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導入事例

 様に導入

  • クラウド
  • コミュニケーション
  • 最適化
  • コスト
  • 生産管理

大日本印刷株式会社

 様に導入

2 拠点同時期の新規海外展開で Microsoft Dynamics AX を採用
プライベート クラウドの活用とテンプレート システムの構築により、導入コストと開発期間の半減を実現

写真:大日本印刷株式会社

大日本印刷株式会社

迅速なグローバル展開を求められている企業では、海外拠点に向けた ERP などのシステム構築にもスピードが求められ、ビジネス展開に合わせたシステムを準備しておく必要があります。印刷業界のリーディング カンパニーとしてさまざまな事業を展開し、グローバル市場にも目を向けてきた大日本印刷株式会社では、新規の海外拠点用の ERP システムをスクラッチで構築するのではなく、Microsoft Dynamics AX を採用し、グローバル対応できるプライベート クラウドで運用することによって、短納期でのシステム構築、コンプライアンス レベルの統一、変化への柔軟な対応を実現しています。

<導入の背景とねらい>
加速化するグローバル ビジネスに
対応できるシステム構築体制を整える

株式会社DNP情報システム
執行役員
システム技術本部 本部長
宮本 和幸 氏

大日本印刷株式会社 (以下、DNP) は、「未来のあたりまえを作る」をキーワードに幅広い事業分野でさまざまな製品やソリューションを提供しています。グローバル展開においても、アジアの経済成長を背景に、人件費の安さを求めた展開ではなく、アジアを市場と考えて進出してきました。また、働き方の変革にも積極的に取り組み、グローバルに展開を行っています。

グローバル展開が加速する中、ICT サービス の部分で DNP のビジネスを支えているのが株式会社DNP情報システム (以下、DNP情報システム) です。従来、DNP のグローバル展開におけるシステム構築は、利用部門が中心となってゼロ ベースでシステムを構築してきました。

しかし、DNP情報システムの執行役員 システム技術本部 本部長の宮本 和幸 氏は、従来の方法ではビジネス スピードに情報システムの構築がついていけないと感じていたと話します。「海外展開が加速する中で、共通化の意識を持って海外システムを作っていかなければならないと感じていました。構築スピードだけでなく、セキュリティに対する意識が国によって異なるため、拠点ごとに最適化されたシステムでは内部統制が行えないという課題もありました。各国でシステムを展開するたびに局地戦を行うのではなく、コストと構築期間、コンプライアンス レベルの低下によるリスクを抑えるしくみが必要だったのです」。

従来の方法に課題を感じていた時に持ち上がったのが、複数の海外拠点を同時期に立ち上げる計画でした。海外拠点へのシステム提供だけでなく、国内の各事業部門の基幹業務システムの保守と運用を行っていた DNP情報システムでは、スクラッチで複数拠点のシステムを同時期に構築する事は非常に困難な課題でした。しかし、この窮地を「新たな海外標準システムを構築するチャンスと考えた」と宮本 氏は説明します。

そして、2013 年 6 月に竣工した包装事業の製造拠点となるベトナム、2013 年 12 月に竣工した情報記録材事業の製造拠点となるマレーシアの 2 拠点に対し、ERP を含む ICT 基盤をパッケージ化しクラウド サービスで提供する新たな海外拠点 ICT 基盤を構築するプロジェクトを迅速に立ち上げることができました。

<導入の経緯>
迅速に柔軟なシステムを構築するために
ERP に AX、クラウド基盤に BHEC を採用

大日本印刷株式会社
情報システム本部
システム統括部
山口 望 氏

株式会社DNP情報システム
システム技術本部
ICTサービス第1部 部長
金子 浩伸 氏

株式会社DNP情報システム
システム技術本部
通信ネットワーク部 部長
杉林 隆 氏

ERP パッケージの選択については、複数のアプリケーションを調査、検討しました。「大規模なものではなく、ミッドサイズ クラスで小さすぎないものを選んでいきました」とDNPの情報システム本部 システム統括部の山口 望 氏は話します。コスト、海外対応 (言語や通貨)、導入の容易性 (充実した標準機能)、長期間のサポートが受けられるか、グローバルでの保守性、シングル インスタンスと個別インスタンスの使い分け、会計監査に対応できる機能が備わっているかどうか、といった 7 つの項目を評価基準とし、製品を絞り込んでいった結果、最終的に標準機能の充実とパートナーとなった NTTコミュニケーションズ株式会社 (以下、NTTコミュニケーションズ) のグローバル対応力を考えて Microsoft Dynamics AX が採用されました。

