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Peach Aviation株式会社

 様に導入

日本初の LCC は、マイクロソフト テクノロジーのクラウド サービスを選択。
起業からの急成長を柔軟かつ強力に支える、統合情報プラットフォームとして活用

Peach Aviation株式会社 (Peach Dream 号)

Peach Aviation株式会社 (Peach Dream 号)

既存の枠に囚われることなく柔軟な発想でビジネス モデルを構築し、LCC (ローコスト キャリア) として好スタートを切った Peach Aviation株式会社。2011 年 2 月にわずか 20 名でスタートした同社は、2012 年 3 月の就航開始時には総勢 200 名を超える規模に到達。今後も成長を続ける同社では、企業規模の変化に柔軟に対応するため "持たざる IT" を実践。柔軟なスケーラビリティーを可能にするクラウド環境の上に Exchange Server と SharePoint Server を利用することで、同社の創造力溢れるワークスタイルを支える統合情報プラットフォームを構築しています。

<導入の背景>
準備室段階で利用した Google Apps から、将来の規模拡大を見据えたクラウド活用へ

Peach Aviation株式会社
人事・イノベーション統括本部
イノベーション統括部 部長
野村 泰一 氏

2012 年 3 月 1 日に、日本で初めての本格的 LCC (ローコスト キャリア) として記念すべき就航日を迎えた Peach Aviation株式会社 (以下、Peach)。同社では 2011 年 2 月に A&F Aviation として設立された当初、さまざまな業界経験を持つスタッフ 20 名余りが、関西国際空港内の百貨店跡地に仮設したオフィスを拠点として、関係各所との調整や新たなビジネスモデルの構築などを行うため縦横に奔走。
さまざまな立場や場所にいるスタッフ間のコミュニケーションを円滑に支えるための手段として、Google Apps を利用していました。
しかし、短かい期間の中でパイロットやキャビンアテンダント (CA)、整備士などスタッフが急増するビジネスプランを考えると、ワークスタイルや IT 基盤を含め、さまざまな仕組みをデザインする必要がありました。
日本初の LCC としてチャレンジを続ける同社には、既存のビジネス プロセスがありません。航空業界のみならず、多彩なバックボーンを持つスタッフ間の闊達なコミュニケーションから、Peach の「次の一歩」を支えるビジネス プロセスを構築する新しいアイデアが生まれていきます。そのため、スタッフ間のコミュニケーションを長期に渡り、不自由なく支えていくためには、限定された使い方しかできないサービスを選択するのではなく、必要に応じて機能の拡張やカスタマイズが行いながら柔軟に活用していける情報共有基盤を構築することが求められていたのです。もちろん、LCC として競争力を維持、強化するために欠かせない「コスト削減」を両立させる必要があります。
そこで、Peach では "持たざる IT" を実践し、クラウド上に情報共有環境を構築する先進的な取り組みを行っています。

"先進的な取り組み" と言える同社の情報共有環境について、Peach 人事・イノベーション統括本部 イノベーション統括部 部長 野村 泰一 氏は「私たちが求めたのは『システムの柔軟性』、『ビジネスのスピード感を損なわないインフラ』、『高い生産性と創造性を支えるためのコミュニケーション環境』など、ビジネスに当然必要となるシンプルな要件ばかり。変わったことは何一つしていません」と、説明します。
「当社は、前例もない、ゼロからのスタートでした。そのため、ビジネス プロセスやワークスタイルのデザインと一緒にそれを支える情報共有などの IT 環境も構築してきました。まず、PC が必要だということで、『ノート PC 限定』や Windows 7/Office 2010 以上と言った OS や Office のバージョンなどといった基本的なルールを決めて、役職者は自己負担で購入。それ以外の社員には会社から支給しました。また、OA インフラの乏しい仮設のオフィスからビジネスが始まっていますので、LAN はすべてワイヤレスにして、電話は IP 電話を活用し、更に部門共有にすることで台数を削減。FAX は導入せず、初めからペーパーレスなワークスタイルを実現しました。当時、さまざまな拠点で働くスタッフの情報共有をどうするのかを考え、まずはメール機能を中心に Google Apps の利用を開始しました。
しかし、人員はすぐに増え、オフィスも働き方も多様化していきます。Peach は、パイロットや CA、整備士など多彩な役割を持つスタッフを擁し、そのうち 10% が外国人というグローバルな環境を持つ、まったく新しい企業として成長しながらインフラを整えている状況にあります。ですから、変化に応じて仕組みを増やしていく考え方、そしてそれを支えてくれるパートナーの存在があって初めて、当社に適した情報共有環境が築けると考えていました」。

