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株式会社日立製作所 インフラシステム社

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海外拠点のプロジェクト/コスト管理システムを Microsoft Azure でクラウド化、TCO の大幅削減を実現

株式会社日立製作所 インフラシステム社は、社会/産業インフラ分野において、システム、EPC (Engineering, Procurement and Construction) からサービスまでをワンストップで提供する社内カンパニーです。2000 年代初頭、同社は EPC 事業における海外プロジェクトにおいて、独自のプロジェクト/コスト管理システムを開発し、活用してきましたが、2010 年、このシステムを Microsoft Azure でクラウド化。圧倒的なコスト削減を実現し、運用/管理の手間もほぼゼロに抑えることに成功しました。

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電力や水、鉄道などの社会インフラや産業インフラを、新興国を始めグローバルに納入し、世界各国で高い評価を得ています

<導入背景とねらい>
立ち上げに手間とコストがかかる海外拠点のプロジェクト/コスト管理システムを刷新

株式会社日立製作所 インフラシステム社は、日立グループのインフラ事業を担う中核カンパニーの 1 つです。500 を超える発電所制御システム、約 400 の鉄鋼圧延制御システム、約 800 の産業プラントの建設実績など、産業、水環境、エネルギー、モビリティなどの社会/産業インフラ分野で豊富な実績を誇ります。売上の約 3 割は海外で、アジアや中東などで事業を展開しています。
同社の事業の大きな柱に EPC があります。EPC は「Engineering, Procurement and Construction」の略で「設計、調達、建設」を意味し、プラント建設におけるエンジニアリングの設計、資機材調達、製作、建設工事を含む工程全体を一括して請け負うビジネスです。

写真:株式会社日立製作所 インフラシステム社 CIO IT・業革推進本部 本部長 小野 哲嗣 氏

株式会社日立製作所 インフラシステム社 CIO
IT・業革推進本部 本部長
小野 哲嗣 氏

同社は、EPC 事業において、国内/海外でさまざまなプロジェクトを抱えていますが、海外でのプロジェクト管理とコスト管理には、独自に開発した「PBCS」というシステムを利用していました。株式会社日立製作所 インフラシステム社 CIO IT・業革推進本部 本部長 小野 哲嗣 氏は、PBCS について次のように説明します。

「2001 年にマレーシアで大型の下水処理場プロジェクトがありました。クアラルンプールにある 5 つの下水処理場を再構築するプロジェクトでしたが、そこではじめて PBCS を開発して利用しました。PBCS は『Project Budget Control System』の略で、文字どおりプロジェクトと予算を管理するシステムです」 (小野氏)

PBCS はクライアント/サーバー型のシステムとして開発され、これ以後、海外でプロジェクトが立ち上がると、現地にサーバーが用意され、日本から担当者が出向いて必要なソフトウェアをインストールし、システムを立ち上げて利用するというスタイルが確立されました。
しかし、2000 年代後半になり、企業におけるクラウド活用が注目されはじめると、それと呼応するように、PBCS のクラウド化の計画が持ち上がります。

<導入の経緯>
オンプレミスの実行モジュールがそのまま動く PaaS の Azure を選択し、システムのクラウド化を実現

PBCS のクラウド化が検討された理由は 2 つありました。1 つは、コストの低減です。ハードウェアの調達や担当者の現地設定業務といった初期の構築コストに加え、現地の IT 要員やシステム運用といった維持運用コスト、これらの低減が急務でした。もう 1 つは、ユーザーの利便性向上です。海外プロジェクトとはいえ、いろいろな現場、業務形態があります。多くの日本人が関与し、仮設工事事務所を持つような大型現場から、工事事務所もないような中小現場もあります。また、1 人の担当者が 2 つの現場を掛け持ちするケースなどさまざまです。移動中の空港や滞在先のホテルで業務を遂行しなければならないケースも珍しくありません。こうしたさまざまな業務シーンでフットワーク良く、スムーズに情報を提供できる業務環境を整備する必要がありました。

写真:株式会社日立製作所 インフラシステム社 IT・業革推進本部 業革推進部 部長 赤羽 隆幸 氏

株式会社日立製作所 インフラシステム社
IT・業革推進本部 業革推進部 部長
赤羽 隆幸 氏

そこで同社は、PBCS のクラウド化に最適なクラウド プラットフォームを比較、検討。その結果、2010 年、Microsoft Azure が選択されました。その理由について、株式会社日立製作所 インフラシステム社 IT・業革推進本部 業革推進部 部長 赤羽 隆幸 氏は次のように説明します。

