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導入事例

 様に導入

  • 見える化
  • 効率化
  • 最適化
  • コスト
  • 生産管理

HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社

 様に導入

グローバル化、短納期化、価格競争に対応できる柔軟な ERP として Microsoft Dynamics AX を採用し、短期導入を実現
HOYAグループの標準 SCM システムとしても展開

HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社

HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社

国内初の光学ガラス専門メーカーで、高度なオプティクス技術を誇る HOYA株式会社のグループ企業としてホトニクス事業およびオプティクス事業を展開する HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社。同社では、グローバル市場やビジネス環境の変化に対応するため、既存の ERP システムの再構築を計画。Microsoft Dynamics AX 2009 を採用し、2012 年 5 月から本番稼動しています。また今回構築したシステムをベースにテンプレートを作成し、HOYAグループ全体で Microsoft Dynamics AX を採用してグローバル展開しています。

<導入の背景とねらい>
異なる生産形態を一元管理できる
多機能で柔軟性の高い ERP を求める

HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社
コーポレートスタッフ部
情報システム推進室 室長 兼HOYAグループ IT最適化プロジェクト担当
内野 聡 氏

HOYAサービス株式会社
情報システム事業部
エンタープライズソリューション部 シニアマネージャ
中里 博人 氏

HOYAサービス株式会社
情報システム事業部
エンタープライズソリューション部
三上 侑宏 氏

HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社 (以下、HOYA CANDEO OPTRONICS) は、光機器 (UV光源装置、レーザー発振器) と EO (Electro-Optic) ガラス製品 (色ガラス フィルター、特殊光学ガラス) の開発から製造・販売を行っています。同社は、メーカー向けの受注生産を主体とした少量多品目生産を行っているため、スマートフォンの普及などから短納期で顧客の仕様に合わせた製造を行う必要があり、激化する価格競争にも対応していくことがビジネス上の課題となっていました。また、工場を持たないファブレス化を推進しているため、多くの品目の製造管理と外注管理をバランスよく行う必要があり、海外にも拠点を展開し、販売先や外注先のグローバル化も推進してきました。

以前のシステムが保守期限を迎え、ビジネス環境にも対応しきれなくなったと判断した HOYA CANDEO OPTRONICS では、2011 年 2 月ごろから ERP システムの刷新を検討し始めます。急速なグローバル化や低価格化、短納期要求に対応するためのプログラム変更を行うことができなくなってきたことや、内部統制やセキュリティの強化もシステム リニューアルの目的となりました。

また、HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社 コーポレートスタッフ部 情報システム推進室 室長 兼 HOYAグループ IT最適化プロジェクト担当の内野 聡 氏は、「1 つのエンジンで 2 つの生産形態に対応できることが一番の要素でした」と話します。光機器は組立型生産で、EO ガラスはプロセス型生産で製造を行っている同社では、生産計画、購買・調達・支給、各種出力帳票において多くの機能が事業個別の機能として稼動しており、運用の手間やコストが問題となっていました。業務とシステムの両面から共通化を行って機能を統合し、スリム化と標準化を徹底することが最大の課題となっていたのです。

「必要のない部分を省いて我々の業務に特化させるためにスクラッチで開発することも検討しましたが、パッケージの倍以上のコストがかかってしまいます」と話す内野 氏は、以前のシステムで利用していた製品も含め、パッケージで提供されている ERP システムを比較検討し始めました。

<導入の経緯>
HOYAグループの標準システムとして
採用された Microsoft Dynamics AX

最終的に導入する ERP 製品を 2 つに絞り込んだ HOYA CANDEO OPTRONICS は、2011 年 5 月にグローバル化による通貨や輸出入への対応、検収基準やセキュリティの強化、有償/無償支給管理などの機能のほか、カスタマイズやアドオンに対する柔軟性の高さなどの優位性から、Microsoft Dynamics AX を選択しています。また、ほぼ同時期に HOYAグループの方針として、SCM システムを Microsoft Dynamics AX に統一化してグループのグローバル化を推進することが決められ、コスト面で優位となることも導入の決め手でした。「グループで活用するために我々の導入を元にテンプレート化すれば、HOYAグループとしても、HOYA CANDEO OPTRONICS 単体としても、高いコスト メリットを生むことができます」 (内野 氏)。

