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導入事例

 様に導入

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北陸先端科学技術大学院大学

 様に導入

パフォーマンスとモビリティを両立させるメイン マシンとして Surface Pro 3 を学生に貸与
生涯 ID 運用とセキュアなデバイス活用を目指し、Enterprise Mobility Suite を導入

写真:北陸先端科学技術大学院大学

北陸先端科学技術大学院大学

デバイスが多様化する中で、学生が学習や研究に役立てるデバイスをどのように提供して活用していくかに注目が集まっています。また、デバイスをセキュアに管理し、クラウドなどと連携する方法についても考えていかなければなりません。科学技術のフロンティアを拓く国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学では、学生の研究活動に最適なデバイスとして Microsoft Surface Pro 3 を採用し、約 250 台を知識科学研究科の全学生に貸与。Enterprise Mobility Suite も導入し、Microsoft Intune による Surface Pro 3 の管理をはじめ、Microsoft Azure Active Directory Premium を使った修了後の学生とのコミュニティ構築やクラウド活用、Microsoft Azure Rights Management を使った文書の暗号化にも取り組んでいます。

<導入の背景とねらい>
研究に応じて 1 台で使い分けができる
ハイブリッドなデバイスの導入を検討

国立大学法人
北陸先端科学技術大学院大学
情報社会基盤研究センター / 情報科学研究科
教授
博士 (工学)
敷田 幹文 氏

石川県能美市と東京都品川区にキャンパスを持つ国立大学法人 北陸先端科学技術大学院大学 (以下、JAIST) は、日本初の独立した研究教育組織とキャンパスを持つ大学院大学として 1990 年に開学。1992 年に情報科学研究科博士前期課程第一期生が入学しています。知識科学研究科、情報科学研究科、マテリアルサイエンス研究科の 3 つの研究科があり、豊かな学問的環境の中で世界水準の教育と研究を行い、科学技術創造により次代の世界を拓く指導的人材を育成することを理念としています。

JAIST では、一般的な大学のように研究科や研究室ごとの予算で IT を導入するのではなく、IT や情報基盤の整備とメンテナンスは情報社会基盤研究センターが主導的に行ってきました。JAIST の情報社会基盤研究センター / 情報科学研究科 教授の敷田 幹文 氏は次のように話します。「研究に力を入れている大学院大学の教員や学生をサポートするため、センターでは常に最新で先進的であることを第一に考えてIT の導入を行ってきました。1992 年に学生寮を建てたときから各部屋にネットワークを引き、クラウドという言葉が出てくる 10 年ほど前からクラウドに取り組んで、シン クライアントも活用してきました。世の中で将来広まると考えられる技術を先駆けて導入していくことには苦労も伴いますが、最先端の技術を使うことが研究や教育に役立てられると考えています」。

学生が研究を行うために利用する端末について、情報社会基盤研究センターではさまざまな使い方ができるものでなければならないと考えていました。たとえば、情報科学研究科やマテリアルサイエンス研究科では、ハイ パフォーマンスな端末で計算やシミュレーションを行う必要があります。また、知識科学研究科では、フィールド ワークなどで研究室以外で持ち歩いて利用するケースが多く、モビリティに優れた端末が求められます。

一方で、平成 28 年度 (2016 年度) からは 3 つの研究科が統合されて 1 つの研究科となる予定です。「研究科統合によって、情報科学とマテリアルサイエンスの教育研究に知識科学の方法論を展開して、より社会的課題解決ができるように再編する予定です。ニーズ指向研究への転換、産業界との連携の推進、柔軟な組織運営の実現などを行い、イノベーション創出人材の要請を目指すことが研究科統合の目的です」と敷田 氏は説明します。3 つの研究科が 1 つの研究科に統合されることによって、研究科ごとに端末を選ぶのではなく、ハイ パフォーマンスとモビリティを備えたハイブリッドなモデルで、多様な使い方ができる端末を選択する必要性が高くなってきたのです。

<導入の経緯>
メイン マシンとして利用できる Surface Pro 3 を採用し、
端末管理に Microsoft Intune を選択

国立大学法人
北陸先端科学技術大学院大学
情報社会基盤研究センター 助教
博士 (情報科学)
宇多 仁 氏

国立大学法人
北陸先端科学技術大学院大学
技術サービス部
情報社会基盤研究センター担当
技術専門職員
小坂 秀一 氏

JAIST では、2015 年 4 月から知識科学研究科の全学生にハイブリッドなデバイスを貸与し、使い勝手などを見極めたうえで、2016 年度の新入生から同様のデバイスを配布していくことを計画しました。フィールド ワークを行う知識科学研究科の学生が、研究室の内外や寮でどのように使うかを見極めることで、研究科統合後にもハイ パフォーマンスとモビリティを兼ね備えたデバイスを提供できると考えたのです。

