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導入事例

 様に導入

  • コミュニケーション
  • 効率化
  • 最適化

株式会社 肥後銀行

 様に導入

「主体的で創造性豊かな人材」を目指し、日本マイクロソフトの人材育成プログラムを導入
業務と IT の相互理解とスキル向上がシステム開発の効率と精度を大幅にアップ

写真:株式会社 肥後銀行 新本店完成予想図

株式会社 肥後銀行
新本店完成予想図

グローバル化の急先鋒ともいえる金融業界にあって、地方銀行も例外ではありません。各地域に根差して活動してきた企業が製造業を中心に海外調達や生産拠点の国外移転を図る中で、むしろ地方銀行の果たす役割は格段に大きくなってきています。その変化の中で確実な成長を続け、顧客の企業活動を支援していくためにも、グローバルな視点でビジネスを創造し、その実現に向けて IT を効果的に活用できる人材の育成は不可欠です。株式会社肥後銀行は、日本マイクロソフトの提供する人材育成プログラムに着目。教育研修の実施後は業務部門と IT 部門による協働や、生産性の大幅な向上を実現するなど、同行の未来を担う人材育成基盤の整備を力強く進めています。

<導入の背景とねらい>
顧客への「経営技術支援」へ向け
ビジネスと IT 双方に精通した人材育成を

株式会社肥後銀行
取締役常務執行役員
小嶋 昌二 氏

国際的なビジネス競争に今後勝ち残っていくうえで、重要なキーワードが「グローバル化」と「IT の最適化」です。人々の経済活動が国境を越え、地球規模で市場が変化していく中で、膨大な情報をいち早くとらえ、分析してはすばやく次の打開策を講じていく。そのためには、業務部門と IT 部門の密接な連携が不可欠であり、さらに各部門の担当者が業務と IT の双方に精通していることが求められます。そのための体制作りを急務と考え、日本マイクロソフトの人材育成プログラムを他の地方銀行に先駆けて導入、早くもシステム開発の生産性向上などめざましい成果を挙げているのが、株式会社肥後銀行 (以下、肥後銀行) です。

肥後銀行では「主体的で創造性豊かな人材の育成」を現在の最重要テーマの 1 つに掲げていると語るのは、株式会社肥後銀行 取締役常務執行役員 小嶋 昌二 氏です。2010 年度からスタートした同行の第五次中期経営計画では 3 つの基本方針が定められており、「健全かつ強靱な経営体質の戦略的向上」、「地元のお客様との稠密な取引の拡大・深化」に続く第 3 の方針が、この人材育成です。

「当行では中期経営計画の重要なコンセプトとして、 "ICAT (アイキャット)" というキーワードを提唱しています。これは、IT に CT (コミュニケーションに関する能力) 、さらに AT (会計、分析および説明に関する能力) を加えた私たちの新造語ですが、具体的にはビジネスを考える能力と情報技術を活用する能力を併せ持つことによって、私たちのお客様への "経営技術支援" を強力に推進していこうという意思を表しています」。

肥後銀行の成長戦略の最も基本となるものだと小嶋 氏は強調します。

「基本方針にもあるように、経営体質を強化し、最終的に地域のお客様の高いご満足を得るには、ICAT を実務の中で実践していけるだけの高い知見と IT スキルを兼ね備えた人材の育成が欠かせません。そこで、その取り組みの第一歩として、企画リーダー育成とIT技術者育成の 2 つにテーマを絞って始めたのが、今回の日本マイクロソフトによる人材育成プログラム導入だったのです」 (小嶋 氏) 。

人材育成プログラムの全体像 [拡大図] 新しいウィンドウ

<導入の経緯>
経営陣の米国マイクロソフト訪問を契機に
日本マイクロソフトに人材育成研修を要請

株式会社肥後銀行
IT統括部
副部長
城川 洋 氏

株式会社肥後銀行
人事部人材育成グループ
グループ長
坂本 雅己 氏

肥後銀行が日本マイクロソフトの人材教育プログラムに着目したきっかけは、頭取である甲斐 氏を始めとした経営陣の米国マイクロソフト本社訪問でした。その際に行われたエグゼクティブ ブリーフィングでマイクロソフト社員のプレゼンテーション能力や技術知識に触れた甲斐 氏が、日本マイクロソフトに人材育成ノウハウおよびプログラムの提供を要請したのです。経営陣の 1 人として訪問に同行した小嶋 氏は、「ビジネスもテクノロジーも、ものすごいスピードで変化し、進化し続けています。その変遷に追いついていくためにも、従来の日本企業のようにゼロから作っていくのではなく、欧米系企業の経営の考え方やテクノロジー利用の好事例に学ぶことも賢明で効率的だと判断したのです」。

