612
導入事例

 様に導入

  • 最適化

日本郵便株式会社

 様に導入

Microsoft Dynamics CRM をはじめとするマイクロソフト テクノロジーを活用して営業支援システムを刷新
多様な情報がシームレスに連携する情報基盤でソリューション営業をさらに強化

写真:日本郵便株式会社

日本郵便株式会社

多様な商品やサービスを、全国の郵便局ネットワークを通じて提供している日本郵便株式会社 (以下、日本郵便)。同社の郵便・物流法人営業部では、顧客企業へのソリューション営業を支える営業支援システムを、Microsoft Dynamics CRM をはじめとするマイクロソフト製品によって刷新しました。これによって多様な情報をシームレスに連携できる基盤を確立、営業現場のセルフ マネージメントやチーム マネージメントの効率を高めると共に、成功事例の横展開を容易にしています。その一方で、営業担当者が集めた膨大なデータの柔軟な分析によって、顧客アプローチの戦略および施策の精緻化も実現。蓄積された情報は他部門とも共有されており、全社レベルの経営分析ツールとしても、重要な役割を果たしつつあります。

<導入の背景とねらい>
顧客ニーズを重視したソリューション営業へとシフト

写真: 阿部 利秋 氏

日本郵便株式会社 本社
郵便・物流法人営業部
部長
阿部 利秋 氏

写真: 田中 豊 氏

日本郵便株式会社 本社
郵便・物流法人営業部
課長
田中 豊 氏

プロダクト営業からソリューション営業へ。営業スタイルをこのようにシフトさせたいと考えている企業経営者は、決して少なくないはずです。変化の激しい時代には、いかに優れた商品やサービスを持っていたとしても、それらが陳腐化し競争力を失う危険性は常に存在します。しかし顧客および潜在顧客のニーズやウォンツを先取りし、それに最適なソリューションを複数の商品やサービスの組み合わせで提案できるようになれば、市場の変化にも追随しやすくなります。場合によってはニーズに応じて、新たな商品やサービスを生み出すことも考えなければなりません。

このような「ソリューション営業へのシフト」を支える情報基盤として、Microsoft Dynamics CRM や各種マイクロソフト テクノロジーを積極的に活用しているのが、日本郵便株式会社 郵便・物流法人営業部 (以下、日本郵便 法人営業部) です。

日本郵便は「改正郵政民営化法」に基づき、郵便局株式会社が郵便事業株式会社を吸収合併することで 2012 年 10 月に誕生。手紙やはがきなどの信書便事業 (郵便事業) 、ゆうパックなどの物流事業、ゆうちょ銀行およびかんぽ生命から受託する銀行窓口業務および保険窓口業務など郵便局を通じてユニバーサル サービスを展開しています。多様な商品やサービスを全国の郵便局ネットワークを通じて提供することで、安全、安心、快適、豊かな生活をサポートする「トータル生活サポート企業」を目指しています。郵便・物流法人営業部はその中において、法人を対象にした大口の郵便や物流の営業を担当しており、企業の事業発展および郵便・荷物などを受け取るエンド ユーザーの生活利便性向上に貢献できるようなトータル サービスの提案をしています。

「民営化 (2007 年 10 月) 前後は物流シェアの獲得を重視し、ギフト需要などのパイが大きい業界への営業に力を入れていましたが、荷動きにおける季節変動が激しく、安定したオペレーションを構築しにくいという課題を抱えていました」。このように語るのは、日本郵便 法人営業部 部長の阿部 利秋 氏です。近年は自社のオペレーション効率も意識した営業戦略を展開。成長市場で今後の顧客企業の成長が見込め、日本郵便の特性が活かせる多頻度かつ小物の物流ニーズが高い、通販業界を中心に営業活動しています。バランスのとれた営業展開により、ビジネスの季節変動を平準化できつつあると言います。

これに加え「通販企業様に対する営業活動では、商品物流のみならず、ダイレクト メールの配達など、多様なビジネス チャンスがあります」と指摘するのは、日本郵便 法人営業部 課長の田中 豊 氏です。このチャンスを活かすため、最近では複数のサービスを組み合わせたクロス セル型の提案や、顧客企業の他部門への提案など、さまざまなプロモーションを展開していると説明します。「お客様の課題をお聞きし、それに最適なソリューションを提案する。これによってお客様のビジネス成長をお手伝いしたいと考えています」。

顧客ニーズに合わせたサービス開発にも積極的に取り組んでいます。その 1 つとして阿部 氏が挙げるのが「ゆうパケット」です。これは小さな荷物を受取人の郵便受けに配達するサービスです。「通販商品などの配達時に不在だった場合のやり取りが面倒」、「配達を待つ時間が苦痛」といった通販利用者の声を通販事業者から聞き取り、これらの問題を解決するために考案されました。また 2015 年 4 月には、郵便局の受け取りロッカー サービス「はこぽす」もスタートしました。「荷物は近くの郵便局で受け取りたいが、そのために窓口に並ぶのは面倒」という通販利用者の声に応えています。