少数スタッフでのスモール スタートを果たした Peach に相応しいインフラとして、「クラウド」の活用を、当初から念頭に置いていたと、野村 氏は言います。

「クラウドの採用は、最初から決めていました。その理由として、20 名ほどの少人数から 100 人、200 人という規模で急速に成長していく環境に、柔軟に対応していくスケーラビリティーの確保が重要であるということがまず 1 つ。さらに、IT リソースを社内に抱えてしまうと、メンテナンスのために多大なコストがかかることになります。さらには、データをローカルには保存せず、サーバー側に集約し、よりセキュアに運営していこうという考えがありました。そこで、IT リソースをなるべく自社で持たないことをポリシーとして、クラウドサービスの活用を前提としました」。

こうしてさまざまなクラウド サービスを比較検討した Peach では、マイクロソフトのテクノロジーを活用できるクラウド サービスを選択。統合情報プラットフォームとして、Microsoft Exchange Server 2010 と、Microsoft SharePoint Server 2010 を採用することで、数年後の姿として予想される Peach の企業規模やワークスタイルの変化にも対応可能なインフラを整えています。

<システム概要>
さまざまなチャレンジを実現させるために、信頼と実績ある製品、サービスを選択

マイクロソフトのテクノロジーを採用した理由について、「製品を基準として選択したつもりはない」と、野村 氏は強調します。
「選択基準は、あくまでも『当社の理想に沿えるかどうか』です。私たちとしては、国内初の LCC として "常識を疑って新しいものを作っていく" ことを命題に、『IT を含む全体的なコスト削減』や『従来の航空会社とは異なビジネスフローの構築』など、ゼロからの挑戦を実践しているつもりです。しかし、IT 基盤すべてをフルスクラッチで作り上げているわけではありません。既存のサービスを組み合わせることや独自性を出すべきレイヤーで、当社独自のものを作り上げています。ですから信頼あるプラットフォームを選択することは理に適っているでしょう。また、豊富な導入実績があることも採用理由として挙げられます。短期間に実現すべきチャレンジが多くある中、採用した製品、テクノロジーの 1 つ 1 つでつまずいてしまうのでは目的達成が困難になります。当社としては、マイクロソフトのテクノロジー採用は当然の選択であったと思っています」。

こうして構築された Peach の情報共有環境は、スタッフの総数が 20 名から 200 名に増えた現在でも順調に稼働。ブラウザ経由でメールの送受信やスケジュール表の利用ができる「OWA (Outlook Web App)」をメインで活用し、ノート PC のローカル HDD にメールを残さない運用で、「働きやすさ」を阻害することなく、高いセキュリティ レベルを維持できる業務環境を実現しています。
また、SharePoint Server を活用して作られたイントラネット内のポータルサイトには、各部門ごとのチームサイトが公開されています。このチームサイトの作成と運用は、各部門に一任されており、それぞれが自由に更新し、活用されていると言います。
「使い方については、導入当初にいくつか問い合わせがあった程度で、後は皆、それぞれに工夫して使っています。部門によって特色もあり、見ていて楽しいですよ。機能を多く使う、というよりも、働く中でどのような気付きがあるかといった情報を積極的に発信していくことが重要ですから、特に要望のない限りは、機能説明の研修なども不要だと思っています」(野村 氏)。

インフラとしてクラウドを活用し、社内における広範囲な情報共有にはポータルサイトを活用。メールのデータも PC には極力保存しないという、Peach のワークスタイルの特長が、より端的に表れるのは「PC にトラブルが発生した時です」と、野村 氏は言います。
「当社の PC 持ち込みルールはお話しした通りですが、PC に関して、もう 1 つユニークな社内サービスがあります。それが、『MOMOYA』という名称でポータルサイト内に用意した、IT 機器を含めた社内レンタルサービスです。PC も消耗品ですから、必ず故障します。当社のワークスタイルのように日々携帯していれば、そのリスクはなおさら高まるでしょう。ですから、いつ壊れても支障が最小限となるように、レンタル PC も用意しています。実は私も先日ノート PC が壊れてしまいお世話になりましたが、クラウドの活用により、環境はすぐに復元し業務を行えました。事業継続性の観点からの重要性を再確認したところです」。

