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導入事例

 様に導入

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株式会社グラフィニカ

 様に導入

別々のシステムだったメールとグループウェアを Microsoft Office 365 で統一。業務を効率化させ、クリエイターを作品制作に集中させることで、ジャパニメーションのさらなる進化を実現

写真:株式会社グラフィニカ

株式会社グラフィニカ

CG や VFX 映像制作を行う株式会社グラフィニカは、世界から注目される日本のアニメ (ジャパニメーション) のデジタル化に成功したスタジオです。同社はアニメ制作のデジタル化に非常に多くの投資を行ってきましたが、その一方でメールやスケジュール管理、会議室予約など日常業務の IT 化は進んでいませんでした。しかし、事業が急速に成長し、常駐スタッフ数も設立時の 2009 年に比べて 3 倍以上増加したこともあり、IT による日常業務の効率化を決断。富士ゼロックス東京株式会社が紹介した Office 365 を導入することにしました。その結果、Microsoft Exchange Online により メールとスケジュール管理、会議室予約などが統合されただけでなく、社外からのアクセスも可能になりました。また Microsoft Lync Online を利用して、札幌のスタジオとの Web 会議やクリエイター向けの講習会も鮮明な映像で行うことができるようになりました。今後はさらに、Microsoft SharePoint Online で、Microsoft Excel Online の同時編集機能を利用した工程管理のデジタル化にも挑戦しようとしています。

<導入背景とねらい>
世界で注目される日本のアニメ表現をデジタル化。事業拡大やメールでのコミュニケーションの増加にともない、日常業務の効率化が課題に

写真:株式会社グラフィニカ 代表取締役  伊藤 暢啓 氏

株式会社グラフィニカ
代表取締役
伊藤 暢啓 氏


写真:株式会社グラフィニカ 管理部 システム グループ マネージャー 江田 道啓 氏

株式会社グラフィニカ
管理部
システム グループ
マネージャー
江田 道啓 氏

株式会社グラフィニカ (以下、グラフィニカ) はデジタル アニメの先駆的存在として知られたアニメーション スタジオ、ゴンゾのデジタル映像制作部門を引き継ぎ、2009 年に事業を開始した CG や VFX 映像制作スタジオです。同社はゴンゾ時代から高いクリエイティブ力を持つ 3D CG チームおよびデジタル撮影チームに、制作、作画、デザイン開発、VFX 制作を加えた総合プロダクションであり、アニメやゲーム、遊技機や実写映画、音楽 PV など多種多様な映像制作に対応できるスタジオとして事業を展開しています。
紙に鉛筆で絵を描く日本でなければ作ることのできない独特のアニメ作風、ジャパニメーション。同社はこのジャパニメーションのデジタル化に成功したことから、大きく成長すると共に、多くのヒット作品を生み出してきました。その結果、常駐スタッフ数も設立から 5年で 3 倍以上になり、現在では毎月クリエイターを募集するような状況になっています。
グラフィニカはアニメ業界トップクラスのデジタル化投資を行うことで、中国をはじめとした海外との仕事もスムーズに行うことができるようにすると同時に、2013 年春には札幌にスタジオを開設しました。グラフィニカ代表取締役 伊藤 暢啓 氏が語ります。

「グラフィニカはトップクリエイターの集団として、作品のクオリティにこだわりたいと考えており、そのための投資は惜しみなくしてきました。事業が拡大する中で、作品制作そのものではない日常業務の負荷を可能な限り軽減し、クリエイターが作品制作に集中できるようにすること、それを実現できるのが IT だと考えています」。

これまで、グラフィニカでは、経営資源を集中的にクリエイターに注ぎ、制作のデジタル化に大きな投資をしてきました。IT インフラも、クリエイターが高いパフォーマンスを発揮するために、信頼性の高いワークステーションや高速処理ができるレンダーファームを導入。東京都港区にある親会社の株式会社キュー・テック本社とグラフィニカ本社、荻窪スタジオの 3 か所はダーク ファイバー専用線でネットワークを結び、高速でデータを送受信できるようにして、クリエイターの待ち時間を減らしています。
その一方で、日常業務で必要なスケジュール管理や会議室予約は、サーバーを社内に置いてフリーのグループウェアを使ったり、メール システムは外部のサービスを利用したりするなど、コストをかけずに運営してきました。グラフィニカ 管理部 システム グループ マネージャー
江田 道啓 氏 が語ります。

「スタッフが少ない時はそれでも問題はありませんでしたが、事業規模が拡大して来客が増えると、そうはいかなくなりました。当社には車で来社されるお客様が多いのですが、担当者が社外にいると来客用駐車場の予約ができません。それでわざわざ社内に電話をかけて、駐車場を確保してもらうような状態になっていました。年々増加するメールも同じで、スタッフが社外にいるとチェックができません。個人でフリー メールに転送するスタッフもいたのですが、そうすると、セキュリティ上問題があります。そこで、こうした日常業務関連の IT インフラも整備しなければならないという話になったのです」。

