許されない端末の OS として Windows Embedded Standard 2009 を採用して、端末を開発しています。

<システム概要と導入メリット>
電子カルテの閲覧から食事の選択、買い物の依頼まで行える PC と、高画質テレビを 1 台の端末に同居

ベッドサイド情報端末で受けられる主なサービス (イメージ)

ベッドサイド情報端末で受けられる主なサービス (イメージ) [拡大する]新しいウィンドウ

コンテックの手によって生まれ変わったベッドサイド情報端末は、病室内に自然に調和するよう、白く、角に丸みを持たせた優しいデザインになっています。稼働するアプリケーションは、従来の端末用に Java で開発され、Windows 2000 Server 上で稼働していたものを、Windows Server 2008 および、新型端末用に改修してリプレース。従来できていた機能は何 1 つとして損なうことなく、より優れたベッドサイド情報端末として生まれ変わっています。

リモコンのスイッチでこの PC を起動するとポータル画面が立ち上がり、「PLANET」や「医師紹介」、「診療・手術のご案内」、「セルフチェック」、「ルームサービス」、「お食事選択」、「ショッピングチャンネル」、「インターネット」などのメニューが大きくアイコン表示され、タッチパネルで操作できるようになっています。
亀田 氏は、次のように説明します。
「患者参加型医療、と急に言われても、患者さまはどうしていいかわかりません。そこでまずは、入院されている間、ご自身で選択していただける事柄を増やしました。Kタワーは 24 時間面会可能な施設となっているのですが、入院エリアに入れるのは、患者さまの承認を受けて病院から IC カードを受け取られた方々のみです。これを『サポーター』と呼んでいるのですが、ご家族、ご友人など何人でも指名していただけます。まず、ここから "選択" が始まるわけです。さらに、毎日のお食事も、配膳の 2 時間前まで、ポータル画面上から選んでいただくことができるようになっています。」

こうして、医療サービスにかかわる一端を「選択する」という行為から、患者参加型医療が始まり、自分のカルテが閲覧できる情報公開のしくみが、チームとしての深い信頼醸成に役立つと、亀田 氏は続けます。
「PLANET で公開している電子カルテは日本語で書かれており、患者さまとサポーターに配布している IC カードをカード リーダーに挿入し、任意のパスワードを入力して閲覧できます。インターネットも使えますので、カルテで見た情報を検索して、より多くの知識を得ることも可能です。医師のプロフィールも『医師紹介』から公開していますし、投薬されているお薬の名前も掲載しています。これらすべてベッドにいながら、インターネットで調べていただけます。当院として、隠している情報は何もありません。こうすることで、患者さまとのより良い信頼関係を築くことができています。」

そしてもう 1 つ、このベッドサイド情報端末に込められているねらいが「病院にいても、日常と変わらない快適さを提供する」という思いでした。

「『入院』というと布で仕切られた大部屋に入れられて集団生活を強いられるというイメージがありますが、それは決して『病院だから仕方がない』ということではありません。ですから当院では、入院しているから不自由を我慢しなければならないのではなく、入院していても、日常と変わらないような快適な生活空間を演出できるように努力しています。このベッドサイド情報端末も、その一環であり、いつでも自由にテレビを見ることができます。また、『ショッピングチャンネル』では、Kタワーの一階に入っているコンビニエンス ストアの商品を選んで、院内にいるコンシェルジュに買い物を代行させることもできます。そうした利便性を提供することも、この端末の重要な役割となっています。」