HOYA CANDEO OPTRONICS とともに Microsoft Dynamics AX の構築を行った HOYAサービス株式会社 (以下、HOYAサービス) の情報システム事業部 エンタープライズソリューション部 シニアマネージャ 中里 博人 氏も次のように話します。「HOYAサービスでは、2010 年 8 月ごろから Microsoft Dynamics AX をサービスとして提供していました。HOYAグループでは SAP を導入していますが、会計や販売にとどまり、生産管理は導入していない状況でした。Microsoft Dynamics AX は低コストで導入でき、生産に強く、海外展開にも対応できるので、グローバル展開している国内の製造業に非常に適している製品だと感じていました」。

2011 年 6 月から要件定義を始めた HOYA CANDEO OPTRONICS と HOYAサービスは、販売・生産・購買・在庫などのバリュー チェーンの機能に加え、原価管理 (見積原価・標準単価・実際原価)、データ ウェアハウス (DWH) といった広い構築範囲で 8 月から開発を開始しました。また、SAP 会計モジュール (SAP FI) や DWH への自動連携機能も開発範囲に含みました。端末台数 250 台で同時アクセス数 60 台、法務知財と人事総務以外のすべての部門で 100 人強が利用するシステムの構築期間は約 10 か月 (テスト完了までは 8 か月) で「初めて MRP エンジン部分に手を入れた開発としては非常にシビアなスケジュールだった」と内野 氏は話します。

「DWH と連携させるためには時系列で過去のデータも参照する必要があり、旧システムからトランザクション データと Master 情報を抽出して、必要な情報を付加しながらコンバートしたのですが、項目名の違いなどを手動で確認して試行錯誤しながらデータの整合性を合わせていくのに時間がかかりました。また、MRP (Material Requirements Planning) エンジンにプロセスの工程を含めるために製番管理機能をカスタマイズしましたが、製造フローが崩れないように内部ロジックを何度も確認する必要もありました」 (内野 氏)。

しかし、遅れることなく 2012 年 5 月に本番稼動できた理由を内野 氏は、「今回のプロジェクトは、共通化できるところは徹底的に共通化しようと現場と打ち合わせを繰り返しながら方針を決めていきました。スケジュールが遅れそうだから最初に決めた方針を変えるのではなく、その方針に利用者側と開発者側が歩み寄ることで短期間の開発が実現できたと思います。また、共通化を念頭において開発すれば Microsoft Dynamics AX の開発は他の製品よりも容易で、標準のものにモジュールを少し加えるだけで開発できたこともスピードに貢献できていると思います。最初の試行錯誤の段階を超えた後は、非常にスムーズな開発ができました」と話します。また、エンド ユーザーの教育も、Microsoft Office ライクな操作性でわかりやすく操作できることに加え、個々のユーザーが使う画面がわかるように徹底的にマニュアル化すること、そして苦労したコンバート機能を利用して、実際の業務データに近い状態で教育実施できたことなどで短縮することができたと言います。

HOYAサービス株式会社 情報システム事業部 エンタープライズソリューション部の三上 侑宏 氏は、開発効率を向上させた工夫を次のように話してくれました。「汎用的なロジックを共通部品として開発し利用することで、無駄な開発やテストの工数を抑えることができました。また、Microsoft Dynamics AX では帳票のデザインなどがドラッグ & ドロップで行えるため、Microsoft Dynamics AX での開発経験のないエンジニアにも任せることができ、Microsoft Dynamics AX に精通したエンジニアには、ロジックに集中させて作業分担することで開発効率を向上できました」。

<導入効果>
DWH との連携でデータを可視化し
リアルタイムに多角的な分析を行う

受注・生産から販売、会計との連携、DWH との連携といった幅広い領域をカバーする ERP システムを構築した HOYA CANDEO OPTRONICS では、業務上のさまざまな場面で新システムの効果が出ています。

販売・生産・原価領域では、業務上の機能を柔軟に織り込むことができ、業務や管理の効率化と柔軟性、迅速化に貢献しています。特に、部材の有償/無償支給の在庫管理を Microsoft Dynamics AX 標準の分析コード機能で伝票別にできるようになり、支給の流れの把握や棚卸しの迅速化を実現できました。「大量生産ではないので、細かく部材の管理をしなければ 1 つの部材支給のミスで大きな損失が出る可能性もあります。これまでも棚卸しの際の在庫差異は 96% 程度の精度で管理していましたが、新しいシステムでは 99% 近くの精度で管理できるようになっています」 (内野 氏)。

