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株式会社ジィ・シィ企画

 様に導入

アジャイル開発へのシフトのため Microsoft Team Foundation Service を導入
協力会社との情報共有サイクルを大幅に短縮し、ビジネスのさらなる拡大を目指す

写真:株式会社ジィ・シィ企画

株式会社ジィ・シィ企画

クレジット カードやデビット カードなどのカード決済パッケージ開発によって、安全で利便性の高い決済基盤を支え続けている株式会社ジィ・シィ企画。ここでは開発協力会社との情報共有を円滑化するため、Team Foundation Service が活用されています。最初に小規模プロジェクトで試行を行い、運用方針を明確化したうえで、上海でのオフショア開発に展開。今後は他のプロジェクトへも順次適用し、これまでウォーター フォール型で行われていた開発を、アジャイル開発へとシフトしていく計画です。これによって開発サイクルを短縮し、自社パッケージの強化と海外進出を加速。ビジネスをさらに拡大していくことが目指されています。

<導入の背景とねらい>
ビジネス拡大にはアジャイル開発が必須条件
しかし協力会社との情報共有が大きな壁に

株式会社ジィ・シィ企画
代表取締役
金子 哲司 氏

株式会社ジィ・シィ企画
システム開発部
PJ推進課長
前沢 美由紀 氏

利用者にとって価値のあるアプリケーションを創り上げ、リリース後もその価値を高め続けるには、開発ライフ サイクルの高速化が重要なテーマになります。そのためには開発に関係するすべての人々の間で、各種ドキュメントやコード、バグ情報、進捗情報などを、できる限りリアル タイムに近い形で共有することが求められます。開発チームが小規模であれば、その実現は難しくないかもしれません。しかし遠隔地にいる複数のチームが開発に参加するケースでは、決して簡単な話ではなくなります。開発ツールと密接に連携した情報共有基盤を用意するのはもちろんのこと、その基盤に複数の拠点からセキュアにアクセスできる環境も、同時に確立する必要があるからです。この課題の解決を、Team Foundation Service の活用で実現しているのが、株式会社ジィ・シィ企画 (以下、ジィ・シィ企画) です。

同社はクレジット カードやデビット カードなどのカード決済に関するパッケージの開発および販売と、それに関連する SI 事業、ASP 事業を展開するソフトウェア開発会社です。代表的な製品としては、ペイメント パッケージ「CARD CREW PLUS」があり、最近その新バージョンとして「CARD CREW Z」を発表しました。15年以上の実績があり、セキュリティの標準規格である ISO/IEC 27001 や PCI DSS も取得しています。

「私どもはパッケージ販売を行っていますが、これまではあくまでもお客様のご要望に基づいた開発を行っており、自社企画のパッケージとは言いにくいものでした」と説明するのは、株式会社ジィ・シィ企画 代表取締役の金子 哲司 氏です。しかし最近では、顧客要望をベースに SI とセットにしたパッケージ ビジネスが、飽和しつつあると語ります。「今後ビジネスを拡大するには、個々のお客様のご要望を起点にするのではなく、自社企画のパッケージを開発し、それをマーケットに投入する必要があります。そのためには、不確定要素のある市場の要求を、迅速かつ適応的に開発しつつリスクも最小限に抑えたものでなければなりません。これまではウォーター フォール型で開発を行ってきましたが、これもトライ & エラーを細かく繰り返すアジャイル型へと大きく転換しなければなりません」。

このような転換を行ううえで大きな障壁となったのが、開発協力会社との情報共有でした。同社は自社内だけではなく、複数の協力会社と共にコーディングを行っていますが、使用しているツールや環境の制約によって、情報やコードをやり取りするサイクルを短縮することが困難だったのです。

「これまではソース管理やバグ管理、課題管理を行うために、オープン ソース ソフトウェア (Subversion と Redmine) を社内のサーバーにインストールして使っていたのですが、これらは決して使い勝手がいいものとはいえず、セキュリティ上の問題があるため社内サーバーに社外からアクセスすることもできませんでした」と言うのは、株式会社ジィ・シィ企画 システム開発部 PJ推進課長の前沢 美由紀 氏です。そのため協力会社が作成したコードをメール送付してもらったり、ソース コードが入っている PC を持参してもらい、ジィ・シィ企画の社内でチェックインするという対応を行っていたと説明します。しかし同社の立地が千葉県佐倉市ということもあり、東京都内の協力会社に頻繁に来社してもらうことは困難でした。1 回来社してもらうために、半日近くを費やしてしまうからです。