研究によって、開発環境や分子モデリング シミュレーション ソフト、統計ソフトなどのさまざまな要望がある大学院大学では、動作環境として幅広いソフトをサポートしている Windows を選択することは必然でした。一方で、端末としてはタブレットよりもハイ スペックな機種が多いノート PC を選択することが有力だったと情報社会基盤研究センター 助教の宇多 仁 氏は話します。「無難に考えれば、ノート PC が選択肢となりますが、そこに目新しさはありません。アグレッシブに研究をサポートするためにはタブレットを選択するべきだろう、と考えました。しかし、多くのメーカーは、タブレットをサブ マシン的に提供している場合が多く、メイン マシンとして利用できる性能や機能を持った機種は少ないと感じていました。その中で、メイン マシンとしてのスペックを持ち、周辺機器も充実した Surface Pro 3 に注目しました」。

新しく採用するデバイスは、普段は持ち歩いて講義や寮での研究に活用し、研究室ではディスプレイとキーボード/マウスにつないで高度な計算や研究に活用しようと考えていました。その中で、評価が高かったのがドッキング ステーションの存在です。「Surface Pro 3 の純正のドッキング ステーションを使えば、研究室のデスクでディスプレイやキーボードなどの周辺機器ごとに接続する必要がなく、簡単に一発で接続できます。毎日のように着脱して使うため、しっかりと設置でき、堅牢性が高いことも条件でしたが、ドッキング ステーションであれば、周辺機器との接続性が高く、壊れるリスクが低いと判断しました」と技術サービス部 情報社会基盤研究センター担当 技術専門職員の小坂 秀一 氏は話します。

新たなデバイスを導入するにあたって JAIST では、モバイル端末管理 (MDM) のシステムも必須であると考えていました。資産として大学が貸与するデバイスには適切な管理が必要であり、セキュリティ状況や更新プログラムの適用状況なども把握しておく必要があります。一方で、企業での管理とは異なり、デバイスの状況が見え過ぎて、学生が MDM で 24 時間監視されているというイメージは持たれたくないという要求もありました。そのためには、適切な管理が簡単に設定できるような MDM 製品が求められるため、Intune を採用したと言います。「一般的な MDM 製品は、私物のスマートフォンの BYOD が中心となっていて、iOS や Android を管理することがまず考えられ、Windows の管理がサポートされていなかったり限定的なものがほとんどです。Intune でも iOS や Android を管理できますが、Windows を適切に管理するために必要な機能が使いやすく、設定しやすいと考えました」と宇多 氏は話します。PC 管理と MDM の両面で利用できるIntune を、まずはSurface Pro 3 の管理のために導入し、将来的に校内にある他の OS のデバイスの管理へと拡張できるのではないかと考えたといいます。

MDM 製品の比較検討を行って Intune に決定したのは 2015 年 2 月で、4 月の Surface Pro 3 の配布まで 2 か月を切った時期でした。しかし、クラウドサービスである Intune はサーバーをたてる必要もなかったため、短期間にも関わらず、導入と設定はスムーズに行えたと技術サービス部 情報社会基盤研究センター担当 技術職員の間藤 真人 氏は話します。「マイクロソフトのサポートもあり、導入は非常に簡単でした。Windows Update などの必要な管理設定が直感的に行えて、ひと目で状況を把握でき、アラートを確認するときにはトラブルも解決しています。個人的にはしっかりと日本語化された製品であることも非常に心強いと感じています」。

<導入効果>
クラウド活用や生涯 ID を見据えて EMS を導入
教育機関向けライセンス OVS-ES で学生に Office 365 も提供

国立大学法人
北陸先端科学技術大学院大学
技術サービス部
情報社会基盤研究センター担当
主任技術職員
間藤 真人 氏

2015 年 4 月から知識科学研究科の全学生に配布された Surface Pro 3 を使って、学生はキャンパスに隣接する学生寮でも無線 LAN を使って研究活動を行え、24 時間いつでも研究に集中できる環境をより整備することができた、と敷田氏は説明します。「設立当初から、24 時間研究室を利用でき、寮にもネットワークを引いて学内にいるのと同じ環境で研究活動ができることを目指していました。Surface Pro 3 を使って、寮の自分の部屋だけでなく、リフレッシュ ルームなどで議論するときにもデバイスを取り出して利用できる環境を提供しています」。

実際に学生からは、「Surface Pro 3 は寮でレポートを書くときに便利で、授業でも活用して効率的に知識を得ることができると思いました」「スマートフォンではネットで情報を探しにくいですが、Surface Pro 3 は複数の Web ページを見るのに便利で、場所を取らずにベッドに寝転びながら使うこともできます」「これまで使っていたノート PC のように重くなく、授業に手軽に持ち込めてノート代わりに使えます。また、ドッキング ステーションを使ってデスクトップのように使えるのもいいですね」「研究室では、Surface Pro 3 で資料を表示させて、ディスプレイを見ながら文書を作ることができて便利です」といった評価を聞くことができました。また、留学生からは「ペン入力がすごく便利です。レポートを手書きで書くことができて、日本語の漢字の読み方がわからなくても入力できます」といったユニークな意見も出てきました。

また、Intune について間藤 氏は、大きなトラブルもなく、適切に守られていることを実感できると説明します。「標準で動かすだけでも Windows Update やエンド ポイントの状況が通知され、しっかりと稼働していることが確認できます。また、オンライン状況を見ると、学生が Surface Pro 3 を十分に活用していることがわかりますね。ハードウェア トラブルがあっても、直接見に行くことなくハードウェアの情報を確認できるのも便利です」。

