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導入事例

 様に導入

  • 効率化
  • コスト

株式会社ジェイアール東日本情報システム

 様に導入

Windows Server 2012 の Hyper-V レプリカ機能によって、
ミッション クリティカルなシステムと同じ可用性を維持した検証環境構築の
工数削減と運用コスト低減、障害の再発防止にも貢献

株式会社ジェイアール東日本情報システム

株式会社ジェイアール
東日本情報システム

JR東日本グループのシステム開発を担う株式会社ジェイアール東日本情報システムは、鉄道運行管理や旅客営業、Suica、View カードなど、JR東日本およびJR東日本グループの社会インフラとして重要な役割を担うさまざまなミッション クリティカルなシステムの開発と運用を行っています。従来、同社ではこうしたシステムの高信頼性確保のため、障害の根本原因を特定し、障害の再発を防止する検証環境を本番環境と同等のストレージを設置し、データをコピーして検証していました。しかし同社では、データをコピーする手段の 1 つとして、Windows Server 2012 Hyper-V と Hyper-V レプリカに注目し、検証システムを Windows Server 2012 Hyper-V で構築しました。これによって、本番環境と同様の高い可用性を確保しながら、人手に頼っていたシステムやバックアップのレプリケーションを自動化し、トラブル発生時における原因究明の準備時間と作業工数を大幅に減らすことによって運用コストが低減可能なことを確認しました。

<導入のねらい>
高可用性を維持したまま検証環境を構築できる
Windows Server 2012 の Hyper-V レプリカに注目

株式会社ジェイアール東日本情報システム (以下、JEIS) は鉄道運行管理や旅客営業、Suica、View カードなど、JR東日本および JR東日本グループが社会インフラとして重要な役割を果たすためのミッション クリティカルなシステムの開発、運用を行っています。
こうしたシステムで高い信頼性を確保するためには、システム環境とデータのバックアップや障害発生時のすばやい復旧による可用性向上だけでなく、障害の根本原因を特定し、対策を行うことで再発を防止することが重要です。株式会社ジェイアール東日本情報システム システム開発本部リーダー 清水 宏之 氏が語ります。

株式会社ジェイアール東日本情報システム
システム開発本部
リーダー
清水 宏之 氏

「根本原因の特定には、本番環境と同等のハードウェア構成とアプリケーション構成、そして業務データが必要です。そして、刻々と変化する本番環境の業務データを検証環境で再現するには、本番環境から検証環境へ OS やアプリケーションはもちろん、データも含めてコピーしなければなりません。加えて、万一、不具合が発生した場合は、発生直前の状態を検証環境にいち早く準備し、不具合事象を再現させて原因を特定する必要があり、そのための準備時間をなるべく短くすることが求められます」。

そこで、JEIS では大型ストレージ装置を本番環境と検証環境の双方に設置し、ストレージのデータ コピー機能などを使って人手によってデータをコピーして検証作業を行ってきました。しかし、開発や運用にかかわるコストの削減が求められる中で、本番環境の可用性確保を大前提に、どうすれば運用コストを引き下げて、検証環境の構築と運用ができるかが大きな課題になっていました。

「そうした中で、新しくリリースされる Windows Server 2012 Hyper-V の新機能として、Hyper-V レプリカが提供されると聞きました。レプリカはディザスタ リカバリ (災害などによる被害からの回復措置) のための機能ですが、当社が運営を担っている本番環境と検証環境間のデータ コピーをディザスタ リカバリと同様に考えれば、レプリカを使えるのではないかと考えたのです」(清水 氏)。

<テスト環境の構築と検証>
OS とアプリケーション レベルでの整合性を持たせ、異なるドメインでも
システムの設計思想を変更せずにレプリケーションを実現

今回 JEIS では、Windows Server 2012 の製品開発段階 (ベータ版) から検証を行うことを決定し、実際に運用中のシステムを用いて検証することを前提に検証プロジェクトをスタートさせました。そこで最も意識したのは、それぞれ長い間積み重ねてきた設計思想を変更することなく、Windows Server 2012 の新機能である Hyper-V レプリカを利用して運用時における作業工数の効率化ができるのかという点でした。株式会社ジェイアール東日本情報システム システム開発本部 中村 聖志 氏が説明します。

株式会社ジェイアール東日本情報システム
システム開発本部
中村 聖志 氏

「今回、当社が有するシステムの一部業務のアプリケーションと業務データを使って代表的な機能に関するサンプル的な検証作業をしました。そのシステムは本番環境と検証環境で、Active Directly を分けているため、異なるドメインの中で、レプリケーションができるかどうかが最大の問題でした。一般的には同一ドメインの方がやりやすいという話でしたが、簡単に設計思想を変えるわけにはいきません。マイクロソフトさんの助言を受けながら、工夫して、レプリケーションを行うことができました」(中村 氏)

