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導入事例

 様に導入

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日本郵政スタッフ株式会社

 様に導入

Microsoft Visual Studio Online と Microsoft Azure の活用で、
開発/テスト環境をゼロから短期間で立ち上げることに成功
情報共有の円滑化とプロセス標準化によって、開発要員の効率的な活用も可能に

写真:日本郵政スタッフ株式会社

日本郵政スタッフ株式会社

日本郵政グループの人材総合サービス会社として、人材派遣、人材紹介、人事/総務/経理業務などの BPO を展開する日本郵政スタッフ株式会社。ここでは人事および経理業務の受託事業を支えるアプリケーション開発に、Visual Studio Online と Azure が活用されています。これによって開発/テスト環境の短期立ち上げに成功。またコードやバグ情報などの集約によって、開発者間の情報共有も円滑化されています。開発プロセスも標準化されており、開発者がストレスなくプロジェクト間を行き来できることで、開発要員の効率的な活用も実現。今後はチーム ルームやアプリケーション インサイト、継続的インテグレーションの活用も視野に入っており、新規受託ビジネスを加速できる基盤として大きな期待が寄せられています。

<導入の背景とねらい>
日本郵政グループに BPO サービスを提供
業務支援システムの開発環境構築が必要に

日本郵政スタッフ株式会社
BPOソリューション部
人事・経理集約センター
総務部IT担当
課長
長根 啓悟 氏

システム開発を伴う新規事業を立ち上げるケースでは、開発/テスト環境をどのように構築するかが重要なテーマの 1 つになります。しかし開発用サーバーやソフトウェアの整備には、予想以上の時間とコストがかかります。新規事業を早期に軌道に乗せるには、この時間とコストをできる限り圧縮しなければなりません。特に最近では、スピードと投資効率がシビアに求められるようになっており、迅速なプロジェクト立ち上げの重要性が高まってきています。

このような課題を、Visual Studio Online と Azure で解決しているのが、日本郵政スタッフ株式会社 (以下、日本郵政スタッフ) です。同社は郵政民営化/分社化に伴い 2007 年 7 月に設立された、日本郵政グループの人材総合サービス会社です。人材派遣、人材紹介、人事/総務/経理業務などの BPO (ビジネス プロセス アウトソーシング) を柱にビジネスを展開。日本郵政グループの一員としての "安心" 、 "信頼感" を基盤に、顧客満足度の高いサービスを、日本郵政グループ内の企業はもちろんのこと、グループ外の企業にも提供しています。

「日本郵政グループは、 "郵政民営化法等の一部を改正する等の法律" の成立によって、2012 年 10 月に新たな "日本郵政グループ" へと生まれ変わりました」と語るのは、日本郵政スタッフ株式会社 BPOソリューション部 人事・経理集約センター 総務部IT担当 課長の長根 啓悟 氏。グループが持つ能力を最大限に発揮すると共に、新たな可能性を求め、変革にチャレンジすることが目指されていると説明します。「このようなグループ ビジョンの下、以前はグループ外にアウトソースされていた各種業務を、グループ内に取り込んでいこうという方針が打ち出され、その一環としてグループ全体の人事および経理業務を、日本郵政スタッフが担うことになりました」。

人事および給与業務の対象となる社員数は約 40 万人。これだけの規模の業務を請け負うには、高度な IT 活用が欠かせません。日本郵政グループの給与関連システムと連携したサブシステムを、ゼロから立ち上げる必要があったのです。

日本郵政スタッフはまず、アプリケーション アーキテクチャの標準化に着手。バックエンド データベースに Microsoft SQL Server を使用し、.NET Framework でアプリケーションを開発する方針を固めます。当然ながら開発ツールとしては、Visual Studio の採用を決定します。

.NET Framework を選択した理由は、大きく 2 つあったと長根 氏は説明します。「 1 つはこのスキルを持った開発者が多いことです。その結果、開発者の確保が容易になり、新規開発体制を短期で立ち上げることが容易になります。もう 1 つは使い勝手の良いアプリケーションを開発しやすいことです。40 万人分の処理を効率的に行うには、ユーザビリティを徹底的に追及する必要があります。画面遷移やタブの実装、ファンクション キーの割り当てなど、.NET Framework ならきめ細かいユーザー インターフェイスを実現でき、入力作業を最適化できます。当初は Web アプリケーションも検討しましたが、大規模な入力処理が必要なアプリケーションは、.NET Framework によるクライアント/サーバー型が適していると判断しました」。