「このような立地上の制約もあったため、コードの細かい管理は各協力会社に任せ、ある程度形になってからチェックインするというスタイルが定着していきました。しかし開発がかなり進んでからのチェックインは他のコードとの整合性確保に手間と時間がかかり、想定していた内容との食い違いが発生することもあります。また開発中に要件が変わることもありますが、これがコードに反映されているかどうかのチェックも、遅れてしまうケースが少なくありませんでした」 (前沢 氏) 。

開発スタイルをアジャイル型へと転換するには、このような問題を根本から解決しなければなりません。これを可能にするツールとしてジィ・シィ企画が着目したのが、Team Foundation Service でした。

さらに海外進出に向けた取り組みが進みつつあることも、Team Foundation Service の採用を後押ししたと金子 氏は付け加えます。同社では以前から、中国への開発アウト ソースやオフショア開発の計画がありましたが、上海の企業と手を組むことで、この計画を実現しつつあるのです。

「パッケージ ビジネスを海外で効果的に展開するには、オフショア先を単なる開発下請けと考えるのではなく、マーケティングをも含む裁量権を持つ、戦略的パートナーとして位置付ける必要があります」と金子 氏。そのためにはきめ細かい意思疎通が必要になり、開発関連の情報も迅速に共有しなければなりません。「Team Foundation Service なら、このような海外進出における課題にも対応できると考えました」。

<導入の経緯>
自社のセキュリティ要件を満たすためクラウド型を選択
小規模開発で運用方針を確立しオフショア開発へと展開

ジィ・シィ企画が開発スタイルの転換に向けた検討を開始したのは 2013 年 3 月。当初はオンプレミス型の Team Foundation Server の導入が検討されていました。しかし同社は ISO/IEC 27001 や PCI DSS を取得しているため、厳しいセキュリティ要件を守る必要があります。そのため社外からのアクセスが制約されるという問題がありました。この悩みを解決する突破口になったのが、クラウド型サービスである Tem Foundation Service の存在です。「クラウドなら社内ネットワークのセキュリティ要件に縛られません。協力会社との情報共有に最適だと判断しました」 (金子 氏) 。

2013 年 6 月には社長肝煎りのプロジェクトとして、開発部門に Team Foundation Service の導入を指示。その翌月の 2013 年 7 月には、小規模なプロトタイプ プロジェクトでの利用が開始されています。このプロジェクトに参加している開発者数は、ジィ・シィ企画社内から 5 名、協力会社 2 社から各 1 名の合計 7 名。3 拠点が連携しながら、クレジット カードのアクワイア リングのためのソフトウェアを開発しています。

「当初はコードのバージョン管理に使えればいいと考えていましたが、使っていくうちに、バグ管理やリソース管理、課題管理にも活用できることがわかってきました」と前沢 氏。ジィ・シィ企画ではこのプロジェクトの開発プロセスを、要件設計と総合テスト、基本設計と結合テスト、詳細設計と単体テスト/デバッグという 3 レイヤーに分け、詳細設計と単体テスト/デバッグのレイヤーをアジャイル化したうえで、ここで Team Foundation Service を活用する計画でした。しかし実際にはその上流工程でも、活用が広がっていると説明します。「これまでずっと使い続けてきた Visual Studio との親和性も高く、すべての操作を 1 つの画面で行うことができ、データも一元管理できます。また最初は英語メニューに抵抗がありましたが、実際に動かしてみると直感的に操作できるように工夫されています。海外展開を視野に入れれば、日本語メニューよりもむしろ使いやすいかもしれません」。

ジィ・シィ企画ではこのプロトタイプ プロジェクトを通じ、2013 年 9 月末までに Team Foundation Service の運用方針を明確化しています。そしてこれと同時期に、上海でのオフショア開発での活用もスタートしています。

<導入効果>
飛躍的にスピードアップした協力会社とのやり取り
プロジェクトの進捗状況も迅速に把握可能

株式会社ジィ・シィ企画
品証工程管理部
品証工程管理課
牛込 香織 氏

Team Foundation Service の活用によって、協力会社との情報共有のスピードは、飛躍的に高まっています。

「以前は週に 1 回のペースで協力会社と打ち合わせを行っており、課題の伝達やそれへの対応も、メール ベースで 1 週間単位というサイクルで行っていました」と、前沢 氏は振り返ります。メールではお互いに遠慮しがちで、それ以上のサイクルでやり取りすることに、心理的な抵抗があったと言うのです。しかし Team Foundation Service を活用したプロトタイプ プロジェクトでは、1 日 10 ~ 20 回程度の頻度で課題が入力されるようになり、それに対する対応も迅速化されています。「情報伝達のスピードは、桁違いどころか、2 桁くらい高速化されているという印象です」。

