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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • 効率化
  • 最適化
  • コスト

法政大学

 様に導入

900 台の職員向けクライアント PC のアプリケーション仮想化を MDOP (App-V) で構築。
Hyper-V によるサーバー仮想化にも挑戦し、50% のサーバー集約と電気使用量 1/3 を実現

法政大学

法政大学

2011 年に事務基幹サブシステムと教務サブシステムのインフラを見直した法政大学では、全体最適化を推進するためクライアント/サーバー型から Web 化に向けたアーキテクチャ更新の次に、Microsoft Desktop Optimization Pack for Software Assurance (MDOP) に含まれる Application Virtualization 4.6 SP1 (App-V) を採用してアプリケーション仮想化を実現しました。また、Windows Server 2008 R2 Hyper-V 2.0 を使ったサーバー仮想化にも挑戦。サーバーやストレージなどの機器を約 50% に集約し、管理工数の大幅な削減を実現しています。

<導入の背景とねらい>
管理工数の低減のためにアプリケーション仮想化を模索
効率的かつ合理的にインフラを運用するしくみを求める

法政大学
総合情報センター事務部
市ヶ谷事務課
課長
松丸 伊三雄 氏

効率的な学校経営や学内のガバナンス維持のためには情報システムが必要不可欠と考えている法政大学では、計画に基づいて定期的なシステムや IT インフラの見直しを行ってきました。2007 年には新たな情報システムとして事務基幹サブシステムを構築し、学籍や成績といった学内情報を一元管理する教務サブシステムと連携させ、全体最適化の実現を目指しました。

全学的なインフラや情報系システムの整備を行っている総合情報センター事務部では、さらに全体最適化を推進するために、2011 年に向けた「情報システム 2011」プロジェクトを立ち上げ、システム基盤の整備を計画しました。ここで課題となったのは、従来から注目してきた仮想化技術がどの程度成熟し、実際にサービスとして提供できるかでした。総合情報センター事務部市ヶ谷事務課課長 松丸 伊三雄 氏は、次のように当時を振り返ります。「2007 年の時点では、まだ仮想化は考えておらず、レガシーなシステム構成で安定的に動かすことを考えていました。OS やミドルウェアは 4 年でリプレイスする必要があるので、仮想化はその次に考えればよいと思っていましたね。しかし、仮想化が進化するにしたがって、管理工数の削減やリソースの配分が柔軟に行えることがわかり、魅力を感じていました」。

従来のクライアント/サーバー型のシステムでは、仕様の変化によってプログラムを組み直そうとしても、各プログラムの分離が難しく、全体を改修しなければなりません。また、システム リソースを効率的に利用することや、サーバーの台数を減らして管理工数を減らすということは 2011 年に向けての課題でもあり、クライアントのアプリケーション管理も積年の課題となっていました。約 900 台あるクライアント PC 個々にアプリケーションをインストールして管理するには、現場の負担が大きかったのです。しかし 2007 年当初は、実際にアプリケーションを動かし、効率的かつ合理的にインフラを運用していくために具体的にどのような設計を行えばよいのかがわからない状態でした。

<導入の経緯>
信頼性と親和性、コスト メリットを考えれば
MDOP と Hyper-V によるシステム全体の仮想化が最適と判断

法政大学
総合情報センター事務部
市ヶ谷事務課
主任
鈴木 純史 氏

株式会社日立製作所
情報・通信システム社 公共システム事業部
学術情報ソリューション本部
CISセンタ
主任
佐藤 秀章 氏

法政大学から効率的でコスト メリットのあるインフラ構築の相談を受けた株式会社日立製作所 (以下、日立製作所) は、同社が多くの実績を持つ仮想化技術を使ったシステム構築を提案。日立製作所情報・通信システム社公共システム事業部学術情報ソリューション本部CISセンタ主任 佐藤 秀章 氏は、法政大学に仮想化を勧めた理由を次のように話します。「IT インフラをサービス化して提供する仮想化技術は、全体最適化を進めるうえで必然的に導入するべきテクノロジだと考えました。サーバー仮想化と共に、ディスク ボリュームも仮想化し、アプリケーション仮想化を行っていくことで効率的に集約が行え、安定的に運用することが可能となります」。

では、さまざまな仮想化技術がある中で、なぜ MDOP や Hyper-V といったマイクロソフトの仮想化技術が選ばれたのでしょう。「最も大きな課題であるアプリケーション管理を MDOP の App-V で解決できると考えました。Windows Server 2008 R2 を使うことを考えれば、サーバーとクライアントを合わせたトータルで仮想化ソリューションを親和性高く提供できるマイクロソフトの仮想化技術を提案することが望ましいと判断しました」 (佐藤 氏) 。

