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株式会社ドワンゴ

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MMD や 3D プリンターなどで注目を集める 3D モデル製作者が、正当な評価を得られる環境の創出へ。データ量の読めない投稿サービス「ニコニ立体」を、Microsoft Azure で始動

「niconico (ニコニコ動画、ニコニコ生放送)」を提供している株式会社ドワンゴでは、作品を投稿するクリエイターが、創作活動による収入で生活できる環境の創出を目指し、さまざまな取り組みを行っています。その一環として、2014 年 5 月から新しいサービスを開始しています。それが、3D モデルや MMD モデルを投稿、共有する「ニコニ立体外部サイトへ移動するため、別ウィンドウで開きます」です。製作に日数を要し、配布用データが 1 体あたり最大 100 MB の 3D モデルの投稿が、「どれだけのペースで増えていくかまったく読めない」状況の中、"最善のサービス提供基盤" として選択したのが、Microsoft Azure でした。

<導入の背景とねらい>
クリエイターの創作活動の支援を目的とした
新しいプラットフォームを、クラウド活用でスモール スタート

写真: 株式会社ドワンゴ

株式会社ドワンゴ

写真: 園野 淳一 氏

株式会社ドワンゴ
プラットフォーム事業本部
ネット創作支援部
セクションマネージャ
園野 淳一 氏

写真: 喜田 一成 氏

株式会社ドワンゴ
プラットフォーム事業本部
ネット創作支援部
クリエイターポータルセクション
ニコニ立体グループ リーダー
喜田 一成 氏

株式会社ドワンゴ (以下、ドワンゴ) が提供する「niconico (ニコニコ動画、ニコニコ生放送)」には、さまざまな作品が投稿され、多くのユーザーに楽しまれています。その中には、2 次創作物も多く含まれていますが、「着うた」や「着うたフル」などの事業を手掛けるドワンゴでは、常に 1 次創作者への敬意をもって、著作権管理と、正当な対価の支払いを行っています。
さらに 2014 年 4 月には「ネット創作支援部」という部署を新設。niconico に集うクリエイターたちが一本立ちできる環境創出を目指して、活動を進めていると、ドワンゴ プラットフォーム事業本部ネット創作支援部 セクションマネージャ 園野 淳一 氏は、説明します。
「クリエイターの方々が求めるものが、必ずしもお金とは限らないと思います。しかし、私たちとしては、きちんとお金をお支払していける、クリアな環境を創出したいと考えています。niconico はあくまでもプラットフォームであって、その上で作品を発表し、多くの人に楽しみを提供してくださっているクリエイターの方々が主役なのです。そこで、親作品と子作品がひと目で把握できるコンテンツ ツリーなどの機能を整備して、主役となる方々への敬意と権利が損なわれないようにしています」。

こうした取り組みの一環として、同年 5 月 2 日から新しくサービス開始されたのが、「ニコニ立体」です。

「ニコニ立体」は、数多くの 2 次創作が発表されている MMD (MikuMikuDance : ボーカロイド「初音ミク」などの 3D モデルを操作して PV を作成できる無償ツール) 用のモデルや、一般的な 3D モデルを投稿・配布できる立体投稿共有サービスです。

このサービスを企画した、同部 クリエイターポータルセクション ニコニ立体グループ リーダー 喜田 一成 氏は、企画を行った背景を、次のように説明します。
「海外には、『CGHUB.com』という世界最大級のグラフィック投稿サービス (現在閉鎖中) があり、3D モデル製作者が評価を得る場所として機能していましたが、日本のクリエイターによる利用は多くありませんでした。さらに niconico を振り返ってみると、たくさんの 3D モデルを多用した PV が公開されているのに、そこで利用されている 3D モデルの製作者が直接評価を受ける環境がありませんでした。niconico のプラットフォーム上に作品が登録されていなかったためにコンテンツ ツリーにも登録できず、正当な評価を得られなかったのです。こうした状況を改善するために企画したのが、『ニコニ立体』です」。