Surface Pro 3 を導入すると共に、教育機関向けの包括的ライセンス プログラム(OVS-ES) を使って、Microsoft Office 365 および Microsoft Office 365 ProPlus の学生への配布も行われています。これまでは CD などで Microsoft Office を学生に販売していた JAIST ですが、Office 365 を OVS-ES で利用することで学生の個人用端末でも利用できるようになったといいます。

Intune は単体で導入するのではなく、将来的な展開も考えて、Intune と共に Azure Active Directory Premium (以下、Azure AD Premium) や Azure Rights Management (以下、Azure RMS) を利用できる Enterprise Mobility Suite (以下、EMS) が採用されました。「Intune を導入する際に、何度か EMS の説明を受ける機会があり、今後さらなるクラウド活用でサービスを拡げていく際に適切なセキュリティを維持するための ID 管理やデータ管理に有効であるのではないかと感じました」と話す小坂 氏は、産学連携や外部関係者との研究データのやり取りでクラウド サービスなどを活用するときに Azure RMS で暗号化し、セキュリティを強化していきたいと考えています。

また、学生との関係を入学から修了までに留めず、卒業後も大学として貢献できるコミュニティを形成していくことを考えている JAIST では、学生の ID 管理を拡張した生涯 ID の導入も検討しているといいます。「まずは、Office 365 で修了後も使える電子メールを提供していきます。その後は、既存の Active Directory と Azure AD Premium を連携させて、サービスを拡充していきたいと考えています」と小坂 氏は説明します。

現在、JAIST では修了生に向けた同窓会のシステムが独立して存在しており、在校生のアカウント管理と別々になっていますが、これを統合させて Azure AD Premium と連携させることで、たとえば一部の修了生が共同研究でスーパー コンピューターを使えるようにしたり、メールだけでなくオンライン ストレージも使えるようにして在校生と修了生の間で研究の相談ができるようにしていくことを考えています。

システム構成図 [拡大図]新しいウィンドウ


研究室ではドッキング ステーションですぐにディスプレイやキーボードとつなぐことができ、Surface Pro 3 の画面で資料を確認しながら、大きなディスプレイで論文やレポートの作成を行えます。

ペンで手書き入力するのも便利で、操作や手書き入力などに役立ちます。

<今後の展望>
デバイスやクラウドを活用した
高度なサービスを今後も提供していく

JAIST では、前述のように 2016 年度の研究科統合後の新入生には、ハイブリッドなデバイスを貸与し、数年かけて将来的に全学生約 900 台のデバイスを配布する予定です。「テスト ケースとして今年は知識科学研究科の全学生に配布しましたが、おおむね好評で、Intune を含めた運用も行えることがわかりました。今後 3 年かけてデバイスを整備し、机に座って PC を利用するという環境から、タブレットとクラウドの連携でどこでも使える環境に変えていこうと考えています」と説明する宇多 氏は、Office 365 や Azure などとの連携や活用の広がりが今後の課題と話します。

また、将来的な生涯 ID について敷田 氏は、「生涯 ID は以前から検討していましたが、我々の要望を満たすような良いソリューションがこれまでありませんでした。今後、EMS などのマイクロソフトの製品やソリューションを活用して、生涯 ID のしくみを実現することを模索していきたいですね」。

Intune については、Surface Pro 3 だけでなく、学内にある他の OS のデバイスを管理することも視野にいれています。「教員などが研究用に購入したタブレットなどは、研究を阻害することを避けたいので特に管理することは考えていませんが、事務系で他の OS のデバイスがいくつかあるので、これらは管理していくことを考えています」 (小坂 氏) 。

また、Office 365 の Skype for Business にも小坂 氏は注目していると話します。品川キャンパスでは、主に社会人に向けたコースを開講していますが、Skype for Business で品川と石川をつないでフェイス トゥ フェイスでディスカッションするなど、活用の幅が広がっていると言います。

最後に敷田 氏は、「我々のセンターは、これまでストレージからサーバー OS までといった低いレイヤーのサービスが中心でしたが、最近は提供するサービスの幅が広がっています。学生達があたり前のようにスマートフォンを使っている中で、さまざまな端末に対してサービスを提供することも考える必要があります。これまでマイクロソフトは、Windows の会社、Windows だけをサポートする企業というイメージが強くありましたが、EMS のような複数の OS に対して統一して使えるしくみを提供してくれる企業に変わってきていることを感じました。今後も異なる環境で同じ使い方をできるようなソリューションを出してくれることを期待しています」と話してくれました。JAIST では、今後も学生がより研究に集中できる環境を提供するために IT を活用し、最先端の科学技術を創造できる人材を育成していきます。

研究や授業での活用だけでなく、研究室やリフレッシュ ルームなどで議論するときにも Surface Pro 3 が活躍します。

研究室、ゼミでの進捗報告や研究発表でも Surface Pro 3 の画面を大きく表示させて、片手で持ちながら説明を行えます。

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