<導入の経緯>
多様な情報をシームレスに連携、カスタマイズも容易に

写真: 山根 暁史 氏

日本郵便株式会社 本社
郵便・物流法人営業部
主任
山根 暁史 氏

写真: 中河 栄輔 氏

日本郵便株式会社 本社
郵便・物流法人営業部
主任
中河 栄輔 氏

このようなソリューション営業を推進するうえで重要な役割を果たしているのが、顧客情報や案件履歴などを管理および共有する営業支援システムの存在です。日本郵便 法人営業部では、2007 年に最初の営業支援システムを導入。2014 年 11 月にはその第 3 世代となるシステムが動き始めています。このシステムの中核となっているのが、Microsoft Dynamics CRM なのです。

ソフトウェアの構成は図に示すとおりです。Microsoft Dynamics CRM が、スケジュール管理を行う Microsoft Exchange Server、ドキュメント管理機能やポータル機能を提供する Microsoft SharePoint Server、Web ブラウザーでのアクセスを可能にする Microsoft Internet Information Services (IIS) と連携しています。また入力された各種データは Microsoft SQL Server で管理、定型的なレポーティングのほか、SQL Server Analysis Service による自由なデータ分析もサポートしています。このシステムへのアクセスは基本的に Microsoft Outlook から行うようになっていますが、Web ブラウザーから利用することも可能です。

日本郵便 法人営業部 主任の山根 暁史 氏は、「このようなシステム構成によって、各種機能がシームレスに連携する、シンプルな操作性が実現できました」と語ります。営業現場で Outlook を本格的に活用するのは今回が初めてでしたが、1 つの画面で業務が完結するためすぐに使いこなせるようになり、画面遷移もスピーディなのでユーザーのストレスも解消されていると言います。「システムに格納されたデータの操作性も、以前より高くなりました。一覧表示などの可視化も行いやすくなっています」。

その一方で、「社内で手軽にカスタマイズできるようになったことも魅力の 1 つです」と指摘するのは、日本郵便 法人営業部 主任の中河 栄輔 氏です。以前のシステムは IT ベンダーがスクラッチ開発したもので、取り扱うデータや機能の追加を行うには、ベンダーに依頼して改修してもらうしかありませんでした。これに対して Microsoft Dynamics CRM は、IT に関する高度な専門知識を持たないユーザー企業の管理者でも、さまざまなカスタマイズが行えます。「たとえば、競合他社の商品情報を追加して欲しいといった要望にも、すぐに対応できます。業界のスピードに速やかに追随できる、柔軟なシステムだと思います」。

本システムのコア ユーザーは約 400 名。主として、全国 6 支社の法人営業チームと法人営業企画ライン、本社の法人営業部企画ラインが利用しています。この他、データからのレポートを参照するユーザーが全国に 10,000 名います。

支社の営業担当者は、活動内容や案件の進捗状況、担当顧客企業に関する情報などを日々入力しており、営業担当者に割り振られた売上目標を達成するための、セルフ マネージメントのツールとして活用しています。また営業チームのマネージャーはこれによって、チーム メンバーの活動状況管理や目標達成のためのチーム マネージメントを行っています。各支社の企画ラインは、支社ごとの戦略や施策を立案するためのデータ分析をこのシステムで実施。本社の企画ラインは全社レベルの戦略と施策立案のためのデータ分析のほか、ユーザーの要望に応じたシステムのカスタマイズも担当しています。

「Microsoft Excel や Microsoft Access といった Office 製品との親和性が高いため、分析も効率的に行えます」と山根 氏。抽出するデータの選択や他のデータとの組み合わせも自由に行えるため、新たなアクションを起こすために必要なレポート類も、短時間で作成できるようになったと言います。

<導入効果>
容易になった成功事例の横展開、柔軟なデータ分析で戦略立案も精緻化

それではこの営業支援システムによって、業務面ではどのような効果がもたらされているのでしょうか。

まず営業現場では、セルフ マネージメントやチーム マネージメントが容易になり、他の営業チームの活動状況や案件進捗状況も共有しやすくなりました。これによって自分たちのポジションが把握しやすくなり、モチベーション向上にもつながっています。これらの効果に加え、成功事例の横展開が容易になったことも、重要なメリットの 1 つだと評価されています。

「Microsoft Dynamics CRM が SharePoint によるドキュメント管理とシームレスに連携しているため、実際にどのような提案書でプレゼンを行い、どのようなアプローチを行ったのかが、簡単に共有できます」と田中 氏。自分たちが担当している企業と同じような業種、業態のケースであれば、そのアプローチを参考にして、案件獲得の成功率を高められると説明します。「意欲的な営業担当者ほど他のチームの成功事例に敏感で、システム内の情報も貪欲に使おうとする傾向があるようです。またこれらの情報を、チーム全体のボトムアップに活用しているマネージャーもいます」。

