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群馬県

 様に導入

消防と医療の連携を促す ICT 活用のベスト プラクティスの実現へ。耐薬品性に優れた Windows タブレットを要として、救急医療を円滑化する情報共有環境を構築、活用

群馬県 健康福祉部 医療介護局 医務課では、救急・災害医療を支援する「統合型医療情報システム」を補完し、全国の事例を参照したベスト プラクティスを実現させるために、日々 119 番通報に対応する救急医療の最前線で携帯されるタブレット端末を、新たに導入。「現場に負担をかけない操作性」や「医療現場で求められる耐薬品性」、「優れた拡張性」など、厳しい条件をクリアし、採用されたのが、Windows 搭載タブレットと、ビジネス向けクラウド サービス Office 365 を活用するソリューションでした。

<導入背景とねらい>
増加する 119 番に、迅速かつ円滑に対応するべく「消毒可能なタブレット」を選定

写真:太刀川 裕之 氏

群馬県 健康福祉部 医療介護局
医務課 救急災害医療係
係長
太刀川 裕之 氏

写真:武井 伸門 氏

群馬県 健康福祉部 医療介護局
医務課 救急災害医療係
主任
武井 伸門 氏

1 人でも多くの命を守るために、群馬県が新たに推進している試みがあります。それが、消防および医療における "モバイル & クラウド活用" です。

救急医療・災害医療においては、常に "迅速かつ正確な判断と対応" が求められており、群馬県でも 1980 年以降、改修を重ねながら「広域災害・救急医療情報システム」を運用されてきましたが、救急現場における情報の即時性と双方向性に課題が残っていました。

群馬県 健康福祉部 医療介護局 医務課 救急災害医療係 係長 太刀川 裕之 氏は次のように説明します。
「広域災害・救急医療情報システムは、インターネットのない時代から運用が開始され、システムの更新年度ごとに改修を加えて少しずつ進化してきました。しかし、インターネットの利便性は、救急車の中まで届いておらず、患者受け入れ先の確保等に時間を要していたのです。そして、2014 年末に『統合型医療情報システム』へと名称を変更し、さらに機能を充実させたことを機に 4G 回線で通信できるモバイル端末を広範に導入するに至りました。」

群馬県が初めて救急の現場にタブレット端末を配備したのは、2013 年 1 月にさかのぼります。この時にまず県内 11 消防本部で保有する全救急車へタブレット端末を導入し、救急車の中で病院側が事前に登録した情報を基にした「受け入れ病院の検索」などに役立てられてきました。
しかし、受け入れ先となる病院側には有線 LAN でつながれた専用端末しか配備されていなかったため、病院側の状況については旧来通り、個別に電話をかけて確認するほかなく、患者の容態などについても口頭説明に頼るほかありませんでした。

こうした不便を解消し、モバイル活用のメリットを最大化するために 2015 年 2 月に消防本部や災害拠点病院にも、タブレット端末を配備されたのです。

大小さまざまなタブレット端末が市場にあふれている今、上述のような環境整備も気軽に行えるように思われがちですが、「救急の現場に導入するタブレットに求められた要件は厳しく、対象となる製品は限られていた」と、同 救急災害医療係 主任 武井 伸門 氏は振り返ります。

「まず、医師や看護師が携帯する上では、日常的な消毒にも耐える耐薬品性が必須でした。また、統合型医療情報システムへの情報入力は、手早く済ませられるように項目のチェック入力が主体となっていますが、それだけでは伝えられない特記事項などはキーボードで入力する方が、早くて確実です。さらに、平時から活用されるように、多彩な業務に対応できる汎用性が求められました。」

武井 氏はタブレット活用を拡大する意義について、次のように続けます。

写真:群馬県庁

群馬県庁

「群馬でも、高齢化の影響による救急搬送件数の増加と、それに伴う搬送時間の長時間化が課題となっています。この傾向は今後も続くでしょう。こうした問題に対応するためには、消防と医療の密接な情報連携が欠かせません。救急現場におけるタブレットなどの ICT 活用について、総務省消防庁によって検討が重ねられ全国にモバイル活用事例が広がっている現在、私たちはそのすべてを参考としながら、良いと思える施策は、できる限り取り入れたいと考えました。そのため広範な用途に対し、長期間、確実に活用されるよう、タブレット活用に関する調達の要件は慎重に定めました。」