以前使っていたツールに比べ、操作性が高いことも、情報共有のスピードアップにつながっています。ほとんどの操作はドラッグ & ドロップで行うことができ、課題管理などのツリー構造も簡単に作成できます。作成後の変更も直感的に行えます。またジィ・シィ企画ではプロジェクト管理の手法として Work Breakdown Structure (WBS) が採用されていますが、そのための情報を集約でき、データを後で加工しやすいことも高く評価されています。これらのデータは Microsoft Excel や Microsoft Project にエクスポートできるため、上司への報告書作成の工数も削減されています。

その一方で金子 氏は、「ユーザーが開発者だけに限定されておらず、他の社員が進捗や工数、リソースの管理をグラフィカルに行えるのも、重要なメリットの 1 つです」と指摘します。プロジェクト マネージャーや経営企画部門のスタッフなど、コーディングを行わない社員の多くは、自分の PC に Visual Studio を導入していません。しかしその場合でも、Web ブラウザーで Team Foundation Service にアクセスすることで、必要な情報を入手できるのです。「私どもは常に 5 つ程度のプロジェクトを並行して進めており、これらが相互に関連しているため、1 つのプロジェクトの遅れが他のプロジェクトに大きな影響を与えます。しかし生の進捗データをプロジェクト マネージャーや経営企画部門がすぐに把握できれば、リソースや人員増強などの手を打ちやすくなります」。

「バグ管理の定量化にも活用できるはずです」と言うのは、株式会社ジィ・シィ企画 品証工程管理部 品証工程管理課の牛込 香織 氏です。これまでは情報の集約や再利用が難しかったため、ステップあたりのバグ発生件数などを定量化することが困難でしたが、Team Foundation Service で一元管理できれば、これも容易になるからです。

同じ社内の開発者でも、バック グラウンドが異なればコーディングの得手不得手も異なるため、チームを構成する人員によってバグ発生のパターンは変わってきます。ここに社外の開発者が参加すれば、コード品質のばらつきはさらに大きくなる可能性があります。また動作パターンが多い通信系のプログラムではバグが残りやすいなど、コードの処理内容によっても、バグ発生に関する特性は変化します。このようなコード開発の状況と、バグ発生率の定量データを組み合わせることで、品質管理のレベルをさらに高めることが可能になると期待されています。

「システム開発部では当初、仮にうまく活用できなくても、挑戦することに意義があるというスタンスでした」と前沢 氏。しかし実際に使ってみると、思っていた以上に使いものになることに驚いていると言います。また金子 氏も、「私自身もエンジニア出身なのでこれまで数多くの開発管理ツールを利用してきましたが、それらのほとんどは期待はずれであり、裏切られ続けてきました。しかし Team Foundation Service は、これまで使ってきたツールとは大きく異なります」と語ります。「これは本当の意味で使えるツールです。当初の想定を、逆の意味で裏切られました」。

システム概要図 [拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
チェックイン/テストのサイクルを週次から日次へ
きめ細かい情報共有でアジャイル開発へとシフト

プロトタイプ プロジェクトではまだ詳細設計やコーディングのフェーズに入っていませんが、今後はコードのチェックイン頻度が高まり、テストの進捗サイクルも短縮されると期待されています。以前は開発開始から数か月後にチェックインを行うケースが多く、テストの進捗サイクルも 1 週間単位でした。しかし Team Foundation Service の活用によって、これらが 1 日単位で行えるようになると予想されています。

またコード管理だけではなく、ドキュメント管理に Team Foundation Service を使うことも検討されています。開発現場におけるドキュメントは、対応するコードと密接な関係にあります。ドキュメントもコードと同じ環境で管理できれば、さらなる効率化が可能になるはずです。プロトタイプ プロジェクトや上海でのオフショア開発での活用がうまくいけば、他のプロジェクトにも順次展開していく計画です。

「現在既に、CARD CREW PLUS の次のパッケージとして CARD CREW Z の開発を進めていますが、ここへの適用がこれからの最重要テーマになります」と金子 氏。これが可能になれば社内の主流となる開発スタイルが変化し、SI を含む全てのプロジェクトへと影響していくと言います。「きめ細かい情報共有でアジャイル開発へのシフトを成功させ、自社企画の新しい機能を次々に打ち出せる体制を、ぜひとも確立していきたいと考えています」。

今回のプロジェクト メンバー
(前列左より) 牛込 香織 氏、前沢 美由紀 氏、村石 木綿子 氏
(後列左より) 金子 哲司 氏、近藤 茂男 氏



※Team Foundation Service は、Visual Studio Online にサービス名称が変更されています。

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