他の仮想技術との比較および検証も行った結果、コスト パフォーマンスが非常に高く、信頼性や効果が同じであれば、教育機関向けのライセンス プログラムを利用できる MDOP や Hyper-V を採用したいというのが法政大学の答えでした。「ハードウェアの入れ替えも同時に行うため、集約率やパフォーマンスといった課題は容易にクリアできると思っていました。それよりも、コスト メリットがあり、親和性の高い技術を使うことのほうが重要でしたね」と松丸 氏も話します。

「一般的な Microsoft Office アプリケーションは安定的に稼動できても、個別の業務で利用するマイクロソフト以外のアプリケーションをどのように引き継いでいくのかが一番のポイントでした」と話す総合情報センター事務部市ヶ谷事務課主任 鈴木 純史 氏は、最終的にマイクロソフトの仮想化技術採用の決め手は、2010 年 11 月に日立製作所の紹介でマイクロソフトの大手町テクノロジーセンター (以下、OTC) を訪問し、デモを見たことだと当時を振り返ります。「OTC で 1 つ 1 つのアプリケーションを検証し、どのように展開していくのかを確かめられたのは非常にありがたかったですね。これらのデモや検証を見ることによって、実際に導入できるという手応えを感じられました。仮想化技術については理解していましたが、実際に見ることによって、管理工数を減らせることや、ユーザーにすばやくサービスを提供できることがわかり、業務効率化につなげていくイメージが実感できました」。

同様に、松丸 氏も次のように続けます。「エンド ユーザーが仮想化技術を使っていることに気付かないというのが、この技術のポイントだと思います。仮想化は、文書やビデオで説明されても、どのような効果があるのかがなかなか実感することができません。OTC には何人かの部下を連れて行ったのですが、仮想化技術を知らない人でも体験して実感できるという点が良かったですね」。

<導入効果>
App-V によって大幅な管理工数低減と業務効率化を実現
混在環境も Hyper-V 上で安定稼動し、50% のサーバー集約を実現

2011 年 4 月から新たな基盤の構築を開始した法政大学では、2011 年 8 月中旬から実機での展開を行っています。基幹業務系のセクション間のデータのやり取りを Web ベースで連携するようにし、密連携ではなく疎連携に近いシステム構築で、業務ユニットが独立しつつ連携することで、効率的なシステム構築を目指しました。

ハードウェアの集約に関しては、従来は 38 台あったサーバーを 19 台に集約して 50% の削減を実現。そのうえで、CPU 性能を 2.3 倍、メモリ容量は 1.2 倍、ディスク容量は 4.9 倍とシステム性能を強化させています。ブレード サーバー 8 ブレード× 2 台 で冗長構成とし、IA サーバー 3 台とディスク アレイ 1 台でシステムを構成、マイクロソフトの System Center と日立製作所の JP1 を連携させ、これらを管理しています。対象となるクライアント PC 900 台もすべて Windows 7 Enterprise に入れ替えました。「従来は 3 台のブレード サーバーが使われていたものを 冗長構成としたうえで 2 台に集約し、パフォーマンスと信頼性の向上を実現しています。また、サーバーごとに用意されていたディスク アレイも全体で 1 台に集約することができました」 (佐藤 氏) 。

アプリケーションの配布については、Office アプリケーションのほか、一太郎ビューア 2010 やフリー ソフトなどが仮想化されて提供されています。松丸 氏は、「App-V によって、マイクロソフト製品はもちろん、他のソフトウェアもサービスとして提供できるのは驚きでした。フリー ソフトなども配布できて、問題なく動くので非常に助かります」と多彩なソフトウェアを仮想化できることを高く評価しています。

また、App-V によるアプリケーション仮想化を実現することによって、インストールや更新プログラムの適用などの管理工数を減少することができたことも大きなメリットとなります。市ヶ谷以外にも多摩と小金井の計 3 キャンパス、法政大学中学高等学校、法政大学第二中学校・第二高等学校、法政大学女子高等学校の 3 つの付属校がある法政大学では、すべての職員に対して今回の仮想化システムによるサービスを提供することで遠隔地でのインストール作業の軽減やサポートといったメリットも得られるようになりました。「各部署からのアプリケーション インストール依頼は総合情報センター事務部が請けています。これまではまず 1 本だけ購入し何度か検証を行い、その後必要なライセンス数を購入して個別にインストール作業を行っていました。この場合は、人数分の工数がかかることになりますが、App-V ではこれらのインストールにかかる工数を圧縮でき、業務効率の点で大きなメリットとなっています」。

