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株式会社デジタルガレージ

 様に導入

「数年先のニーズにも耐えられるストレージ容量」と「万全の BCP 対策」を、無駄なく両立させるという難題を、StorSimple + Microsoft Azure を中核としたクラウド活用で一気に解決

写真: 株式会社デジタルガレージ

株式会社デジタルガレージ

"Lean Global" というコンセプトを標榜し、東京、サンフランシスコ、香港の 3 極を軸とした体制でインキュベーション ストリームを生み出している株式会社デジタルガレージ。同社では、2009 年末の本社移転の際に社内の情報共有基盤を整備したものの、事業を続ける中で社内に流通するデータ量が飛躍的に増え、十分な余裕を持って準備したはずのストレージ容量が不足。2013 年にはファイル サーバーの刷新を行うことになりました。その際、迅速かつ無駄がなく、長期にわたって育てていけるソリューションを求めた同社が「ベストな選択」としてたどり着いたのが、StorSimple + Azure を活用した最新のストレージ環境でした。

<導入の背景とねらい>
ローカル ストレージの速さと、クラウド ストレージの柔軟性。
両方の長所を備えた情報共有基盤の実現へ

写真: 小川 知秀 氏

株式会社
デジタルガレージ
コーポレート
ストラテジー本部
情報システム
戦略部長
小川 知秀 氏

株式会社デジタルガレージ (以下、デジタルガレージ) は、日本におけるインターネットの商用利用が本格化し始めた 1994 年に「インターネット時代の『コンテクスト』を創っていく会社」として創業。以来、一貫して日本のインターネット ビジネスの最先端を切り拓いてきました。

「インキュベーション」、「マーケティング」、「ペイメント」という 3 つの事業領域で、グローバルにビジネスを展開する同社は今、"Lean Global (リーン グローバル)" =無駄のない変革を地球規模で進めていくというビジョンを標榜し、これまでよりもさらにスピーディーかつ柔軟な姿勢を持って、次世代のインターネット ビジネスの創出に取り組んでいます。

"Lean" ―― 「無駄のない」とも訳されるこのキーワードは、変化の激しい世界市場の中でビジネス アイデアをスピーディーに形にすることが求められるシステム開発の現場でも注目を集めています。こうした変革を後押ししている要素の 1 つに「クラウド サービス」があると、デジタルガレージ コーポレートストラテジー本部 情報システム戦略部長の小川 知秀 氏は言います。

「今はすでに "クラウドの時代" であると言えるでしょう。過去、資本力のある企業や、多額の出資を集められた企業しかグローバル競争の土俵に上がれませんでしたが、今は開発およびサービス提供のプラットフォームにクラウドを活用することで、サーバー ハードウェア調達などが不要になります。そのため、無駄を抑えて、スピーディーにサービス開発を行うことが可能になっています。アイデアさえあれば、以前よりもはるかに手軽に競争の舞台に上がることができるのです」。

小川 氏が語るように、クラウドは世界中で普及し、デジタルガレージもまた、さまざまな形でクラウド サービスを活用しています。2013 年 11 月には、同社の社内情報共有基盤において、新しい形のクラウド活用を始めています。それが、マイクロソフトの提供するストレージ ハードウェア StorSimple と、パブリック クラウドである Microsoft Azure の組み合わせを中核としたファイル サーバーの再構築です。

東京、サンフランシスコ、香港というグローバル 3 極体制で、Lean Global の精神に基づき、多彩なスタート アップ企業のサポートなどを行うデジタルガレージの社内には、膨大な量の情報が常に流通しており、社員たちのコミュニケーションと意思決定を支えています。この情報共有を支えるシステム基盤は、2009 年 12 月に本社移転を行った際に、整備されていました。

しかし、ほんの数年前に想定した状況は大きく変わり、2012 年末頃にはファイル サーバー容量の不足が、顕著になってきたと、小川 氏は話します。
「2009 年に社内の情報共有基盤が整備した時に、東京本社内で活用するファイル サーバーとして、12 TB のストレージを用意しました。これは、アクティブに使用するファイルのみを保存するスペースであり、途中から全体の容量が不足してきたので、古くなってアクセスする頻度の低くなったデータは、『書庫』と名付けた別のストレージに人的に移動させる運用を続けてきました。当時としては潤沢なストレージ容量であったと思います。しかし、ビジネス環境の変化が続く中、当社も継続的にチャレンジを行っていく中で、ドキュメントの量も飛躍的に増えてきたのです」。

そこで、デジタルガレージでは 2013 年 3 月に、本社で活用するファイル サーバーの刷新にかかる予算の策定を開始しますが、「数年先までを見据えた要件を定義することはできなかった」と、氏は続けます。
「正直に言って、ストレージ容量を増やすにしても、何 TB あれば数年先のニーズに足りるのか、予測は不可能です。『100 TB 用意すれば足りるだろう』という意見もありましたが、しかし、初期投資がかさむ上に、データ量の上昇が思ったよりも伸びず、40 TB ぐらいで十分な状況となった時には残りの 60 TB が余剰になってしまいます」。