もちろん、開発支援とテスト環境の構築も大きな課題になりました。重視されたのは短期間での立ち上げです。その結果選ばれたのが、Visual Studio Online と Azure の組み合わせだったのです。

<導入の経緯>
迅速な立ち上げのためクラウド サービスを採用
開発開始までに要した時間はわずか 2 ~ 3 日

日本郵政スタッフが日本郵政グループの給与計算に関する業務を請け負うことになったのは、2013 年 4 月。前述のサブシステム アーキテクチャの標準化に向けた活動は、この時からスタートしました。約半年間の調査と検討を経て、2013 年 10 月には基本方針を決定。これと同時に、本番環境で SQL Server を動かすためのサーバー ハードウェアの導入と、Visual Studio Online の利用開始が行われました。

それではなぜ Visual Studio Online が選ばれたのでしょうか。その理由を長根 氏は以下のように説明します。

「開発環境をゼロから迅速に立ち上げるには、クラウド サービスの活用が理想的です。実はこの開発 (業務) の開始にあたって採用した開発者の中には、Microsoft Visual SourceSafe の経験者が多かったのですが、これはその後Team Foundation Server (TFS) になり、TFS をクラウド化したものが Visual Studio Online です。このサービスに対しては開発者からの好意的な意見も多く、これなら問題なく使えると考えました。またソース コードをクラウド上に置くことになりますが、Visual Studio Online なら十分なセキュリティが確保されているため、安心して使えます」。

まずはトライアルを兼ねて、Visual Studio Online 上で 1 本目のアプリケーション開発に着手。この時対象となったのは、地方税ポータル システム「eLTAX」という、地方税の電子申告を行うためのサブシステムでした。Visual Studio Online による開発環境はすぐに立ち上がり、2 ~ 3 日で使い始めることができたと長根 氏は振り返ります。

これと並行して、Azure 上でのテスト環境の構築もスタート。本番環境では 3 台のサーバーを使用し、SQL Server の冗長化 + レプリケーションを行っていますが、これとまったく同じ環境を Azure 上で実現しています。なお、Azure の環境構築では西日本データセンターを利用しており、これによってネットワーク遅延を最小限に抑えています。

開発環境、テスト環境、本番環境の全体像は図に示すとおりです。まず開発プロジェクトを Visual Studio Online 上で立ち上げ、開発者用の PC 上で動く Visual Studio でコードを作成、Visual Studio Online 上のリポジトリにチェックインします。コードをテストする時には、データベース テーブルを Azure 上の SQL Server に作成すると共に、ビルドされたアプリケーション (主に Visual Basic) を開発者用の PC に展開、クライアント/サーバー型で実行します。アプリケーションが完成したら、今度は本番環境の SQL Server と PC に、データベース テーブルとアプリケーションをデプロイします。オンプレミスの業務環境と Azure の間は仮想ネットワーク (VPN) によって、安全かつシームレスに接続されています。

「このような環境でトライアルを行った結果、開発/テスト作業がスムーズに進むことがわかりました」と長根 氏。最初の開発プロジェクトも順調に進み、「eLTAX」用サブシステムは 2013 年 12 月にリリースされたと言います。「期待を裏切らないサービスという印象だったので、そのまま継続利用することに決めました」。

その後、2 本目の給与処理関連アプリケーションを開発し、2014 年 4 月にリリース。これに加え「手当計算に関するチェック機能」や「コールセンターのパフォーマンス分析ツール」など、約 20 本に上る小規模アプリケーションの開発も進められています。また、給与計算に関する業務で最大規模となる、1,000 名のオペレーターが利用するアプリケーションを開発中です。

<導入効果>
情報共有の円滑化とプロセス標準化で属人性を排除
開発要員の無駄をなくした全体最適化が可能に

このように Visual Studio Online の活用は、開発/テスト環境の短期立ち上げに大きな貢献を果たしました。しかしメリットはこれだけにとどまらないと長根 氏は指摘します。