こうした数々の条件を満たすものして群馬県が採用に至ったのが、株式会社 NTTドコモ の提案によるWindows 搭載タブレットをフロントとして、ビジネス向けのクラウド サービス、Microsoft Office 365 を活用するソリューションでした。

<システムの概要と導入の効果>
使い慣れた OS と充実のクラウド サービスで円滑な情報共有を助け、救急搬送を円滑化

救急医療・災害医療の支援のために今回群馬県が整えたソリューションでは、優れた耐薬品性を誇る 12.5 型の高性能タブレット「ARROWS Tab Q704/H」(富士通株式会社製) を、オプションのスリム キーボードとともに、県内すべての消防本部および、すべての災害拠点病院と救急医療機関に配備。救急隊員が、搬送先医療機関が見つからない場合などに、既存のタブレットから複数の病院に一斉に患者受け入れの可否を打診すると、医師の手元にあるタブレットにアラートが表示され、返信を即座に受け取れるようになっています。

この取り組みによって、救急患者搬送の効率化が実現。従来は、携帯電話から各病院に順番に打診していたため、1 病院あたりの連絡確認に 2 ~ 3 分、5 件ほど確認にかかれば 15 分はロスしていた時間が一気に短縮されて、複数病院への打診が一度に完了するようになりました。また、この受け入れ可否の判断を支援するために、事故現場や心電図などの画像を共有。口頭説明では伝えられない膨大な情報を医師に提供することで、即時の判断と受け入れ後の対応をスムーズにしています。
こうしたタブレット活用による効果は大きく、「一刻を争う脳卒中の患者搬送時にも即座に受け入れ先が決まり、円滑な対応が行われた実例もある」(太刀川 氏) と言います。

太刀川 氏は、今回 Windows 搭載タブレットが採用された理由として、特に下記の 3 点を挙げています。

    ■ Windows 搭載タブレットの優位点
  1. 病院や消防本部にて、特別な研修も必要なく受け入れられる操作性
  2. キーボード入力や、Word や Excel などの使い慣れたソフトウェアが利用可能
  3. Office 365 と親和性が高く、長期にわたって柔軟な活用が可能
搬送患者の容態を確認し、タブレットから近隣の病院に受け入れを確認

搬送患者の容態を確認し、タブレットから近隣の病院に受け入れを確認

必要に応じてキーボードを着脱して携帯。救急車からの連絡に対応

必要に応じてキーボードを着脱して携帯。救急車からの連絡に対応

消防本部から Skype for Business を使ったビデオ会議などを活用

消防本部から Skype for Business を使ったビデオ会議などを活用

Surface 活用イメージ

「前橋赤十字病院を始めとする約 80 の救急医療機関や 11 の消防本部には、県から端末を貸与することになります。多忙を極める現場に抵抗なく受け入れてもらうためには、普段使い慣れている PC 環境と同じ操作性である Windows 搭載タブレットが適していました。さらに、Word や Excel などが利用できれば、日頃から活用されやすくなるでしょう。広域災害のような緊急時に威力を発揮できるのは、"使い慣れたツール" だけですから、この点は非常に重要です。最後に、Windows と親和性の高い Office 365 があれば、大げさなシステム開発の必要もなく、効率的な情報共有環境を実現できました。」

さらに、群馬県が Office 365 に求めた要件について武井 氏は次のように説明します。

「先ほどもお話した通り、全国の事例を参照し、"良いと思えることはすべて取り入れたい" というのが私たちの想いです。しかし、遠隔地を結ぶビデオ会議システムや、被災や事故の現場写真などを共有するシステムを個別に構築すれば、それだけで莫大な費用がかかります。ところが、Office 365 を利用すると、ビデオ会議に画像共有、そしてメールやポータル サイトまで、すべて少額の月額利用費で実現します。県として、最善の環境を、最小のコストで実現できることが、大きなメリットです。」