<システム導入の経緯>
高いセキュリティを確保しながら、メールとスケジュール管理、会議室予約の統合を実現。Office 365 ProPlus が使えることから Office 365 を選定

実際、スタッフからも「社外からメールを確認することができるようにしてほしい」「メールとスケジュール管理や会議室予約を別々ではなく、統一して行えるようにしてほしい」という要望が上がっていました。そこで、グラフィニカでは業務の効率化や社内にサーバーを置くことによる運用負荷の軽減ため、メール システムとスケジュール管理、会議室予約を統合し、標準化して使えるクラウド サービスを複数年一括契約して、マイクロソフト ファイナンシングを利用の上、導入することにしました。
そして、 Office 365 を含めた製品を候補に挙げ、検討に入りました。他社製品の中には親会社である株式会社キュー・テックが導入しているものもありましたが、メッセージ機能とメールが分かれてしまっていて、ユーザー ID やパスワードも別々になってしまうため管理が煩雑になる、と採用が見送られました。

「もう一方の製品は、ベンダー自体のオープンな考え方が取り入れられていて、セキュリティをかける場合はそのつどフタをしていくようなやり方のものでした。逆に Office 365 でのマイクロソフトの考え方は、基本的にフタはすべて閉じていて、必要に応じて開けていくというものです。どちらを選ぶかはその会社によると思いますが、私たちはセキュリティ面から考えて、マイクロソフトの方がメリットが大きいと判断し、Office 365 を導入することにしました」 (江田 氏)。

写真:富士ゼロックス東京株式会社 ドキュメント ソリューション第二営業本部 城西営業部 渋谷第四営業所 担当主任 正木 勝樹 氏

富士ゼロックス東京
株式会社
ドキュメント
ソリューション
第二営業本部
城西営業部
渋谷第四営業所
担当主任
正木 勝樹 氏


また、アニメ業界では工程管理やスケジュール管理を Excel で行うことが標準になっています。アニメは 30 分番組の場合、300 カットから 400 カット程度で構成されるため、制作工程では各カットで使われる背景や人物などの絵をカット袋という袋に入れ、それに番号を付けて Excel で管理するのです。そして、それぞれの袋がどの工程まで進んでいるかをチェックしながら、制作していきます。これはどこのスタジオでも同様です。

「今まではスタッフ全員の PC に Excel をインストールすると費用がかさんでしまうため、フリーの Office ソフトを使っていました。ただレイアウトが崩れるなどの問題があり、その場合はわざわざそのソフト用のテンプレートを作ることもありました。Office 365 であれば、プランによってメールや Web 会議とともに、Office 365 ProPlus がセットになっているため、追加費用をかけずに業界標準となっている Excel を使えるということも大きなポイントでした」 (江田 氏)。

Office 365 をグラフィニカに紹介したのは複合機の導入で以前から取引のあった富士ゼロックス東京株式会社 (以下、富士ゼロックス東京) でした。富士ゼロックス東京 ドキュメント ソリューション第二営業本部 城西営業部 渋谷第四営業所 担当主任 正木 勝樹 氏が語ります。

「グラフィニカ様は 2013 年 10 月に開催した富士ゼロックスの Office 365 セミナーに参加していただいた際に、ご要望をお聞きして、情報を共有しながら導入の検討を進めました。さらに 2014 年 2 月には日本マイクロソフト本社 (品川) で行われた Microsoft Office Tour にも参加していただき、Office 365 を実際に使用している環境を見て、その良さを体感していただくとともに、富士ゼロックスとマイクロソフトのパートナーシップについても、より深くご理解いただくことができました」。

<移行プロセスと導入の効果>
Exchange Online でいつでもどこでもメール対応、Lync Online で遠隔地との Web 会議やクリエイター講習会。簡単な移行作業で、業務効率は大幅に向上

グラフィニカでは、Office 365 への移行を 2014 年 3 月後半から始めて翌月の後半には完了させ、運用を開始しました。全体の進捗管理計画は富士ゼロックス東京が立てましたが、実際の移行作業はグラフィニカで行いました。

「マイクロソフトの移行手順書はていねいな作りになっていたので、それに沿ってやっていくだけでした。実際の作業は難しいこともなく、大きな問題もなく移行を終えることができました」 (江田 氏)。

さらに導入開始後には、富士ゼロックス東京が外部講師による管理者向けのトレーニングを Lync Online で行い、どうしても参加できない管理者には録画したものを後で見てもらうなどして、スタッフ全員が少しでも早く Office 365 に慣れるように心がけました。
現在、グラフィニカでは、全体で 220 人ほどのユーザーが Office 365 をシングル サインオンで使っています。Exchange Online でメールとスケジュール管理、会議室予約を行い、Lync Online で札幌のスタジオのスタッフとの進捗確認などの会議や、クリエイター向けの講習会を行っています。