さらに、グローバルなビジネスにブレーキを掛けないよう、万一の事態に備えた BCP (Business Continuity Planning) も重要になりますが、ストレージ容量が膨大になれば、DR (Disaster Recovery) 用にデータをミラーリングするサーバーの費用も高額になります。そうした課題を解決するために、ローカルのストレージと、クラウド サービスを組み合わせることを検討していたと、小川 氏は続けます。
「もっとも重要なことは、ローカル ストレージの容量確保です。しかし、長期的な視点で、コストの無駄もなく、柔軟な運用を実現するためには、クラウド サービスが適しています。両方の長所を組み合わせて、一貫したサポートを提供してくれるパートナーがいれば話は楽だったのでしょうけれど、検討を開始した当初、そんな都合の良い話は、どこにも見当たりませんでした。そこでストレージに強いパートナーと、他のクラウド ストレージ サービスを切り離して調達し、自分たちで 2 つのサービスをつないで運用することを前提に検討を進めていたのです」。

しかし、いくら検討しても「リスクが高くなるという課題が残った」と、小川 氏は振り返ります。
「システムを構築・運用する上で『ユーザビリティーとセキュリティーのバランス』はもっとも重要な要素です。これを自己責任で満たすのは、大変なコストと労力を要します。しかも、オフィシャルなサポートが得られない状況で、異なるソリューション間の連携にトラブルが発生した場合、課題の切り分けすら容易にはできなくなります。こうした課題に頭を悩ませていた 2013 年 5 月頃、私たちが望んでいたソリューションに一致するソリューションが、マイクロソフトから提案されたのです」。

<システム導入の経緯と概要>
5 年 10 年先まで「柔軟に運用」できる環境を求めて
当然のようにたどり着いたクラウド活用

StorSimple + Azure というマイクロソフトの提案を採用するに至った理由について、小川 氏は「高速、大容量なストレージ ハードウェアから、容量を気にする必要のないクラウド活用まで 1 つの窓口を通じて、一貫したサポートを提供する体制を実現していたのは、マイクロソフトの他になかった」と、強調します。さらに、マイクロソフトが「予想以上にオープン」なサービス体制を整えていたことも好材料であったと言います。

「5 月頃に提案を受けるまで、このようなソリューションがあることを知りませんでした。Microsoft Azure は、サービス開始当初の名称が Windows Azure でしたので、『Windows 環境しか使えない PaaS (Platform as a Service)』という先入観がありました。しかし実際に話を聞いてみると、仮想マシンを立てることで IaaS (Infrastructure as a Service) として活用し、LAMP 環境を自由に扱えると言います。『いつの間にか、マイクロソフトのコンテクストが変化している』と驚きました。それに、マイクロソフトほどの規模と実績をもったパートナーが一貫したサポートを行ってくれるのであれば、リスクも少ないと判断しました」。

小川 氏が唯一懸念したのは、「ソフトウェアを中心とした企業であるマイクロソフトが、ハードウェアである StorSimple を、長期にメンテナンス サポートできるのかという点だった」そうですが、マイクロソフトと対話を重ねる中で、その懸念もなくなったと言います。
「マイクロソフトという企業の強みは、B2B の領域で築いてきた実績と信頼、そして技術的な先進性。この 2 つを兼ね備えていることにあると思います。最先端のメリットを享受するために最新の技術を導入しても、5 年後には枯れた技術になってしまうのが常でした。しかし、クラウド サービスは常に更新されていきます。マイクロソフトが新しい挑戦を続け、Azure などのサービスに反映すると期待できることは、私たちユーザーにとって大変重要なポイントです。投資対効果の最大化を考えた場合、こうした『安心と挑戦』のバランスは大きな意味を持っています」。

こうしてデジタルガレージが採用した StorSimple は、"クラウド統合ストレージ (Cloud-integrated Enterprise Storage : CiS)" と呼ばれる、新しいソリューションを可能にするストレージ ハードウェアです。筐体内に SSD (Solid State Drive) と SAS (Serial Attached SCSI) の 2 種類のストレージを備えて高頻度にアクセスされるデータを高速な SSD へ、中程度にアクセスされるデータを SAS へと自動的に振り分けてレイテンシーの低下を防ぎます。さらにアクセス頻度の低いデータは、パブリック クラウドである Microsoft Azure 上のストレージに送られ、保全されます。

システムの構築は、スピーディーに完了。2013 年 8 月に StorSimple + Azure の採用が正式に決定し、10 月中旬から本格的なシステム構築が開始されるとオンプレミスの Windows Server 上に Hyper-V で仮想マシンを構築し、その上に StorSimple を展開。さらに Azure と連携するクラウドを活用したストレージ環境を構築しています。

認証基盤にはオンプレミス Active Directory サーバーを立てて社内からの接続を管理しているほか、DR の一環として、Azure 上の仮想環境にも、もう 1 つの Active Directory を構築。大規模災害時には、StorSimple のハードを調達し Azure 上のスナップショットからリストアするだけで復旧することが可能です。
システム全体を管理するツールの 1 つとして、Microsoft System Center Operations Manager を導入。システムの稼働状態を監視し、異常があればすぐにアラートが出るようになっています。