群馬県では現在、下記のように Office 365 を適所活用しています。

    ■ Office 365 活用
  1. 容量無制限のクラウド ストレージ、OneDrive for Business に、病院と消防が 1 対 1 で共有するフォルダを作成し、デジタル ノートブック アプリ Microsoft OneNote を使って 1 事案ごとに、画像などのデータを共有
  2. Skype for Business を活用して、消防本部と各消防署間を結ぶビデオ会議を実施

「OneNote であれば、タッチペンを使ってテキストを手書きできるほか、画像を貼り付けて共有することが簡単な操作で完了します。OneDrive for Business のアクセス権限を設定することで、安心して 1 対 1 の情報共有が行えます。また Skype for Business は、インスタント メッセージによるコミュニケーションができるだけでなく、タブレット内蔵カメラを使って、手軽にビデオ会議を行うことができます。こうしたサービスがあることで、私たちも、さまざまなアイデアにトライすることは素晴らしいと思います。」(武井 氏)

山間部の災害対策にも有効な通信環境と
高いセキュリティで、安心して活用

そして、今回の "モバイル & クラウド活用" を実現する上で、もう 1 つ重要なポイントとなっているのが "電波" です。
タブレットなどのモバイル端末は、災害発生時には DMAT (災害派遣医療チーム) が携帯し、活用します。平時から電波状況の悪い山間部などで活用されることが前提となっていると、武井 氏は強調します。

「緊急時に肝心の電波がつながらなければ意味がありません。その点について、山間部の消防署から『NTT ドコモ』を指名するリクエストが挙げられていました。群馬は山間地が多いこともあり、消防隊員たちが経験上 "つながる" と分かっている電波でなければ、実用に足りません。」

写真:太刀川 裕之 氏

株式会社 NTTドコモ
第三法人営業部 群馬法人営業担当 主査
森本 晃司 氏

ソリューションを提案した株式会社 NTTドコモ 第三法人営業部 群馬法人営業担当 主査 森本 晃司 氏は、次のように話します。

「多彩な製品を取り揃えている中にあって、Windows 搭載モデルは今回のニーズに対する最善の選択肢であったと思います。Office 365 を併用することで、既存の Web システムを改修することもなく、新たなニーズを満たすことができたのも大きなポイントです。さらには、当社のネットワークによって、場所にとらわれないリアルタイム コミュニケーションを支えることができたことは非常に良かったです。」

確かにつながるネットワーク環境でスムーズな情報共有を実現したことに対する満足度は高く、クラウド サービスのセキュリティに関しても「不安は特にない」と武井 氏は言います。

「そもそも、今回の情報共有においては、個人情報は扱っていません。救急現場の画像共有に関しても、患者の顔や、個人を特定するような画像を共有することはありません。しかも、クラウド サービスはマイクロソフトが管理しています。信頼材料ばかり揃っていて、データセンターの安全対策などに、誰も不安を感じていませんよ。」

<今後の展望>
県と消防、医療の連携を密にして、さらに使いやすいシステムを目指す

最後に太刀川 氏は、群馬県の広域災害・救急医療における "モバイル & クラウド活用" は、今後、現場からのフィードバックを活かしてさらに洗練させていく予定であると言います。

「今回、救急担当医にリアルタイムの返信を求めたほか、Web 会議や画像共有などさまざまなしくみを一度に導入しています。すでに、活用が進められていますが、何よりも大事なことは、機能を詰め込むことではなく、『いかに現場に負担をかけることなく、要件を満たすか』ということです。そのために、消防本部や病院に頻繁に出かけていき、情報交換を行っています。また、現場での活用が進むことで、夜間救急の多忙さやプレッシャーが可視化されますので、行政と消防、医療がより深く連携し、課題を解決していく端緒となるかもしれません。」

群馬県庁をバックにした集合写真

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