松丸 氏も「大学にはさまざまな部署があり、それぞれ利用するアプリケーションが異なります。これらのインストールの手間が省けると共に、サービスインまでの時間も短縮できるようになりました」と話します。アプリケーションを仮想化することによって、システムを停止する時間も短縮でき、インストール作業などのためにエンド ユーザーの PC を使うこともなくなり、作業を妨げなくなったと言います。

震災対応や BCP のために今回のシステムを構築したわけではありませんでしたが、電力事情が激変する中でサーバー集約によって電力消費が 1/2 に低減。ラック本数もフル ラック 7 本から、フル ラック 2 本とハーフ ラック 2 本と設置面積が減って空調の消費電力も抑えることができたため、トータルで電力消費を 1/3 にできたのではないかと法政大学は推定しています。松丸 氏は、「最終的に大学としては、パブリック クラウドに近いものを目指しています。今回は、学籍管理や成績管理などの大学ならではの特徴的なアプリケーションもあるため、まずは学内で仮想化して安定的に動かすことに挑戦しました。これらのアプリケーションが仮想化できれば、データ センターに置いたり、サービス事業者からの提供を受けることも将来的に考えられます。その前段階として、今回のリプレイスを行ったのです。インフラの統合によって集中的に管理できる体制が整い、今後の BCP の検討やクラウド化への対応のためにも、今回のシステムの運用実績から得られるデータや知見を評価することが将来に向けてのメリットになると考えています」。

さらに、佐藤 氏は、今回の Hyper-V によるサーバー仮想化で Red Hat Enterprise Linux サーバーを問題なく利用できたことも高く評価しています。「業務システムが Linux で稼動しているため、実績を考えれば他の仮想化技術のほうが安心できるのではないかと最初は考えていました。しかし、社内検証した結果、Hyper-V 上でも Linux サーバーは安定稼動することがわかり、法政大学様にも検証結果を見ていただいて納得してもらいました。Windows サーバーと Linux サーバーが混在している環境が多い中、Hyper-V 上で Windows サーバーを信頼性高く動作させることはもちろん、Linux サーバーも安定して稼動することは大きなメリットとなります。仮想化技術を選択する幅が広がり、より柔軟なシステム構成でお客様の課題に取り組めることになるので、今回の実績は大きな意味を持つと思います」 (佐藤 氏) 。

システム構成図

システム構成図 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
将来的なパブリック クラウドへの移行のベースとなる
柔軟な情報基盤を構築

法政大学では、履修登録のサービスを学生向けに Web で提供しており、今回のシステムの真価が発揮されるのは、履修登録のアクセスが集中する 2012 年 4 月と考えています。今後は、その際のリソースの配分状況などを見ながらシステムの精度を上げていく予定です。また、今回のシステム構築によって、ネットワーク インフラの整備が急務となっていることも鈴木 氏は明かしてくれました。「3 つのキャンパスにはネットワークがしっかりと整備されていますが、付属校には各通信事業者が提供している VPN サービスを利用して接続しているため、帯域など若干不安な部分があります。今後は、数値を取ってどの程度のネットワーク帯域を確保するかを見極め、コストも考えながら整備していく必要がありますね」。

また、4 年後のシステム見直しに向けて、前述のようなパブリック クラウドへの移行も今後の課題となってきます。「学内データを外に出すということにはさまざまな調整が必要なため、それらも含めてパブリック クラウドを考えていかなければなりません。しかし、今後は学内にシステムを置くのではなく、外部に出すことによってサービスを安定的に提供できるようになると考えており、今回のシステムはその布石となると考えています」 (松丸 氏) 。

クライアント PC の OS を最新のものに入れ替えたことによって、Windows 7 Enterprise の新機能をどのように活用していくかということも重要となってきます。職員向けのサービスであるため、デスク ワークが多く、モバイル環境でノート PC を持ち歩くことが多くない法政大学ですが、「セキュリティの観点から、BitLocker や AppLocker をどのような形で大学の業務環境に活用していくかは、今後日立製作所と相談しながら考えていきたいですね」と鈴木 氏は話してくれました。

「今後、大学の運営は非常に厳しい時代となってきます。どの業界であっても、いかに安く良いサービスを提供するかが重要で、そのためには情報システムの力が不可欠です。仮想化技術はもちろん、ネットワークも今後は IPv4 から IPv6 へと移行していきます。また、クライアントも多様なデバイスが登場して普及しており、今後もさらに新たなデバイスが登場してくるでしょう。これらの新たな技術や環境の変化に追随し、対応していくには、新たなことにチャレンジし、いち早く技術を取り入れていくことが大事だと考えています」と話す松丸 氏。今後も、法政大学は情報システムのしっかりとした基盤を構築しつつ学生を支援し、より高度な教育と人材育成が行える場として進化を続けていくでしょう。

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