「Office 365 を使い始めて半年ほどですが、メールとスケジュール管理、会議室予約が Outlook ひとつでできるので、とても使いやすいです。『まだ半年しか使ってないんだ』と驚くほど、毎日の仕事のなかに溶け込んでいます。導入に際しては、常にコストと得られる利益との見合いで考えますが、Office 365 の場合は業務の進行がスピードアップし、大きなメリットを得ることができました。Office 365 はクラウド サービスなので、リスクは少ないですし、マイクロソフトのサービスで信頼性も高く安心して利用できます」 (伊藤 氏)。

特に Exchange Online でメールが使えることは、業務面でも大きなメリットとなっています。かつてメールは読んでおけばよいという程度で、業務上の連絡は電話が主でしたが、今では即時性が要求されるやり取りがメールで行われるようになりました。

「国内はもちろん海外も含めて、どこにいても自由にメールでやりとりできるので、たいへんな安心感があります」 (伊藤 氏)。

「拠点が東京と札幌というように離れていたり、何か所もあったりしても、全スタッフが同じフロアにいるような環境で、高い品質の作品を作りだすことを目指しています。そのための基盤として、Office 365 はたいへん大きな役割を果たすと思いますし、安定して運用されていますので、業務負荷の軽減と大きな安心感を得ることができました」
(江田 氏)。

Office 365 導入前、グラフィニカでは Skype を使って札幌と Web 会議を行っていました。しかし、紙媒体の資料を確認しながら打ち合わせを行う際に、資料が今ひとつ鮮明に見えないという問題がありました。
Lync Online を使うようになってから、画質面での問題は解決され、非常にクリアな画像で会議ができるようになりました。また、日本を代表するアニメーター、演出家であるグラフィニカ顧問の板野 一郎 氏 (同氏演出は「板野サーカス」として世界的に有名) によるアニメーション演出講習会にも Lync Online が活用されており、札幌のクリエイターも東京のクリエイターと同じレベルで教育を受けることができるようになりました。

また、Office 365 の導入検討当時は、グラフィニカには情報システム担当者が 2 人しかおらず、夜間や休日であっても、メールやサーバーの不具合の連絡があると、出社して対応しなければなりませんでした。しかし、Office 365 を導入したことで、その必要がなくなり、システム運用を個人に依存する状態から抜け出すことができました。
SharePoint Online は、作品の工程管理や制作管理に使用するために現在検証中ですが、将来的には Excel Online の同時編集機能を使って、リアルタイムでアニメ制作の進捗状況がわかるようにしたいと考えています。

「現在の工程管理方法は Excel ファイルの進行表を紙に出力して、それを管理担当者が、手書きで進行状況を記入していくようなアナログ的方法で管理をおこなっています。それを Excel Online で行い、複数のクリエイターがオンライン上で書き込んでも、どれが最新かということがわかるようになれば、管理業務が軽減され、その人材をよりクリエイティブな仕事に回すことができます」(伊藤 氏)。

<今後の展望>
SharePoint Online 上での Excel を使った工程管理で日常業務のさらなる効率化、作品そのものへの人的リソース集中を目指す

グラフィニカでは、今後さらに Office 365 の SharePoint Online の活用を予定しています。日本のアニメ制作現場では、まだ紙ベースでのコミュニケーションが多く、リアルタイムに進行状況を確認できません。たとえば、劇場作品のような長編アニメでは 2,000 カット以上の進行状況を管理する必要があり、紙資料を使用した管理方法は非常に非効率です。これを SharePoint Online を利用して Web サイト上でいつでもどこからでもアクセスできるようにして業務を効率化し、データとしても 残していくことが次の目標です。

「制作現場は若い人が多いので、Excel Online を使用して Web サイト上で管理すること自体には抵抗はありませんし、慣れも早いと思います。まずは Excel Online 上の情報の信頼性を確保できるようにして、デジタルによる工程管理に移行して行きたいと考えています」 (伊藤 氏)。

グラフィニカでは現在、杉並区に 2 拠点、札幌に 1 拠点で事業を展開していますが、2015 年中にはさらにもう 1 か所、拠点が増える予定です。

「拠点が増えてもそれぞれの間で行き違いが起きないよう、シームレスな形にして行きたいと思います。そこで食い違いが起こると作品の質にも影響が出るので、どこにいても皆が同じフロアにいるように仕事ができる環境を実現していきたいです」 (江田 氏)。

また、グラフィニカではクリエイターの採用にも力を入れており、最近では女性比率が 40% 近くになろうとしています。リモート アクセス技術とセキュリティ面での課題が解決できればクリエイターは在宅勤務が可能なので、長期的課題として女性でも長く働けるような環境を目指し、Lync Online を活用したコミュニケーション システムの導入を検討し始めているところです。

図.システム概要図

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