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株式会社日本海洋科学

 様に導入

電子海図の最適な活用を見据え、操船支援ツールとして、操作性と携行性に優れた Surface Pro 3 を採用。船上における「場所を選ばない海図利用」を実現することで、利便性とそれに伴う航海の安全性を向上

写真:株式会社日本海洋科学

株式会社日本海洋科学

1991 年、民間企業初となる操船シミュレーターの自社開発を行って以降、時代のニーズに適合した海事向けシステム ソリューションを提供する、株式会社日本海洋科学。海事分野のプロフェッショナルである同社は、システム面だけでなく、コンサルティングを通じて、海事にかかわる企業を支援しています。

国際海事機関による条約のもとで進められている船舶への電子海図情報表示装置 (ECDIS) 搭載の義務化により、船舶における急速なデジタル化が進む中、株式会社日本海洋科学では、2015 年より提供している i.MASTER によって、ECDIS への後方支援を行っています。同システムは、ECDIS によって使用が義務づけられる海図情報をより本船の現場で活用するべく、Windows タブレット デバイスを用いた遠隔利用の機能が実装されています。ECDIS ではブリッジ内での利用に限定されていた電子海図の利用が、ウイングや船室にまで拡大できる同システムは、電子海図の利便性向上や航行安全への貢献など、多くのメリットを海事社会へもたらしています。船上で用いるデバイスには、「操作性」「携行性」「堅牢性」の 3 点が必要となります。日本海洋科学では、それらすべてを高いレベルで備えていることを評価し、日本マイクロソフトの Surface Pro 3 をメインに採用しています。

<導入の背景とねらい>
義務化される ECDIS の船舶搭載。課題である操作性や利用場所の限定を打破するべく、Windows タブレット デバイス利用を検討

海事専門のコンサルティング企業として、操船シミュレーターや着離桟支援システムの開発と導入支援を行う、株式会社日本海洋科学 (以下、日本海洋科学)。コンサルティングや教育訓練など、システム面だけでなくあらゆる側面から海事にかかわる企業を支援する同社は、海事分野のプロフェッショナル企業といえます。

時代のニーズに沿って、提供ソリューションの変化を遂げてきた日本海洋科学ですが、昨今、海事社会におけるデジタル化は大きく加速しているといいます。現在起きている変化について、株式会社日本海洋科学 海事事業グループ 執行役員 統括部長 三戸 秀國 氏は、次のように説明します。

株式会社日本海洋科学 海事事業グループ 執行役員 統括部長 三戸 秀國 氏

株式会社日本海洋科学
海事事業グループ
執行役員
統括部長
三戸 秀國 氏

「1991 年に民間企業初となる操船シミュレーターを自社開発して以来、当社では時代のニーズに合ったさまざまなシステム開発を手がけてきましたが、近年、当社ビジネス領域におけるデジタル化は大きく加速しています。2012 年に、新しく建造される船舶への電子海図情報表示装置 (ECDIS) の搭載が義務化されましたが、2018 年までには既存船も含めたすべての船舶において、ECDIS の搭載が義務化されます。ECDIS では ENC と呼ばれる航海用電子海図を必要とし、操船のあり方が抜本的に変わってきており、海事社会は変革期を迎えています」(三戸 氏)。

ECDIS とは、航海計画の策定や、船舶の現在位置、進行方向および速度などを表示する、船舶用の運航支援システムです。船舶版のカー ナビゲーション システムとも言い換えられる ECDIS を用いることで、これまで紙の海図や定規、コンパスを用いて行われてきた業務は大幅に効率化され、その精度も向上することができます。

2018 年までに進められる全船舶への ECDIS 搭載義務化は、従来よりもさらに安全な航海を実現する見通しです。しかし一方で、ECDIS の搭載とそれを前提とした運用においては、「システム障害等の非常時における対策」と「利用場所の限定」の 2 側面で課題があると、三戸 氏は続けます。