また、以前のシステムでは概念の違いがあった見積原価、標準単価、実際原価の 3 つを同じ概念にするように構築したことで、的確な原価比較ができるようになったこともコスト削減に役立っています。会計システムとの連携ではデータ入力業務の効率化や入力ミスの低減が実現でき、夜間自動実行ジョブ制御機能で運用業務も効率化されました。

DWH と連携させて、売上・粗利、債権、生産、在庫、原価などのさまざまな分析機能を充実させることによって、大きな目標であったデータの見える化をすることもできました。たとえば、売上と利益の推移や在庫の推移・回転率などをさまざまな切り口でほぼリアルタイム (1 日に 3 回の同期) に分析することができ、経営陣が直接 Microsoft Dynamics AX の画面から操作することが定着し、迅速な経営判断に役立てています。内野 氏は、「これまでは 2 ~ 3 日かけて資料を作って会議のときに経営陣に見せていましたが、現在は経営陣が既にデータを把握しているので、スムーズな会議を行えます」と話します。さらに、受注生産でカスタマイズする製品の人的工数をすぐに分析して把握したり、原価を変動費だけで分析して細かく調べ、品目別に原価を押し上げる原因を調べるなど、業務全般にわたって DWH との連携の効果が生まれています。

中里 氏は、今後の HOYAグループでの展開でのコスト メリットに期待を寄せています。先駆けとして HOYA CANDEO OPTRONICS に Microsoft Dynamics AX を導入することによって、組立とプロセスの両方の生産をテンプレート化できたことも、グループでの展開を容易にしていると言ってもよいでしょう。「グループの情報子会社としては、コストを抑えて短期に導入することが使命だと思っています。ERP は、ソフトウェア自体の機能に合わせることができれば、迅速に開発コストを抑えて導入できます。しかし、どうしても捨てられない要件もある中で柔軟な開発ができる Microsoft Dynamics AX は非常に有効だと思います。今後のHOYAグループの展開では、今回の構築の成果をテンプレート化して導入コストを抑え、もっと短納期で構築する予定になっています」 (中里 氏)。

既に、内野氏にはグループ内の他の部門からの問い合わせが来ていると言います。「グループ内の他社の IT 担当からの問合せやデモの要望も受けており、CAD などを扱うグループ内の他社の技術系の部署から依頼され、BOM (Bill Of Material:部品表) と生産システムの連携や図面管理/配布などの打ち合わせを行ったりもしました。Microsoft Dynamics AX がグループ内で今最も注目されることで、グループ IT の横のつながりが広がってきていることを感じています」 (内野 氏)。

システム構成図

システム構成図 [拡大図]新しいウィンドウ

<今後の展望>
海外拠点へのシステム展開後は
ワークフローの導入も検討

HOYAグループではすでに、別の部門でシンガポール、ベトナム、フィリピンでの Microsoft Dynamics AX の構築が進行しており、今後さらに横展開を加速させていく予定です。中里 氏は、「HOYAグループ全体に AX を展開すれば、ライセンスのボリューム メリットや運用を共通化してコストを削減することが考えらます」と言います。また、「HOYAサービスとしては、今回の事例で得た Microsoft Dynamics AX のノウハウとテンプレートをベースに、グループ以外の外部の製造業の皆様にもサービスを提供していきます」と中里 氏が話すように、外販サービスとして製造業向けテンプレートを提供しています。

HOYA CANDEO OPTRONICS としても、グローバル展開が今後の課題となります。グローバルなインフラ整備が現在進行中で、Microsoft Dynamics AX の海外展開が計画中であることを明かした内野 氏は、次のように今後の展開を話します。

「グローバル展開してシステムを共通化すると海外拠点とのやり取りも親密になってきます。その段階でワークフローを導入し、生産関連の直接費用だけでなく、間接費用も分析できるようにして、粗利だけでなく営業利益や経常利益も見ていけるようにしたいですね。国内の 1 拠点だけの場合はワークフローを入れても費用対効果が薄いですが、グローバル化していく中でワークフローをDWHと連携させて、より機能性の高いシステムを目指していこうと考えています」。

Microsoft Dynamics AX を導入することによってグローバル化を加速させ、競争力の強い製造業として進化しようとしている HOYAグループと HOYA CANDEO OPTRONICS。ERP システムによって業務効率を向上させるだけでなく、データの可視化と分析を行うことによって、HOYA CANDEO OPTRONICS は今後もビジネスの変化に柔軟に対応し、技術力の高い製品を提供し続けていきます。

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