リモコンのスイッチ 1 つでテレビと PC を切り替え、参照履歴などの個人情報も簡単操作ですべて消去

株式会社コンテック
デバイス & ソリューション事業部
マーケットソリューション営業部
メディカル営業グループ
マネージャー
和井田 寛信 氏

この利便性を、従来の端末よりもさらに使いやすく、快適な状態で提供するために、コンテックではいくつかの工夫を盛り込んでいます。従来の端末では低画質であったテレビ機能も、ハイビジョンの地上波/BS/CS (3 波) のデジタル放送対応に仕様を変更。さらに、筐体内の空間を分けてテレビと PC を個別に搭載することで完全に機能を分離。従来は、PC を立ち上げてからテレビ機能を起動する必要がありましたが、今は PC を使っていないときでも、リモコンにあるテレビ ボタンを押すだけですぐに、ハイビジョン画質のテレビが映し出されるようになっています。
また、ポータル画面の見やすさと操作性にこだわり、デザインとレスポンスを工夫。非常に反応の良いタッチパネル操作を実現しています。

このほか、退院後に、端末側に閲覧履歴などの情報を残さないようにするために、Windows Embedded Standard の標準機能を活かしていると、コンテック デバイス & ソリューション事業部 マーケットソリューション営業部 メディカル営業グループ マネージャー 和井田 寛信 氏は言います。
「Windows Embedded Standard を OS に採用している理由として、一番に挙げられるのが『壊れにくい』ということです。さらに、OS としてのサポート期間も長いため、安心して長期利用ができます。そして、患者さまの閲覧履歴を消去する必要があったのですが、これについて Windows Embedded Standard の標準機能である EWF (Enhanced Write Filter) を活用することで、メモリを仮想 HDD として利用し、ローカルの HDD へ記録を残さないようにしています。そのため、隠れた位置に配置した本体の主電源を落としてから再起動させると、それだけで患者さまが PC の機能を利用した際の履歴すべてが消えるようになっています。」

<今後の展望>
情報開示による信頼関係構築がリスク マネージメントにも効果。今後は地域を結ぶネットワーク構築へ

亀田 氏は、「患者参加型の医療の意義」について、最後に次のように話します。
「患者参加型の医療を推進する上で、ベッドサイド情報端末を入り口にする方法は、非常にうまくいっていると思います。コンテックさんのおかげでテレビも非常に美しくなり、患者さまたちにも大変好評です。実際のところ、端末が稼働している時間のうち、平均して 8 割近くは、みなさんテレビをご覧になっていると思います。
それだけの時間テレビをご覧になっているからといって、ポータルを起点とした情報共有がうまくいっていないと考えるのは、違うと思います。このベッドサイド情報端末から、自分の病気を調べることも、自分のカルテを見ることも、自分の担当医を見ることも、その担当医の経歴を調べることも、何でもできるということが重要なのです。入院すると不安もありますから、『本当は思っている以上に悪いのでは』と疑心暗鬼になる人もおられるでしょう。ですから『カルテなんて見せない』と言われれば見たくなるのが、患者さまの素直な心情です。でも、ここまで開示すると『もう見なくても大丈夫です』と言われる方が多くなります。ですから、実は、PLANET などの情報を公開したことによって、トラブルが起こったことはありません。良いことばかりでした。数年前まで、医療がブラックボックスであるとか、情報を隠しているということが盛んに言われましたけども、そういう関係は、お互いに不幸でしかありません。このマイナスを解消するためには、情報を開示することが有効なのです。ですから患者参加型医療を行い、医療の質、患者さまの満足、医療安全に貢献するものであり、医療機関にとって最高のリスク マネージメントになると捉えていいと思います。」

そして亀田 氏は、今後の展望として「患者主体の地域医療ネットワークの構築」を考えていると話します。
「今後、長寿高齢化が進むにつれて、医療の効率化と、医療の質の向上をいかに両立させていくかという非常に難しい課題に直面していきます。その中で ICT の果たす役割は、非常に大きいと思っています。そうした中、私たちは今、患者を主体とした地域医療ネットワークの構築を検討しています。個人の権限管理、認証を確実に行うしくみを構築し、医療と介護と行政を横断的につなぐ。そして患者の依頼、もしくは許諾を得たユーザーが、該当する医療情報を共有していけるようなネットワークです。この理想的なしくみを、鴨川をモデル地域として実現していきたいと考えています。」

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