企画ラインでは、より柔軟なデータ分析によって、これまで直感的に感じていたことを定量的に把握できるようになりました。これは支社レベルおよび全社レベルの戦略や施策を考えるうえで、重要な貢献を果たしています。

「売上目標を確実に達成するには予実管理が重要になりますが、現在では 10 種類程度の KPI を設定して分析することで、管理精度を高めています」と中河 氏。営業担当者の活動量 (訪問件数) 、仕掛り案件の数、案件登録から契約成立までの期間、案件成立の確度などを多面的に分析していくことで、これらが最終的な売上にどのような影響を与えるのかが、これまで以上に可視化しやすくなったのです。「たとえば活動量と成約率の関係は、営業現場では直感的に把握していたと思うのですが、以前はそれが支社レベル、本社レベルにまで伝わっていませんでした。今ではきめ細かいデータ分析によって、営業現場が肌で感じていたこのような知見も、本社で把握できます。見込みと実績とのギャップや誤差も常時チェックしており、データに基づいた施策実施や営業現場へのアドバイスも容易になっています」。

定量データだけではなく、営業担当者がヒアリングした顧客企業の声といった定性情報も、活用しやすくなりました。このような情報は、以前は案件ごとに管理されていましたが、現在ではすべての案件に横串を通した形で管理できるようになり、多様な切り口で抽出と一覧表示ができるようになっています。これらの定性情報を活用すれば、どのようなクロス セルを提案すれば効果的なのか、類似したニーズがどの企業に潜在しているのかなどを、より的確に把握できるようになります。

情報量の多いホットな業界を見つけ出し、その業界に特化したプロジェクト チームを設置、より戦略的なアプローチを行おうという取り組みも始まっています。その一例として田中 氏は、「昨年度から通販業界を対象にした新たなプロジェクト チームが立ち上がっています」と語ります。

ここで行われていることの1つが、企業分析ツールの開発です。アプローチ先となる通販企業の売上規模や設立年、取扱品目、消費者にリーチするために使用している媒体などを入力することで、その企業のパターンを分析、抱えていると想定される課題や基本的なアプローチを導き出し、過去の成功事例で使用された提案書につなげていこうとしているのです。このツールを SharePoint で共有して活用することで、これまで社内に蓄積された知見を活用しやすくし、よりスピーディかつ効果的な提案の実現を目指しています。

図: 日本郵便 法人営業部が 2014 年 11 月から活用している、第 3 世代の営業支援システムの構成。

日本郵便 法人営業部が 2014 年 11 月から活用している、第 3 世代の営業支援システムの構成。Microsoft Dynamics CRM をはじめとする複数のマイクロソフト製品を連携させることで、多様な情報をシームレスに扱える情報基盤を実現しています。 [拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
全社レベルの経営分析にも貢献、さらにシームレスな情報活用を目指す

営業担当者が集めた顧客企業の生の声を活用したいという要望は、サービス開発部門や経営企画部門からも寄せられています。これらの要望に対応するため、営業支援システムに蓄積された情報は、法人営業部以外とも共有できるようにしています。部門を超えた情報共有によって、「ゆうパケット」や「はこぽす」のような新サービスの開発も、今後さらに活発化していくはずです。「このようなことが容易に実現できたのも、カスタマイズ性が高いからです」と中河 氏。「この営業支援システムは、既に全社レベルの経営分析ツールになりつつあると言えます」。

山根 氏も、「今後もカスタマイズを継続的に行うことで、さらにシームレスかつ簡単に情報にアクセスできるしくみを作り上げたいと思います」と語ります。現在の営業支援システムは社内で利用することが前提になっていますが、セキュリティを確保しながら使用可能なデバイスを増やし、社外での利用を可能にすることも検討していると言います。

また蓄積されたデータの分析を高度化しながら、その結果を現場にフィードバックするといった活動をより活発化していくことも、今後の目標の 1 つです。分析結果を迅速に営業現場に提供し、それに基づいた新たなアプローチを実施、その結果を再びデータとして蓄積することで、立案された施策がどれだけの効果をもたらしたのかを可視化。これを繰り返していくことで、ソリューション提案のスピードはさらに高まり、内容も最適化されていくと期待されているのです。

「最近では事業会社ごとではなく、日本郵政グループ (子会社含め) 全体としてお客様にアプローチしていこうという動きも加速しています。特に物流には付き物の決済サービスやロジスティクス サービスに特化した子会社も展開しており、日本郵政グループとして包括的に物流を担うことも可能となりました」と阿部 氏。今後さらに日本郵便 法人営業部が提案できる商品やサービスの種類は多くなっていくはずだと言います。「私どもが目指しているのは、郵便、宅配だけではなく、お客様が必要とするトータル ソリューションを、企画段階から一貫して提案できる組織になることです。今回構築した営業支援システムは、そのための情報や知見を共有するうえで、欠かせない基盤になるはずです」と阿部 氏は今後の展望に期待を寄せています。

コメント