まず開発者間の情報共有が円滑化されました。すべてのコードとバグ情報が Visual Studio Online 上で一元管理されているため、開発を進めるうえで必要な情報に、即座にアクセスできるからです。また開発者が直感的に利用できる点も、大きなメリットだと言います。これらのメリットは、バグの減少や開発期間の短縮につながっています。

プロジェクトの立ち上げ、開発、テスト、デプロイのプロセスの標準化も容易になりました。日本郵政スタッフでは、業務を行うユーザーの要件ヒアリングを起点に、ウォーター フォール型で開発が行われていますが、開発プロセスの標準化によって、プロジェクトの立ち上げから本番環境へのリリースまでの流れが、把握しやすくなっています。

また長根 氏は「情報共有の円滑化やプロセスの標準化は、開発作業から属人性を排除するうえでも重要です」と説明します。これによって開発プロジェクト間での人材流動性も、確保しやすくなっているのです。「数多くのアプリケーションが並行して開発されていますが、開発がどのフェーズにあるのかによって、必要な要員数は大きく変動します。プロジェクトからプロジェクトへと開発者がストレスなく行き来できる環境を整備したことで、人材の無駄をなくした全体最適が可能になりました」。

Azure の活用によって、テスト環境の準備が短期化かつ低コスト化されたことも大きなメリットです。

「本番環境と同じものをオンプレミスで構築しようとすれば、ハードウェアの調達を含め 1 か月はかかるはずです」と長根 氏。これに対して Azure 上でのテスト環境構築は、わずか 1 週間で完了したと振り返ります。また構築コストもオンプレミスに比べて 1/10 になったと指摘。VPN の設定も行いやすく、社内の Microsoft Active Directory による認証管理も可能になっていると言います。

「アプリケーション開発を伴う業務受託は今回が初めてであり、ここで決められたことが今後行われるプロジェクトの社内標準になっていきます。Visual Studio Online と Azure の採用は、このような長期的な視点から見ても、最適な選択だったと考えています」。

日本郵政スタッフにおける、開発環境、テスト環境、本番環境の全体像。本番環境はオンプレミスで構築されていますが、開発/テスト環境はクラウド サービスが利用されています。これによって新規事業の短期立ち上げが可能になりました。 [拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
Visual Studio Online と Azure の可能性を
さらに引き出すことで新規事業を加速

現在 Visual Studio Online 上で行われているのは、コード管理とバグ管理ですが、今後は利用機能をさらに広げていく計画です。その 1 つとして挙げられているのが「チーム ルーム」です。

これを利用すれば、開発プロセスと密接に連携したコミュニケーションが可能になります。このようなコミュニケーション手段の存在も、Visual Studio Online の大きな利点だと長根 氏は指摘します。これに加え、Web ブラウザーでコーディングできる「Monaco (コードネーム)」や、アプリケーションの利用状況やパフォーマンスの分析が行える「アプリケーション インサイト」の活用も視野に入っていると語ります。

その一方で、Azure の活用領域を拡大することも検討されています。たとえばアプリケーション テストに関しては、Azure 上で負荷テスト用のエージェントを動かし、負荷を与えた状態でのパフォーマンス テストを行うことが計画されています。また本番環境の一部を Azure 上に実現することも考えられています。「現在人事データベースにアクセスできる Web アプリケーションの開発を進めていますが、Web サイトの構築は Azure に適しています」と長根 氏。また本番環境を Azure に置けば、Visual Studio Online の「継続的インテグレーション (自動ビルド、自動テスト、自動デプロイの機能) 」も利用可能になりますが、将来はこれも活用したいと語ります。

このように Visual Studio Online と Azure は、サービス構築の基盤として大きな将来性があると評価されています。「これらのポテンシャルを最大限に引き出すことで、新たな受託ビジネスにも積極的にチャレンジできると考えています」と長根 氏は、今後の展望に期待を寄せています。

Visual Studio Online のダッシュボード画面。プロジェクトの概況をひとめで把握できます。[拡大図]新しいウィンドウ


「住民税システム」の開発ヒストリー画面。チェックイン、チェックアウト、インシデント対応、リリースなどの履歴を確認できます。[拡大図]新しいウィンドウ

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