「ECDIS は大きなメリットを海事社会へもたらしますが、仮にシステム障害が起きた場合、船内での海図確認ができなくなるリスクを内包しています。バックアップも含め 2 台の ECDIS 搭載を図ることもできますが、高価なシステムのため、すべての船舶が 2 台搭載を実装できるわけではないのです。さらに、ECDIS の利用は本船のブリッジ (操縦室) に限定されます。運河や港など、細かな操船を必要とする場面ではウイングに出て海図や本船の位置姿勢を確認することが多いのですが、ブリッジの外では電子海図を利用できない場合が多いのが現実です。当社では、これらの課題に応えるべく、『i.MASTER』という製品を提供しています」(三戸 氏)。

i.MASTER は、ECDIS 同様に電子海図情報の表示と、航海計画や操船を支援するシステムです。ECDIS と同等以上の機能を有しているため、複数台の ECDIS を搭載できない船舶におけるバックアップ用途や、高機能な支援ツールとして、大きなメリットを提供します。さらに、Bluetooth で接続することで、本船や他船の情報は Windows タブレット デバイス上でも確認でき、ウイング上においても利用が可能です。

「i.MASTER は機能性の他にバックアップ用途としても評価いただいていますが、Windows タブレット デバイス上で場所を限定せず利用できる点は、特にお客様から高く評価されています。デバイスについてはお客様と共に選定を行いますが、当社としては Surface Pro 3 をメイン デバイスとして推薦しており、国内の大手海運会社様でも、100 台近い Surface Pro 3 上で i.MASTER を利用いただいています」(三戸 氏)。

<導入の経緯とシステム概要>
船舶で求められる「操作性」「堅牢性」「携行性」の 3 点すべてを、Surface Pro 3 は高レベルで備えていた

i.MASTER は Windows ベースのシステムとなるため、デバイスの OS は Windows であることが前提となります。そこに加えて、船上で利用されるという性質から、「操作性」「堅牢性」「携行性」の 3 点が、デバイス選定の大きな要素になると、三戸 氏は語ります。

「ブリッジの揺れが大きくなる荒天時においても、正確に操船をモニタリングすべく、デバイスの操作性と携行性は重要な要件になります。i.MASTER はタッチ操作を前提とした UI です。大きな海図も表示するため、一定サイズ以上のタッチ ディスプレイを備えている点も、必須事項になります。また、デバイスの落下についても想定されるべきであり、堅牢性も同様に検証しなければなりません」(三戸 氏)。

これらの要件は、どれか 1 つでも欠けていては船上での用途に対応しきれず、3 点すべてを高いバランスで有していることが重要だと、三戸 氏は言います。

「大手海運会社様におけるデバイスの選定時、『高度な堅牢性』に特徴をもったデバイスを候補に入れて比較検討を行いました。堅牢性は確かにすばらしかったのですが、どうしてもサイズと操作性の面で納得できるレベルに到達せず、採用を見送ったのです。同時期から候補として挙げていた Surface Pro 3 は、先のデバイスほどではないものの、求める堅牢性はクリアしていました。何よりも小型、軽量でありながら、12 インチという大画面を搭載している点に大きく惹かれました。タッチなどの操作性も優れており、ペンを用いれば精密な作業も行うことができます。3 つの要件を考慮した場合、総合的なバランスは、Surface Pro 3 が圧倒的に優れていたのです」(三戸 氏)。

三戸 氏はさらに、3 点の要件以外の面でも、Surface Pro 3 には期待できる点が多くあったと続けます。

「i.MASTER では主にタッチ操作がメインになりますが、ブリッジや船室で利用する際は、メモ書きなどで文字入力を行う場面があります。お客様によってはそちらを重視し、ノート PC を希望いただくこともあるのですが、2 in 1 タイプの Surface Pro 3 であれば、タブレットとノート PC どちらの要件にも対応できるのです。また、性能の高さから、i.MASTER の操作以外における活用も視野に入れた拡張性を備えており、長時間の利用が可能なバッテリも搭載しています。あらゆるお客様のニーズに対応できると考え、i.MASTER のお客様へ案内するメイン デバイスとして、Surface Pro 3 の採用を決定しました」(三戸 氏)。