<導入効果>
専門パッケージソフトを購入するよりも安価に、プラットフォーム上にカスタマイズするという選択肢

客室乗務員による搭乗手続き用端末操作説明 (イメージ)

客室乗務員による搭乗手続き用端末操作説明 (イメージ)

野村 氏は、Peach の情報共有環境について「現在の段階までに目指していたことは、すべてクリアできた」と、話します。
「LCC である以上、当然のことながら、あらゆる局面でコスト削減が必要になります。しかし、同じビジネス モデルを継続しながら、コストだけを削っていくやり方には限界があります。そのために当社では、部門の壁を越えた意見の交換を当然のこととして、アイデアと楽しみをもってコスト削減に取り組み、さらにはビジネス モデルそのものの変革を継続しています。そうでなければ、継続的に競争力を強化し、低運賃のサービスを提供し続けていくことはできないでしょう。今後も、自由に意見を交換できる活気ある Peach であって欲しいと思いますし、そのために必要な統合情報プラットフォームクラウドを作り上げることができたと思います」。

野村 氏はまた、SharePoint Server を採用したメリットの 1 つとして「選択肢の多さ」を挙げています。
「設立時のスモール スタートに際し、多くの企業は、コストを最小化すべくパッケージ製品を組み合わせながら、自社内の IT 環境を構築していくことが多いと思います。当社でも当然、同じことを考えていますがパッケージ製品を使うことは必ずしも便利ではなく、"パッケージであっても高くついてしまうこと" もあります。たとえば今回、SharePoint Server 上にカスタマイズしたワークフローの機能を追加しました。実はワークフローのパッケージを別途購入するよりも、安く抑えられました。使い勝手や機能面を 1 つ 1 つ見ると、パッケージ製品の方が優れていたかもしれません。しかし、社内で使う最低限の機能を SharePoint Server だけで実現できるのであればそれでいい、という発想やツールを細分化せず統合利用するメリットもあります。今回の統合情報プラットフォームにおいては、こうした選択肢を見つけながら基盤のポテンシャルを引き出すことができたのは大きいと思います」。

起業当時の「活気ある雰囲気」を未来に残していくためにも、他部門が発信する情報などを自由に閲覧できるポータルサイトを使い、フラットに情報共有できることに意味があるとしながら、「今はまだ、机上の理想を実現するために、実際に動かしてみて、改善すべき点を見つけている段階」であると野村 氏は言います。
「Peach では、乗務のない CA がチェックインロビーでお客様のご案内をしています (写真参照)。このように当社では、従来の航空会社にはない役割の分担や、オペレーションの方法を常に追求しながら業務を行っています。だからこそ、1 つの部門だけで限定して物事を考えて発想を狭めてしまうのではなく、違う視点を持った部門からの情報や意見を取り入れていくことで、会社全体としての最適解が出せるようなコミュニケーションフローを作ってゆけたらいいと思っています。クラウドという箱があって、その中に『意思決定を行いやすいフロー』をいかに作り上げていくかが大切なポイントになるでしょう」。
しかし野村 氏は、こうしたコミュニケーションフローを構築することも、「特別な話ではない」と言います。
「Peach が今後、作っていかなければならない情報共有の流れというのは、航空業界に特化した話ではありません。だからこそ数多くの導入実績、活用実績があるマイクロソフトのクラウドを選んだことは間違いではないと考えています。それゆえに今後活用を深めていく上で、ベストプラクティスの活用やさらなる品質の向上へ非常に期待しています」。

<今後の展望>
Peach 独自の理想に向けて、継続した "イノベーション" の実現へ

最後に、野村 氏は言います。
「私の部門名は、"IT" ではなく "イノベーション" となっています。そのため、社内の "ワークスタイル" に関する検討も役割に含まれています。私たちの目指す理想からすれば、今はまだ最低限のオフィス インフラが整っただけの段階です。構想全体から見れば 6 分の 1 といったところでしょう。だからこそ、私たちはクラウドの導入に際して妥協はしませんでした。一般的なクラウド サービスを導入すると、『こういう使い方をしてください』という制限があります。しかし、私たちは、広い用途に適応し、将来にわたって柔軟にカスタマイズや機能の拡張が行える統合情報プラットフォームを、クラウド上に構築しました。まず、初期段階でこれを作り上げ、さまざまな業務を途切れなく回すことを、最優先で構築しました。

後は、純粋にお客様に支持される価値を生み出し続ける Peach としての理想のワークスタイルを 3 年後に実現できるように推進していくことを私の使命として努力しているところです」。

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