<パイロット環境の導入>
本番環境は Hyper-V クラスターで可用性を担保、
検証環境は共有ファイル サーバーでコスト削減

今回の検証システムでは、Windows Server 2012 製品候補版を導入したサーバーを 8 台用意し、Hyper-V による本番環境から検証環境へのアプリケーションおよび業務データのレプリケーションができるようになっています (図)。

検証用に構築したシステムの構成図

図 検証用に構築したシステムの構成図 [拡大図]新しいウィンドウ

「Windows Server 2012 Hyper-V は製品候補版でしたが、完成度は非常に高いものであると感じました。日本語にも対応しており、OS まわりの構築過程で悩むことはほとんどありませんでした」(中村 氏)。

実際のシステムでは、本番環境側はストレージを接続した Hyper-V クラスターを構築し、ハードウェア障害時にいち早く仮想サーバーを別ノードで再稼働させることができます。これによって、従来 SAN ストレージでフェールオーバーさせていた時と比べると構築や設定が容易になり、iSCSI ストレージになったことで低コスト化も実現しつつ高可用性を維持できました。一方、検証環境側は、クラスター化した共有ファイル サーバーと単独構成の Hyper-V サーバーを構築。こちらも iSCSI ストレージを採用するとともに共有ファイル サーバーに集約しました。

<導入の効果と今後の展望>
Hyper-V レプリカによるレプリケーションの自動化が、
コスト圧縮と高可用性の実現や人為的ミス発生の可能性をなくす

今回構築した検証システムでは、検証環境の構築の手間が大幅に効率化され、レプリケーションの自動化によって運用コストを削減するという当初の目標は十分に達成されると評価しています。また、人手を介すことによる人為的ミスの可能性をなくすことができることも大きなメリットです。

不具合の根本原因の調査は、検証環境で障害発生時の状況を再現させて行いますが、データとアプリケーションのバージョンも本番環境と一致していないと意味がありません。そこで、従来はデータベースのバックアップと連携して、1 日 1 回、バックアップ ファイルのコピーが 3 時間かけて行われ、それとは別にトランザクション ログを 2 時間に 1 回コピーしていました。この作業は一部自動化されているとはいえ、これらの準備時間がかかるため、トラブル発生時における原因究明の調査開始までの待ち時間となっていました。また、人為的ミスの発生の可能性も考慮しなければなりません。

障害調査環境構築の
事前条件と作業例
従来の環境 Hyper-V レプリカ環境
データベースの定例バックアップ(フル / 差分) 1 日 1 回取得 同様
バックアップ ファイルの環境間コピー 1 日 1 回コピー
(所要時間180 分)
Hyper-V レプリカ機能で常時コピー
トランザクション ログの環境間コピー 2 時間に 1 回コピー
(所要時間:15 分)
Hyper-V レプリカ機能で常時コピー
検証環境における
不具合再現環境の構築
バックアップ ファイルのリストア
(所要時間:90 分)
Hyper-V レプリカ機能の テスト フェールオーバーを実施
(所要時間:10 分)
トランザクション ログの適用
(所要時間:10 ~ 30 分)
アプリケーション バージョンの一致化(所要時間:30 分)
検証環境における
不具合再現環境の
構築所要時間計
所要時間:130 ~ 150 分 所要時間:10 分

「Windows Server 2012 では、Hyper-V レプリカ機能によって、アプリケーションやデータベース上のデータは 5 分周期でレプリケーションされ、検証環境での再現もテスト フェールオーバーを使って直ちに行えるようになり、待ち時間は大幅に短縮しました (表)。もちろん、可用性の面でも、レプリケーションを行いつつライブ マイグレーション機能やストレージ ライブ マイグレーション機能による機器の計画停止時の対処を稼働検証しましたが、問題なくシステムを稼働させることができています」(清水 氏)。

「これらの一連の作業に必要なレプリカの操作は非常に簡単で、とてもわかりやすいため、人為的ミスも起きにくいと思われます。また、Windows Server 2012 には Windows PowerShell 向けの Hyper-V モジュールが標準で組み込まれているため、これらのコマンドレットを利用して自動化することで、作業の効率化ができると期待しています」(中村 氏)。

JEIS では、今回の検証結果を踏まえて、同社の保有するシステムの一部機能について、Windows Server 2012 Hyper-V で構築し、ユーザーに提供できないか検討を進め、今後更新するシステムについても、Windows Server 2012 Hyper-V の採用を検討していく考えです。

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