<システム概要と導入の効果>
電子海図の活用が最適化され、海難防止にも寄与。航海情報のアーカイブは、より安全な航海を実現する

2018 年に控えた ECDIS 搭載の義務化をきっかけに船内のデジタル化が加速する中、日本海洋科学では 2015 年より、i.MASTER と Surface Pro 3 の活用による操船支援を開始しています。大手海運会社への導入など、すでに多くの実績が生まれていますが、三戸 氏は Surface Pro 3 を採用した効果について、次のように説明します。

「航海計画の策定を行う際、航行に影響がある範囲については、あらかじめ円や線でエリアを描画しておく必要があります。ECDIS ではその作業がブリッジ内に限られていましたが、i.MASTER と Surface Pro 3 を採用したことで、船室など場所を選ばずに作業を行うことができますので、休憩時間なども有効に活用できるようになりました。Surface Pro 3 のペン操作は非常に精度が高く、操作性の高さについてお客様より喜びの声をいただくことも多いです。ウイングでの利用についても、大画面による優れた視認性は高い評価をいただいており、航行安全にも貢献できていると報告を受けています」(三戸 氏)。

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ブリッジ内だけでなくウイングでも電子海図が閲覧できる。運河や港など、ウイングに立ちながら慎重に舵を切る場面では特に活躍している

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ブリッジ内でも、手元のデバイスへのタッチ操作で航海計画を策定することができ、電子海図の利便性を大幅に向上することができた

さらに、デバイスの採用時から期待した点に加え、当初想定していなかった面においても、Surface Pro 3 のメリットが現れていると、三戸 氏は続けます。

「採用時にはそれほど重要視していなかったのですが、ストレージの容量が大きい点も、Surface Pro 3 の大きな利点だと感じています。航海計画や実際の航海ルートなどの航海データは、Surface Pro 3 上のローカル ストレージに保存されます。危険な状況も確認することができるので、過去の航跡を多く保存できることは、次回以降の航海を安全なものにできるという意味で、非常に有益なのです。携行性の高い Surface Pro 3 であれば、出航前の計画会議や入港後の振り返り会議の中で、収集データの共有も容易にできます」(三戸 氏)。

<今後の展望>
ビッグ データを活用し、世界中の船舶の安全航行への寄与を目指す

i.MASTER とそこでの Surface Pro 3 の提供は、船上で加速しているデジタル化をさらに発展できる可能性が秘められていると、三戸 氏は話します。

「現在、i.MASTER で取得した航海実績について、クラウド上に構築したサーバーへの収集を進めています。港や海峡など、世界中の航海ログを収集、分析することで、『より安全な航行経路の策定と標準化 (標準操船)』が実現できます。標準操船が提供できれば、初めて行く港であっても安全な航路を把握することができ、危険な個所の明確化も行えるようになる見通しです。さらに、これらのデータと連携し、Surface Pro 3 上にある i.MASTER をリアルタイムに活用することで、安全性はさらに増すことができます。これらのビッグ データは、訓練用の操船シナリオ検討にも有効ですので、i.MASTER を多くの船舶で使用いただき、情報の収集に努めていきたいですね」(三戸 氏)。

日本海洋科学では現在、最新 OS である Windows 10 についても検証が進められており、i.MASTER の動作検証が完了しだい、顧客へ推奨するメイン デバイスも Surface Pro 4 に変更される予定です。

世界中にある船舶の安全航行への寄与を目指す日本海洋科学。ECDIS 義務化の適用をきっかけに、i.MASTER を始めとした同社サービスの数々が、今後、より多くの船舶に採用されていくことは間違いありません。

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