この決定はすぐに業務の現場にトップダウンで伝えられ、人事部門と IT 部門の協働によるプロジェクトが動き出しました。同時により最適化された組織作りも検討され、従来はいわゆるシステム開発の部署であった IT 部門が、ビジネスも含めた包括的な視点で全行内に IT を提供、運用するという位置付けの下、新たに「IT統括部」として発足しました。

今回、日本マイクロソフトからの提案を受けて導入されたのは、「企画リーダー育成」と「IT 技術者育成」の 2 つのプログラムです。それぞれ職掌ごとに細かな研修項目が設けられていますが、今回最も重要かつ共通のテーマとされたのが、業務要件定義のトレーニングでした。IT 部門の研修リーダーである株式会社肥後銀行 IT統括部 副部長 城川 洋 氏は、「これまでは業務要件定義が弱く、あいまいなまま開発を進めるため、手戻りが多いわりに内容がきちんと詰められていないケースがしばしばでした。この原因には、業務部門と IT 部門とのコミュニケーション不足や、IT 部門の担当者が限られた工程にしか関わらないといった問題がありました。そこで今回の研修では、ITIL (Information Technology Infrastructure Library) をベースにした要件定義のスキルをまず身につけさせようと考えたのです」と明かします。

一方、人事部門の研修リーダーを務めた株式会社肥後銀行 人事部人材育成グループ長 坂本 雅己 氏は、「全行員のITリテラシーを向上させるというミッション自体は、中期経営計画の始まった 5 年前から継続的に取り組んできました。しかし従来は、Microsoft Excel など業務ツールの操作スキルなどが中心でした。IT 部門や業務部門の企画スタッフと連携して取り組んだ今回は、これまでにない深い内容まで踏み込んだものとなりました」と、全行挙げてのプロジェクトだった点を指摘します。初めて経験する高度な内容の研修にもかかわらず、このスキルを磨くことが成長力の基盤になるとの認識が既に浸透していたため、むしろ当初から参加者の士気は非常に高かったと坂本 氏は付け加えます。

研修プログラムは 2013 年 2 月からスタートし、「企画リーダー育成」は 6 月末までの 5 か月間、「IT 技術者育成」は 10 月までの 9 か月間にわたって実施されました。「企画リーダー育成」には、本部企画スタッフ約 10 名が参加。「企画担当者の役割は業務の課題を見つけ出し、その対応策として IT をどのように利用するかを的確に判断することです。研修では、そのための要件定義や議論の手法を主に学習してもらいました」 (坂本 氏) 。一方の「IT 技術者育成」では、研修の前半は主に ITIL に関する座学。そして後半は具体的な課題解決の技法習得に重点が置かれました。また両研修では、日本マイクロソフトから提供された研修用コンテンツと共に、マイクロソフト コンサルティング サービス (MCS) および、プレミア サポート チームから派遣された講師陣による詳細な解説、指導が行われました。

マイクロソフト人材育成プログラムのコース例 [拡大図] 新しいウィンドウ

<導入効果>
参加メンバー各人に新しい気付きと自信
さらに研修後は案件の実行率も大幅にアップ

株式会社肥後銀行
IT統括部IT戦略グループ
副企画役
桐原 健寿 氏

株式会社肥後銀行
人事部人事企画グループ
副企画役
清水 秀泰 氏

株式会社肥後銀行
IT統括部IT管理グループ
内野 源弘 氏

株式会社肥後銀行
IT統括部IT企画開発グループ
古庄 伸一 氏

今回の 2 つの研修の参加者からは、いずれも「自分のスキルを向上させる契機になった」、「自分の仕事への姿勢を見直すことができた」、また「部署を越えたコミュニケーションが持てた」といった、前向きな評価が寄せられています。株式会社肥後銀行 IT統括部 IT戦略グループ 副企画役 桐原 健寿 氏と株式会社肥後銀行 人事部 人事企画グループ 副企画役 清水 秀泰 氏は、いずれも中堅の役職者から選抜されて「企画リーダー育成」に参加したメンバーです。桐原 氏は、今回の研修では自分にとって大きな気付きがあったと振り返ります。

「日ごろの業務では、まず IT で何かを実現しようと考えがちですが、実はその手前に大きな問題があると気付きました。その問題とは "情報が共有されていないこと" です。自分の手持ちの情報だけで考えても、正しい解決策や問題の全体像は見えず、その結果、部分最適なシステムができ上がることもありえます。本当に目的にかなった全体最適な業務システムを実現するには、まず広範かつ有効な情報を集めるためのコミュニケーションが不可欠だと気付いたのです」。これを受けて桐原 氏は、現在、研修を受けたメンバーに呼びかけて新しいデータ分析基盤の構築に取り組んでいると言います。