DNP Global Service Platform (以下、DGSP) と呼ばれる海外拠点共通 ICT 基盤には、NTTコミュニケーションズの「Biz ホスティングEnterprise Cloud」(以下、BHEC) が採用されました。選定理由について DNP情報システム システム技術本部 ICTサービス第1部 部長の金子 浩伸 氏は、「オンプレミスも考えましたが、長い目でコストを考えると、サービスを利用するスタイルのほうが小さく生んで大きく育てることができると考えました。クラウド サービスは、複数の国と社内のイントラネットをつなぐため、エンタープライズ向けのサービスであることが必須条件でした。その点、BHEC は世界中にデータセンターを持ち、どの国でも同じ全世界共通仕様で利用できることが、今後の展開を考える中で非常に安心できると感じました」と話します。

NTTコミュニケーションズがグローバル ネットワークで Microsoft Dynamics AX の構築やサポートを行うことができ、ネットワーク、クラウド サービス、現地の LAN 工事、PC 導入などをオールイン ワンかつワン ストップで行えることも、パートナーとしてのメリットとなり、経営陣にも説明しやすかったと言います。

金子 氏は、「提案段階で非常に熱意を感じ、さまざまな要望にも応えてくれました。短納期で進める必要があるプロジェクトの中で NTTコミュニケーションズは最適だったと思っています」と評価し、DNP情報システム システム技術本部 通信ネットワーク部 部長の杉林 隆 氏も、「BHEC の導入の中で、ネットワークの問題が発生した際、迅速に測定機器を用意して問題解決に取り組むなど、クラウド サービスをトータルでユーザーに提供していくという熱意を感じました」と話しています。

Microsoft Dynamics AX を初めて利用した感想について、DNP情報システム 業務システム本部 業務システム第8部 副部長の坂井 清志 氏は次のように話します。「スクラッチでゼロから作ると非常に時間がかかってしまう機能を、設定するだけで簡単に実装できることに驚きました。また、NTTコミュニケーションズのグローバル プロジェクト マネージメントにより、同社のベトナム拠点のメンバーを含め品質を維持しつつ、オンスケジュールで開発できたことも良かったと思います」。

DNP では、2012 年 10 月からの約 2.5 か月で標準テンプレートを作成することで、ベトナムの製造拠点のロールアウトを約 3.5 か月 (2013 年 3 月カット オーバー) という短期間で実現しています。このような短期導入が実現できたのは、会計/勘定系システムのカスタマイズを避け、なるべく標準機能を活用したためです。

一方で、東南アジア市場で急速に拡大するフォト プリントの需要に対応するための新たな製造拠点として設立されたマレーシア工場では、製品のロット管理などの生産管理システムをカスタマイズする必要があったことからシステムの規模が大きくなりましたが、現地マネージャに画面を見せながら設計を行うなどの工夫を行い、6 か月間 (2013 年 9 月カット オーバー) で展開を完了しています。

「Microsoft Dynamics AX は、会計を中心に生産管理や在庫などのさまざまな機能があり、標準機能のまま利用できるものが多いため、素早い導入が可能でした。開発可能なコードやオブジェクトが階層管理されるレイヤー アーキテクチャ構造となっているため、カスタマイズもしやすく、標準機能がバージョンアップした場合もカスタマイズした部分が影響を受けにくく、作り直す心配がないところも安心できます」と坂井 氏は話します。

また、NTTコミュニケーションズ ソリューションサービス部 第二ソリューション部門 エンタープライズソリューション担当の木野内 信一 氏は、2 つの海外拠点への導入を振り返り、次のように話します。「今回の構築には、複数の海外会社で利用できるようにするマルチ カンパニー制を導入できることと、海外拠点展開で多言語/多通貨に対応できることの 2 つの大きな要件がありました。これに加えて、操作性や機能性、コストを考えると Microsoft Dynamics AX が最適だと考え、提案していきました。マイクロソフトと連携して、品質の高いソリューションを、納期通りに提供出来たことが何よりも良かったと思います」。