こうして、あっという間に構築されたシステム上に 2 ~ 3 週間かけてデータをすべてコピーし、システム切り替え直前となる 11 月 24 日の日曜日に、差分データを移行。11 月 25 日には無事にサービスインを迎え、旧システムから完全に運用を切り替えられています。しかも、ほとんどのエンドユーザーがシステムの移行にも気付かないほど、円滑に完了したと言います。

小川 氏は、こうしたクラウドを活用したストレージ環境について、「特に難しいことを考えたわけではなく、『ディスク アクセスの速さ』や『長期にわたる柔軟な運用』などいった要件を、よりシンプルに、無駄なく実現できるよう選択していった結果」だと振り返ります。

「クラウドの活用というイメージは当初から抱いていましたが、何も複雑な環境を構築したかったわけではありません。むしろ、ストレージ製品と別のベンダーのクラウド ストレージを自分たちでブリッジしなければならない選択肢しかなかったら、この成果にはたどり着いていなかった可能性があります。Lean Global に通じる考え方で、無駄なく、シンプルに要件を満たそうと、検討を重ねた結果、私たちの理想と一致したのが、マイクロソフトのソリューションだけであり、結果として、綺麗なクラウド活用が実現したということになります」。

<StorSimple + Azure 導入の効果>
マイクロソフトによる一元的サポートで
ユーザビリティーとセキュリティーを両立

StorSimple + Azure を中心としたクラウドに支えられたファイル サーバー運用は、サービスを切り替えて早々に、エンド ユーザーである社員から、「アクセスが、急に速くなったね」と声を掛けられるほど順調に進んだと、小川 氏は笑顔を見せます。
「今回のソリューションで、キーとなっているのはやはり、StorSimple です。システム構築に際しては、ハイブリッド クラウドで、Azure 上にも Active Directory を立てるなどいろいろなことをしているのですが、使い勝手という面から見ると、オンプレミスのファイル サーバーとまったく遜色ないですね。しかも、容量を気にする必要もありません」。

しかも、長期にわたって運用負荷を軽減していける手応えも、十分に感じていると氏は続けます。
「安心材料はいくつかありますが、先ずは、StorSimple の重複排除機能によって、無駄なファイルに容量を奪われることがなくなったことが 1 つ。また、過去には『書庫』へのデータ移動を、エンド ユーザーによるルール順守に頼っていましたが、今は、自動的に SSD から SAS、そして Azure ストレージへと順番にデータが移行していきます。ユーザーにファイル整理という本業と関係のない面倒な操作をお願いする必要がなくなったことは、業務の効率化を支援する上で、非常に効果があると思っています」。

運用管理の負荷軽減については、System Center にも、期待していると言います。
「導入しました System Center Operations Manager については、今後運用を続ける中で閾値の設定などを調整し、当社の管理に最適化できるように育てていくことで、管理効率が上がっていくだろうと期待しています」。

そして、一番のメリットは「マイクロソフトからの一貫したサポートがある安心感」にあると言います。
「今回、10 月中旬から 11 月のサービスインという強行スケジュールを実現できたのは、ストレージからオンプレミスのサーバー、仮想マシン、認証基盤、そしてクラウドまで、一貫して親和性の高いマイクロソフトのソリューションを活用できたことに尽きると思います。そのおかげで、8 月から 10 月までの期間を、フォルダ階層の整理という重要課題にしっかりと費やすことが出来ました」。

<今後の展望>
Microsoft Azure の可能性を活かしてグローバルでの情報共有促進へ

デジタルガレージでは今回のクラウド環境導入のメリットを最大化するために、今後、グローバルでの Azure 活用を検討していくと、小川 氏は言います。
「今回、日本において、ユーザビリティーとセキュリティーを両立させた社内情報共有基盤の刷新に成功しました。今後は、グローバル 3 極をつないだ情報共有の促進というテーマに注力していきます。日本本社で導入した Azure 上には、いくらでも仮想マシンを構築し、拠点間の情報共有を支えるポータル サイトなどの運用に活かすことができます。そのために、どのようなツールを活用するのが最善となるか、徐々に検討を開始しているところです。

小川 氏は最後に、Azure のデータセンターが日本にもオープンしたことで、「ユーザー メリットが増えることも期待している」と、締めくくります。
「偶然ながら、当社の 3 極と、Azure のデータセンターのあるリージョンは一致しています。特に、日本データセンターがオープンした事については、『その分、コストやスペックなどに関して私たちユーザーの要望が届きやすくなるのでは?』と、期待もしています。StorSimple をきっかけとして非常にシンプルかつコンパクトな形で導入した Azure ですが、今後の可能性の広さを考えれば、期せずして、Lean Global を体現したプロジェクトになったのではないかと思います。その期待が、現実になるように、マイクロソフトには今後も私たちを驚かせる挑戦を続けて欲しいと願います」。

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