また清水 氏も、研修で新しい気付きを得たと明かします。

「今回の研修ではコミュニケーション、つまり自分の考えをきちんと伝えるスキルが強く求められました。となれば、研修の席では常に考えていなければ意見は言えません。講師任せで漫然と説明を聞いていることなど許されないのです。また自分の考えを正確に参加メンバーに伝えるためには、そのつど徹底して考え、説明できる知識と能力が求められます。研修においてコミュニケーションに関する今までの自分の弱点を見せつけられた思いでした」。

もう 1 つの研修プログラムである「IT 技術者育成」では、既存の「IT 担当者=システムを開発する技術者」という狭い視点を脱却して、より当行のビジネスや顧客サービスという視点で自分の業務をとらえ直すことができたという声が聞かれています。株式会社肥後銀行 IT統括部 IT管理グループ 内野 源弘 氏は、「担当業務がシステムリスク管理という点からも、ITIL を学び直すことは非常に自分にマッチしていました」と語り、サービスという視点が拡がったと述懐します。

「ITIL に対して、これまでも自分なりの理解や認識は持っていたつもりでした。しかし今回の研修でさらに深く掘り下げて研究した結果、IT 部門は何よりもまずサービス部門であり、要件定義やその後の開発、運用においても利用者の目線が絶対に必要だということを学びました」。

また、若手の参加者の 1 人である株式会社肥後銀行 IT統括部 IT企画開発グループ 古庄 伸一 氏は、「頭にいい汗をかいた」と達成感を表現します。

「グループ ワークで課題に取り組み、 "何で?" という問いを繰り返します。ユーザーに届くかどうか、サービスとは何か、というのを何度も繰り返して考えるプロセスが良いトレーニングになりました。また個人的には、他の人たちとコミュニケーションをとりながら考えることで、これまでは知り合う機会のなかった他部署の人ともうち解けて話すことができる研修を楽しいと感じました」。

研修の締めくくりには、メンバーの中から 7 名が米国マイクロソフト本社での研修に派遣され、また経営陣に最終結果報告を発表して全プログラムを無事修了しました。それからまだ半年足らずの現在ですが、早くも効果は確認されていると小嶋 氏は語ります。

「期初に各部より提出された案件の開発着手率が、2012 年度は 3 割にとどまっていたのが、研修を実施した 2013 年度には 7 割と大幅に向上したのです。これは研修によって、仕事に対するスピード感と思考の論理性が育った結果だと確信しています。もちろん要件定義に対するスキルも、相当にレベルアップしています」。

スキル レベルの向上によって課題の分析や要件抽出、そして適切な対応策といった一連の精度が上がり、同時に IT 担当者と業務担当者の議論や協働も進んだことが、案件の開発着手率と品質そのものの向上につながった小嶋 氏は高く評価しています。

<今後の展望>
ICAT の実践に向けた人材育成で
さらなる成長と地域への貢献を目指す

肥後銀行では今回の研修の大きな成果を受けて、今後もこうした人材育成の取り組みを継続していくことを考えています。これからの展開に向けて城川 氏は、自分たちの業務とシステムを正確に見極められる IT 担当者を育てたいと語ります。

「システムの大規模化、高度化でパッケージ利用が進み、行内の人間が自らプログラムを書く機会は少なくなってきています。そうなるとマネジメントのあり方も変えなくてはならないし、アウト ソーシングの見積もりなども値ごろ感を行内で判断するのが難しくなります。そうした変化に対応できる新しいスキルを、今後は研修によって強化していきたいと考えています」。

一方で坂本 氏は、「IT リテラシーを上げることは、生産性を上げることだと考えています。ICAT への取り組みを継続するうえでも、現在非常に多いルーティン ワークを仕分けし直して、できるだけコア業務に人材や IT のリソースを集中できるように効率化していきたいと考えています」と、絶え間ない改革の必要性を語ります。

しかし、IT を経営の力として活用するためには、単に情報を集めてくるだけでは不十分であり、集めてきた情報をいかに業務のニーズに合わせてデータとして管理し加工するか、すなわちビジネス インテリジェンス (BI) の視点が要求されてきます。「既に銀行の内外には膨大な情報があふれています。IT システムの力を借りてそれらを必要に応じて迅速に収集し、明確な目標や意図に基づき、正しい手法や BI ツールを用いて加工する。そうした整形、分析された合目的的なデータが手中にあってこそ、初めて本当の成長や顧客満足度向上に向けた議論ができるようになるのです」と力強く語る小嶋 氏。

業務と IT 双方に高い知見とスキルを持つ人材を育て、グローバル化時代の熊本地域経済と社会の発展に貢献しようと考える肥後銀行。その未来創造に向けた取り組みを、日本マイクロソフトの人材育成プログラムが力強くサポートしています。

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