<導入効果>
導入コストの低減と短期導入を実現
基盤と AX の安定稼働にも満足

株式会社DNP情報システム
業務システム本部
業務システム第8部 副部長
坂井 清志 氏

NTTコミュニケーションズ
株式会社
ソリューションサービス部
第二ソリューション部門
エンタープライズ
ソリューション担当
木野内 信一 氏

DNP では、2 つの拠点で 3 つのサーバー ライセンスと 43 のクライアント ライセンスでMicrosoft Dynamics AX 2012 R2 を利用して BHEC 上で稼働させていますが、山口 氏は、「ベトナム工場のカットオーバーから 10 か月経った現在でも、期待以上の安定した稼働が行え、トラブルは発生していないことは高く評価できます」と話します。また、コストや開発期間についても、「これまでは、製造拠点のシステムをスクラッチで構築する場合、1 億円で 1 年間のロール アウト期間が必要でした。今回は、小さく生んで大きく育てるという考え方で進めた結果、今後追加開発も行いますが、以前に比べて導入コスト、開発期間ともに、半減できた」と評価しています。さらにクラウドを利用することによって、負荷状況を細かく見ながらサーバーのメモリや HDD 増減を適切に行う事で、サーバー リソースの最適化を行うことができています。

導入の目的の 1 つであったコンプライアンス レベルの統一については、「セキュリティ レベルも日本国内と同等のものをセットで提供できています」と宮本 氏は話します。また、テンプレートの中に内部統制で必要な承認やレポートなどの機能が含まれているので、監査があった場合に、すぐにエビデンスとして提出できるようになったことも大きなメリットとなると言います。

新たなシステムを導入することに伴う教育については、現地で講義だけでなく実習も取り入れ、終了後にアンケートや実際の操作テストを行うことで、できない部分を明確にし、予備日に復習してしっかりと操作できるようにしたと言います。坂井 氏自身も最初に Microsoft Dynamics AX を触ったときには、「どこに何があるかを把握するのが大変でした」と振り返りますが、「ユーザーに対しては権限で使う機能を絞り込むことができ、Office ライクなインターフェイスで操作しやすいというユーザーの声も出ていました」と操作性の良さを明かします。

さらに、今後のシステム強化について山口 氏は、「今後使っていく中で、どのようなスキームでユーザーの声を集め、ノウハウをどのようにテンプレートに追加していくかを考えなければなりません。PDCA を回しながら、より良いシステムになるようにしていこうと考えています」と、今回導入したシステムをさらに進化させてビジネスに役立てることを話してくれました。

システム構成図[拡大図] 新しいウィンドウ

<今後の展望>
BHEC+AX のシステム基盤をベースに
既存拠点の展開や新機能付加を目指す

「グローバル向けの ICT サービス基盤として DGSP を構築したので、これを活かした展開を考えて生きたい」と話す宮本 氏は、マレーシア以外のアメリカやヨーロッパにもフォト プリント事業の製造拠点があることから、各種データをグローバルで共有していくため、DGSPにネットワーク接続やファイル取り込みのしくみをサービスとして実装、提供していくことを考えていると言います。

また、今回は新規拠点の ERP として Microsoft Dynamics AX を採用していますが、このシステムを既存拠点で展開することも考えていく必要があります。「DNP のビジネス自体が多岐にわたるため、すべての事業で共通のシステムを作ることは困難ですが、できる限りの統合化は行っていきたいと考えています。システム更新のタイミングでどのように既存拠点のシステムを置き換えるかが今後の課題です。今回の製造拠点用のシステムだけでなく、販売拠点用に簡素化させたモデルも作っていく必要もあります。さらに、ビジネスをもっと行いやすくするために、DGSP 上にグループウェアやコミュニケーション ツールなどのサービスを付加していくことも考えていきたいですね」 (宮本 氏)。

宮本 氏は今回の海外標準システムの構築を振り返って、「改めてローカライズの大変さを痛感しました」と話します。「語学力についても言葉の壁を感じることがありましたが、今回の構築によって海外拠点のシステム構築についてのノウハウの蓄積やマインド セットを得られたと考えています。今回の経験の下に人材育成なども行って、国内だけでなくグローバルに対応できるような体制を強化し、DNP情報システムに任せれば安心だと言われるようにしていきたいですね」と話します。

DNP情報システムは、さらに加速する DNP グループのグローバル ビジネスを BHEC + AX のシステム基盤をベースに強力に支え続けていきます。

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