しかし、「ニコニ立体」は、「ニコニコ動画」のようにエンターテインメント性の高い CGM (Consumer Generated Media) ではありません。また、3D モデル 1 体の制作には、数か月かかることもあります。「正直、どのくらいの規模で始まり、どのくらいの勢いで登録件数が伸びていくのか、まったく読めなかった」と園野 氏は言います。
「初期投資が過剰になってしまえば、3D モデル製作者のためにサービスを改善するためのコストに支障も生じるでしょう。3D モデルは 1 体で 15 MB ほどですが、配布用のデータになると 100 MB 近いものもあります。つまり、スタート時には登録件数が少なくても、いつデータ量が爆発的に増えてもおかしくはないのです。そうしたサービスを支えるインフラとしては、クラウド サービスの活用が最適だったのです」。

ドワンゴ社内で活用しているデータセンターとコストを比較した結果、クラウド サービスの採用を決めた同社では、さらに、AWS (Amazon Web Services) など、各種サービスを比較検討。最終的に選ばれたのが、Microsoft Azure でした。

<Azure 活用の効果>
Ruby on Rails + Azure でスピード構築。
SQL Database 活用で、急なスケールアウトにも対応

「ニコニ立体」は、2014 年 2 月に、東西 2 か所に開設したマイクロソフトの日本データセンターを活用。Azure の機能である Virtual Machines を利用した IaaS (Infrastructure as a Service) 環境に Ruby on Rails を使って開発を進め、Azure採用決定からわずか 2 か月の短期間で環境構築や最終調整を終えています。
「既存データセンターにある、niconico の認証基盤との連携が必要ですので、Azure のデータセンターも日本国内にあることが必須条件でした。東西 2 か所のデータセンターを使って BCP 対策などを高めていますが、レイテンシの問題もなく、安定して稼働しています。この点はとても評価しています。私たちのチームで Ruby on Rails を使うのも初めてだったのですが、サービスインには間に合いましたね (笑)」(喜田 氏)。

そしてデータベースには、Azure の PaaS (Platform as a Service) サービスとして提供されている SQL Database が採用されています。
「データベースに関しては、Virtual Machines の環境に MySQL を構築する方法もありましたが、後で柔軟にスケールできないという難点があります。素直に Azure 標準の SQL Database を活用する方が、メリットが大きいと判断しました。できる限り PaaS 環境を利用した方が開発の負担も少ないですからね。正直に言えば、私を含めたスタッフ全員、オンプレミスの SQL Server にも触ったことのない未経験者ばかりでしたので苦労もありましたが、今は社内にナレッジもたまり、スムーズに進められるようになりました」(喜田 氏)。

コストを抑えたサービス運用と
"フルスタック エンジニアの育成" にも役立つ環境の獲得

ニコニ立体 画面イメージ。投稿作品には任意にタグが付けられており、「皆さん、ネーミングが秀逸。やられたっ、という感じです (笑)」(園野 氏)

コストに関しては、AWS 利用を想定した試算よりも、約 35% 削減できていると、園野 氏。こうして、手軽に活用できるクラウド サービスが増えていくことは、長期的なエンジニア育成の観点からも、大いに歓迎していると言います。
「今、"フルスタック エンジニア" という言葉が注目を集めています。1 人で複数の技術分野に精通した技術者のことですが、こうした人材を、従来の開発環境で育成することは至難です。しかし、クラウドであれば、テスト環境用のサーバーを立てることから始まり、ミドルウェアの実装、アプリケーションの開発まで、少ない負荷でさまざまなフェーズに関わっていくことが可能です。さらに、Azure のようなクラウド サービスがシェアを広げ、クラウド市場がバランス良く整えられていくと、エンジニアのスキルにも幅が出るなど、大きなメリットが得られるだろうと、強く実感しています」。

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