「比較検討当時は、Azure が RDB (Relational Database) を使える PaaS であったことが最大の理由です。もともと PBCS は、Windows Server で動くシステムでしたので、オンプレミスで開発した実行モジュールを Azure 上に置けばそのまま動きましたし、その逆もそうでした。このため、クラウド用とオンプレミス用の 2 つの実行モジュールを持つ必要がなかったのです」 (赤羽氏)

さらに、Azure の PaaS としてのメリットが大きかったといいます。

「IaaS の場合、仮想サーバーを立てて、PBCS が動く環境を一から構築する必要がありました。それは手間ですし、インストールするソフトウェアのライセンスの問題も出てきます。しかし、PaaS であればアプリケーションだけを考えればよいので、我々にとっては、Azure が最良の選択肢だったのです」 (赤羽氏)

こうして同社は、Azure を選択。2010 年に "クラウドによって強化された" という意味の「enhanced」の「e-」を冠した「e-PBCS」がリリースされました。
以来、世界各国でプロジェクトが立ち上がると、それに合わせて e-PBCS のサイトも立ち上がり、利用されるようになりました。こうして、「これまでに立ち上げられたサイトは、子会社の海外現地法人や現場サイトも含め、2015 年 5 月時点で約 30 サイトで稼動しており、運用されたプロジェクトの累計は 1,500 を超えます。また、利用者は現地ローカル スタッフを中心に約 500 名以上で運用されています」 (小野氏) という、同社の海外プロジェクトを支える重要なシステムとして活用されるまでになりました。

<導入の成果>
圧倒的なコスト削減を実現し、運用管理の手間もほぼゼロに

システムの立ち上げおよび運用負荷の低減、コスト削減という当初の目的は、e-PBCS によって、予定どおり達成されました。赤羽氏は、その具体的な効果について、次のように説明します。

「環境を構築してシステムを動かすまでのコストは、圧倒的に削減できました。従来は、セットアップするだけで担当者が現地まで行く必要がありましたが、今は、グローバルなどの地域のサイトの準備も、すべて本社作業で 1 日もあれば新しいサイトを用意できます。サイト立ち上げ後の運用管理の手間もほぼゼロになりました。これまでは、たとえばシステムを拡張するだけでも再設定が必要になるなど、その手間とコストが馬鹿にならなかったのですが、今は本社の PC 画面上のパネルで操作するだけです。現在、Azure 上には開発、本番、ホットスタンバイの 3 つの環境を用意していますが、必要なコストは月額数万円にすぎません」 (赤羽氏)

なお、e-PBCS はシンガポールのマイクロソフト クラウド データセンターで構築、運用されていますが、そのパフォーマンスに不満はないと赤羽氏は言います。

「中東の砂漠地帯からインターネット経由で利用しても十分な運用レスポンスが出ます。実運用でもまったく問題はなく、圧倒的なコスト パフォーマンスが得られるクラウド システムを構築できたと考えています」(赤羽氏)

<今後の展開>
国内へのシステムの逆輸入と基幹系システムの Azure への移行も進行中

e-PBCS は、現在、海外のプロジェクトで使われていますが、今後は国内への展開も計画されています。海外と国内で同じツールを使うことで、EPC 事業における IT 業務基盤を共通化することが目的です。
また、基幹系システムのクラウド化も進行中です。赤羽氏は次のように説明します。

「別の海外データセンターで構築、運用している海外向けの基幹系システムを Azure の IaaS 環境に移行する計画が進んでいます。実現すれば、さらに IT トータル コストの削減が見込めます。通常の開発では、開発環境と本番環境を 2 つ用意し、開発環境は開発作業をするときしか使いません。ところが、Azure IaaS 環境の場合、開発環境のサービスを止めると課金ゼロになるので、本当に必要な量しか課金されません。これは開発する立場としては非常にありがたいのです。今後も、開発環境はできるだけ Azure 側に寄せるなど、適材適所でクラウドを活用していきたいと考えています」 (赤羽氏)

さらに同社では、e-PBCS や基幹システムなどの社内システムだけでなく、お客様向けの事業系のサービス事業でも Azure の活用を検討しています。
2010 年という早い時期から、Azure によるシステムのクラウド化に取り組んだ同社にとって、そこで蓄積されたノウハウや経験が、その後のクラウド活用の基盤になっているといえそうです。同社のビジネスの拡大と共に、Azure の役割も大きくなっていくことは、間違いなさそうです。

写真:集合写真

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